クリエイター向け密閉型モニターヘッドホン「MDR-M1」レビュー。肉厚のイヤーパッドと汎用性の高い着脱式ケーブルの扱いやすさ。米NY音楽スタジオのサウンドを楽しめるヘッドホン。
ソニーのプロ用のモニターヘッドホンといえば、1995年に発売された「MDR-CD900ST」。
その後、ハイレゾ音源に対応したスタジオモニターヘッドホン「MDR-M1ST」、立体音響に特化した新機軸ともいえる背面開放型スタジオモニターヘッドホン「MDR-MV1」が登場。
そして、海外で先行して発売されていたスタジオの音質を実現する高遮音性密閉型モニターヘッドホン「MDR-M1」が日本国内でも正式に発売となった。
今回新たに加わった「MDR-M1」は、どういったポジションのヘッドホンなのか?発売に先駆けて実機を試すことができた。
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目次
●クリエイター向け密閉型モニターヘッドホン「MDR-M1」
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プロ向け業務用でありながら「MDR-M1ST」のような単なる茶色い段ボール箱ではなく、本来がデザインされたパッケージ。
開封して簡易なクッション材から取り出すと、「MDR-M1」本体と、ヘッドホンケーブルx2、変換アダプター、取り扱い説明書。
中身は比較的シンプルでありながら、従来の業務用機器とは異なり、かなりユーザーフレンドリーな内容になっている。
モニターヘッドホン「MDR-M1」は、専用設計ドライバーユニットを採用した超広帯域再生と、高い遮音性を備えた密閉型音響構造により、幅広いオーディオ制作ワークフローで詳細かつ正確なモニタリングが可能。
特に、音質のキモとなる振動板は、低音域を再生する柔らかさと超高音域を再生する硬さとを兼ね備えた超広帯域再生を実現する特殊な振動板形状を採用。
5Hz-80,000Hzの超広帯域再生をもちながら、広いダイナミックレンジ再生をもっている。
ハイレゾ音源に対応する密閉ダイナミック型ヘッドホンとして、広帯域の再生と広いダイナミックレンジと解像度の高い音を再現する直径40mmのドライバーユニットを搭載。
イヤーパッドはサーピースパーツを取り寄せることで交換することもできる。
ハウジングは密閉型音響構造で、制振性に優れた樹脂を採用。
ヘッドホンから漏れる音をマイクが拾ってしまったり、ミキシング作業で使う場合でも周囲の音を可能な限り排除したいというニーズに応えて、幅広い音楽制作シーンで活用できるよう高い遮音性を備えた密閉型音響構造を採用。
振動板の動作を最適化して、低周波の過渡特性を向上させて、タイトな低音レスポンスでサウンドを正確に再現する調整されたポート(ビートレスポンスコントロール)も備えている。
ヘッドバンドの長さを調整するスライダーに数値の一目でわかる刻みや、左右が判別しやすいようにLRが色分けされて備わっているのは業務用ならでは。
ヘッドホンの可動部には、複数のシリコンリングを仕込んで、扱っていて軋んだ音がしたりカタカタと音が鳴る事を抑えている。
可動部の耐久性を上げ、かつ落下したさいの強度も保つというプロの使用に耐え得る品質をクリアすることが大前提。
ヘッドホン自身の重さは、本体のみで約216gで、手にしてみると見た目のゴツさに反して軽く感じる。
音楽制作では長時間作業になる場合も多々あるため、その負担を軽減する意味でもヘッドホン本体を細部に至るまで軽量化している。
ヘッドバンドの幅に余裕をもたせており、ハンガーの頭に触れる部分も同様に柔らかくて上下にあたる側圧も変わらず、装着したさいのつけ心地は良好。
特徴的なのは、音楽制作用として丁寧に設計されたイヤーパッド。
低反発ウレタンフォームを採用して、気密性を確保することで正確な音源再生ができるという基本に忠実に、そして耳の形状にフィットして、長時間の作業でも苦痛になることのないように十分な厚みの厚みを持たせている。
触れている部分の肌触りは優しく、着け心地はかなり快適。
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ハウジング部は、90度ハウジングの方向が変わるスイーベル機構。
横向きにしてフラットにする事ができるのでそのまま机に置いたり、持ち運び時には省スペース化できるようになっている。
●メンテナンスのための着脱式端子を利用してリケーブルできる汎用性。
「MDR-CD900ST」ではケーブルは直接つながっていて、長年使っていて万が一にもどこかが断線してしまうと修理するしかなかった。
「MDR-M1」や、「MDR-MV1」、「MDR-M1ST」では着脱式になったことでいつでもリケーブルできるようになっている。
長さ1.2mmと2.5mのφ3.5mmステレオミニプラグのケーブルが付属している。
かつ、6.3mm標準プラグを3.5mmプラグに変換するアダプターもついている。
業務用では、スタジオの機材からの再生を目的として作られていることもあって標準プラグが付属となることが多かった。
ところが、「MDR-M1」ではポータブル機器との接続も想定してか、ステレオミニプラグの長さの異なるケーブルと省スペースな変換アダプターという内容になっていて、圧倒的に使いやすくなっている。
接続部分はスクリューロック機構になっていて、ガッチリと固定して不意に抜け落ちてしまう事も防ぐことができる。
3.5mmプラグの着脱できるギミックを利用して、”φ4.4mmバランス標準プラグを採用したヘッドホンケーブル”を使うこともできる。
メーカーとしてはイレギュラーになるものの、左右それぞれに独立したグラウンドケーブルを用意してクロストークを低減するバランス接続を「MDR-M1」で楽しめる。
●赤ラベルのモニターヘッドホン「MDR-M1ST」と、青ラベルのモニターヘッドホン「MDR-M1」
スタジオモニターヘッドホン「MDR-M1ST」と、モニターヘッドホン「MDR-M1」を比べてみる。
外観を見た感じでは両者ともほとんど変わらないスタイル。
「MDR-M1ST」 「MDR-M1」
ドライバーユニット Φ40mm Φ40mm
周波数特性 5Hz~80kHz 5Hz~80kHz
インピーダンス 24Ω 50Ω
重量 215g 216g
ケーブル 2.5m(6.3mm) 1.2m/2.5m( 3.5mm)アダプター付属
仕様を見る限り数値上ではほぼ違いがない。
外観で赤と青のラベル以外にわかる違いといえば、イヤパッドの厚み。
「MDR-M1ST」は、音楽制作用としてドライバーから耳に近くするというコンセプトからイヤーパッドは薄く作られている。
一方で、「MDR-M1」のイヤーパッドは厚く、低反発ウレタンフォームを立体的に縫製していて耳の周辺へのつけ心地は優しく、長時間の装着していても苦痛にならない。
ゆったりリスニングするという目的であれば耳あたりのより優しい「MDR-M1」のほうが向いている。
ヘッドホン全体が軽いことと、かなりの厚みをもった低反撥ウレタンフォームもあいまって側圧も緩やかで、不快になることなく長時間装着し続けられる。
もう一つ、音質調整している場所が、「MDR-M1ST」は東京都赤坂にあるソニーミュージックスタジオ東京、「MDR-M1」はアメリカ・ニューヨークにある音楽スタジオ「Power Station at BerkleeNYC」という違いもある。
音質の調整については、マスタリングエンジニアのMike Piacentini氏など様々なクリエイターにインタビューするなど綿密なコニュニケーションを経て、音源の制作意図を的確に再現するサウンドを目指したという。
「MDR-M1ST」との違いとしては、「MDR-M1」は、レコーディングのみならずミキシングでも使うことを目的に作られていること。
もちろんどちらもハイレゾ音源に対応するべく、広い帯域の再生能力を持っている。
●純粋に良い音で聴きたい自分のためのヘッドホン。
モニターヘッドホン「MDR-M1」を装着すると、耳をすっぽり覆ったうえでイヤーパッドが肉厚なこともあってアタリもやわらかくて、耳に対する側圧もゆるやか。
これなら長い時間つけたままでも苦痛になりにくい。
しっかりと耳の周囲が覆われていることもあって音量を上げても音が外に大きく漏れることもない。
付属のケーブルでウォークマン「NW-ZX707」と接続して音楽を聴いてみる。
「MDR-M1」のような密閉型ヘッドホンは、周囲の音をある程度遮音して自分の内にある世界に籠もって没頭できるのが良いところ。
音楽に限らず、You TubeやPrime Video、Netflixといった動画コンテンツも十分に楽しめる。
密閉型ならではの低域のパワフルさはさることながら、ボーカルのぬけの良さから楽器の消えていく余韻まで味わえる。
「MDR-M1ST」の音源をより忠実に再現するモニターよりの音に比べると、全体的にメリハリが効いてより楽曲を楽しむ趣が強めに感じられる。
ちなみに、「MDR-MV1」は、音のフィールドが自分を中心にして広がる音を感じられる空間や開放感を楽しめるヘッドホンのため、楽しみ方が別のところにある。
今となっては、ワイヤレスかつノイズキャンセルのあるヘッドホンが主流。
このタイミングで、有線接続しかできないオーバーヘッドタイプは需要としてはニッチかもしれない。
けれど純粋にいい音で聴きたいという欲求を満たしてくれるヘッドホンへの欲求はやまないし、リスニング用としてリッチな音の世界に引き込んでくれるヘッドホンとしてまた一つラインナップが増えたことは嬉しい。
リケーブルできることを活かしてバランス接続のみならずステレオミニプラグでスマートホンや他たくさんつないで活躍させるシーンを増やしてみたくなる。
本来の業務使用を目的としている製品は、無料の修理期間が設定されていないのでメーカー保証すらないけれど、「MDR-M1」はソニーストアで長期保証ベーシック3年が最初からついていて、さらにはワイド保証にも加入出来る。
そういった安心も含めてこれからのスタンダードなヘッドホンとして愛用してみるのもいいかもしれない。
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●ソニーモニターヘッドホンラインナップ
●プロフェッショナルリファレンス密閉型モニターヘッドホン「MDR-M1」
モニターヘッドホン「MDR-M1」
ソニーストア販売価格:45,100円(税込)
●長期保証3年ベーシック付属
●ソニーストア割引クーポン10%OFF
●提携カード決済で3%OFF
●背面開放型モニターヘッドホン「MDR-MV1」
モニターヘッドホン「MDR-MV1」
ソニーストア販売価格:59,400円(税込)
●長期保証3年ベーシック付属
●ソニーストア割引クーポン10%OFF
●提携カード決済で3%OFF
●スタジオモニターヘッドホン「MDR-M1ST」
スタジオモニターヘッドホン「MDR-M1ST」
ソニーストア販売価格:34,650円(税込)
●業務用機材のためメーカー保証なし(有償)
●ソニーストア割引クーポン10%OFF
●提携カード決済で3%OFF
・憧れのプロ機が30年ぶりにハイレゾ音源仕様になってリニューアル、スタジオモニターヘッドホン「MDR-M1ST」をパーソナルユースで楽しもう。
・プロ用のハイレゾ音源に対応したスタジオモニターヘッドホン「MDR-M1ST」、従来のモニターヘッドホン「MDR-CD900ST / EX800ST」とあわせてソニーストアで先行予約販売開始。
●スタジオモニターヘッドホン「MDR-CD900ST」
スタジオモニターヘッドホン「MDR-CD900ST」
ソニーストア販売価格:19,800円(税込)
●業務用機材のためメーカー保証なし(有償)
●ソニーストア割引クーポン10%OFF
●提携カード決済で3%OFF
1989年の発売以来、長きにわたりレコーディングスタジオで愛用され続けるモニターヘッドホン「MDR-CD900ST」
ソニーと音創りを熟知するソニー・ミュージックスタジオが共同開発したプロフェッショナル仕様。
原音をそのまま再現する音質、研ぎ澄まされた輪郭と音像。
独自開発のドライバーユニット採用により、モニタリングに必要な分解能(検知限界)を大幅に向上。
音の輪郭から定位、エコーの広がり感などの微妙な違いをつぶさに再現し、本来の音を耳に伝える。
レコーディングスタジオやポストプロダクション、放送局など、プロの世界で求められるクオリティと耐久性を徹底的に追求し、独自に開発したドライバーユニットを採用。
歪みの少ない原音イメージそのままのクリアな音質を実現。
もともとは、CBSソニー信濃町スタジオ(現:ソニー・ミュージックスタジオ)で使用することを目的として開発されたものの、スタジオユースの業務用として販売することとなり、結果として現在もなお数多
くのレコーディングスタジオで使い続けられている。
<MDR-CD900STの主な仕様>
型式 : 密閉ダイナミック型
ドライバーユニット : 40mm
音圧感度 : 106dB/mW
再生周波数帯域 : 5-30,000Hz
インピーダンス : 63Ω
最大入力 : 1000mW
コード長 : 約2.5m
コードの太さ :Φ4.0mm
プラグ :ステレオ標準プラグ
質量 : 約200g(コード含まず)
●スタジオモニターヘッドホン「MDR-EX800ST」
スタジオモニターヘッドホン「MDR-EX800ST」
ソニーストア販売価格:26,400円(税込)
●業務用機材のためメーカー保証なし(有償)
●ソニーストア割引クーポン10%OFF
●提携カード決済で3%OFF
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