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モニターヘッドホン「MDR-MV1」レビュー。自分の周りに広がる音場は密閉型を超える体験。リケーブルもできる、音楽リスニング用としても最良の開放型ヘッドホン。

ソニーから、モニターヘッドホンの新機軸ともいえる背面開放型スタジオモニターヘッドホン「MDR-MV1」が登場。

元来、ソニーの一番有名なモニターヘッドホンといえば、1995年に発売された「MDR-CD900ST」

その後、ハイレゾ音源に対応したスタジオモニターヘッドホン「MDR-M1ST」が記憶に新しい。

では今回でてきた「MDR-MV1」はどういったポジションのヘッドホンなのか?

発売に先駆けて実機を試すことができた。

・優れた空間表現で、立体音響などの制作に適したクリエイター向け背面開放型モニターヘッドホン『MDR-MV1』発売
・MDR-MV1 | ヘッドホン | ソニー

 

●背面開放型というスタジオモニターヘッドホン「MDR-MV1」


パッと見た感じでは、一般的なオーバーヘッドタイプのヘッドホンとは変わらないスタイル。

いつものヘッドホンと違うのは、背面開放型の音響構造になっていること。

かんたんに言えば、ハウジング部分を完全に密閉していないので、ヘッドホンから音が漏れている状態、いわゆるオープンエアに近い。

10年以上前にも、オープンエアヘッドホン「MDR-MA900」というのがあったので覚えている人もいるかもしれない。

これ以降オープンエアタイプのヘッドホンは発売されていなかった。

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The Headphones Park MDR-MS900 開発者インタビュー


モニターヘッドホン「MDR-MV1」の特徴ともいえるのは、背面開放型音響構造と呼ばれるハウジング。

見た目に、パンチホールのような穴やスリットが無数に開いていることからも、音を密閉する気はサラサラないのがわかる。

どうしてこういう構造になっているかというと、ヘッドホンの内側での反射音を抑えることと、音源が持つ空間情報を正確に再生するためらしい。

ドライバーユニットの通気のコントロールを最適化することができて、不要な空間共鳴をなくしつつ充実した低音域再生ができる。

MDR-M1ST」(左)と、「MDR-MV1」(右)とのドライバーおよびイヤパッドの比較。

 

直径40mmのドライバーユニットを搭載。

5Hz~80kHzの広帯域再生をもちながら、広いダイナミックレンジ再生をもつ。

ドライバーユニットも他のヘッドホンからの流用ではなく、「MDR-MV1」専用に開発されたもの。

振動板は、複数回にわたるシミュレーションと試作のすえに、この形状に適した振動板と凹凸を設計。


「MDR-1AM2」に使われているようなアルミニウムコートLCP振動板だとか、フィボナッチパターングリルなどは採用されていない。

このあたりはこれは単純に音質に対してトレンドを積極的に採用するコンスーマー向けと違い、業務用というだけあって長らく使い続けられる事を前提としてクオリティを保ち続けることや保守パーツの持続を考えられてのことだと思われる。

このあたりの考え方は、「MDR-M1ST」と同じ。


幅に余裕のあるヘッドバンドや、頭に触れるハンガー部も柔らかく、このあたりは「MDR-M1ST」と共通。

ヘッドホン自身の重さは、本体のみで約223g。

手に持ってみると、重厚な見た目に反してとても軽く感じる。

軽さという意味では、「MDR-1AM2」(約187g)軽いけれど、実用を重視した「MDR-M1ST」(215g)とほぼ同等の重さ。


ヘッドバンドの長さを調整するスライダーに数値の刻みが入っていたり、すぐに左右がわかるように目立つようにLRが色分けされて備わっているのは業務用ならでは。

ヘッドホンの可動部には、複数のシリコンリングを仕込んで、扱っていて軋んだ音がしたりカタカタと音が鳴るのもきっちりと抑えている。

可動部の耐久性を上げ、かつ落下したさいの強度も保つというプロの使用に耐え得る品質をクリアすることが大前提。


イヤーパッドには、”スエード調合成皮革イヤーパッド”を採用。

触れている部分の肌触りは優しく、しかも着け心地はかなり快適。

ヘッドホン全体が軽いことと、かなりの厚みをもった低反撥ウレタンフォームもあいまって側圧も緩やかで、不快になることなく長時間装着し続けられるのは良い。

ちなみに、イヤーパッドは交換もできるらしい。


ハウジング部は、90度ハウジングの方向が変わるスイーベル機構。

横向きにしてフラットにする事ができるのでそのまま机に置いたり、持ち運び時には省スペース化できるようになっている。

ちなみに、90度反転する方向が、コンスーマー向けの「MDR-1AM2」とプロ向けの「MDR-MV1」、「MDR-M1ST」は逆方向になっている。

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●メンテナンスのための着脱式端子を利用してリケーブルできる汎用性。


ヘッドホンからのケーブルは片方出しタイプの脱着式。

「MDR-CD900ST」ではケーブルが直接つながっていて、長年使っていて万が一にもどこかが断線してしまうと修理直行だったものから、MDR-MV1」や「MDR-M1ST」では着脱式になったことでリケーブルできるように。

接続部分は、スクリューロック式で不意の抜け防止構造にもなっている。


付属のケーブルは長さ2.5mのφ6.3mm標準プラグ。

そもそもの基本使用として、スタジオの機材からの再生を目的として作られているので、自宅でも最適な環境は、「HAP-Z1ES」や「TA-A1ES」のような据え置きのシステムと接続することを想定されている様子。



ポータブル機器との接続は想定されていないのかと思ったら、付属としてφ6.3mm標準プラグを3.5mmプラグに変換するアダプターがオマケで付いている。

これはとてもありがたい事ではあるのだけど、なにしろこのアダプターの接続部分が巨大になってしまう。

オーディオプレーヤーに接続したときに邪魔なことと、不意にあたって端子部を壊さないか若干心配になる。


とはいっても、着脱式の端子は「MDR-1AM2」と同じ4極の3.5mmプラグを採用しているので、リケーブルできる。

「MDR-1AM2」に付属の”3.5mmステレオミニプラグのヘッドホンケーブル”も、”φ4.4mmバランス標準プラグのヘッドホンケーブル”も使えることを確認。

スクリューロック機構は使えないものの、左右それぞれに独立したグラウンドケーブルを用意してクロストークを低減するバランス接続を使ってみるのも、このヘッドホンMDR-MV1を楽しむ醍醐味の一つ。

 

●聴くとわかる!背面開放型ならではの音の広がりに感動!


さて、早速MDR-MV1を装着。

耳をすっぽり覆ってアタリもやわらかいのはもちろんだけど、ベタっとくっついた感じが薄いのがいい。

どうしてもレザータイプだとピッタリ吸い付いて密閉度を増している事もあって、夏場の汗ばむ季節になると不快指数が跳ね上がる。

MDR-MV1は、例えると衣服が触れているような感覚に近くて長い時間触れていることが苦痛になりにくい。

装着している状態で普通に外の音も聞こえるし、再生したコンテンツの音量を上げると普通に外部に音が漏れる。

今までの外部の音をシャットアウト!音は漏らさない!という概念からするとそのへんがユルユルで、”??”となる。

けれど近年のLinkBudsにあるように、開放型のよさは環境音との隔たりがなく、それが耳への負担をガッツリと減らしてくれることが体験してわかっている。


そう、まずは物々しいオーバーヘッドタイプのヘッドホンをしても違和感がわりと少なくて、このあたりからリスニングする姿勢が楽に思える。

音楽を再生してみると、最近すっかり密閉型になれすぎていたこともあって、その音の解像感から広がりのある音場感にこれが開放型だったか!と感動を覚えるほど。

ウチにこもっているような感覚が、ヘッドホンの外側にひろがったようなそのおかげで楽器の消えていく余韻まで味わえる。

開放型になると低域が抜けてしまって弱いよねという事もなくて、密閉型と変わらないパワフルさを感じるので、物足りなさもない。


MDR-MV1は、2chのステレオフォーマットに加えて、立体的な音響空間で高い空間表現ができるヘッドホンとして開発されたもの。

その本筋であるところの「360 Reality Audio」を視聴してみないことには始まらない。

ちょうどいいところに宇多田ヒカル 「40代はいろいろ」 360 Reality Audio Live”のアーカイブ配信があったのでこれを視聴してみた。

これはちょうど生で配信しているときにも聴くことができたけれど、その時はXperiaにインナーイヤーの「LinkBuds S」で360 Reality Audioを楽しんだ記憶。

その時はこんなものかーくらいの感想だったけれど、MDR-MV1を装着して改めてアーカイブを視聴してみると、「あっスタジオの中だこれは!」と。

まさにスタジオで歌っている宇多田ヒカル氏と同じ場所を共有しているというか、立体的な像として浮かび上がるというと大げさかもしれないけれど、かんたんに言えば自分の周りに音が存在する広い空間みたいなものを感じられる。

なるほど、きっちり作られた立体音響の楽曲であれば、このヘッドホンの真価を味わえるのだなと。


とはいえ、まだ360 Reality Audioのコンテンツは少ないし。

それよりもむしろ、開放型ヘッドホンとしてリスニング用にめちゃくちゃ良いんじゃないだろうか?

リケーブルしてバランス接続も活かせるし。

ウォークマンNW-ZX707がでてきて、自分自身のプライベートタイムを満喫するためにはどのヘッドホンがいいんだろう?と思いを巡らせていたところに出会ったMDR-MV1

密閉型ヘッドホンはもちろんいくつか持っていて、自分の内にある世界に籠もって没頭できるのが良いところ。

それはそれとして、このヘッドホンを使うと音楽の楽しみ方が一方向じゃないことを改めて知れる。

MDR-MV1で聴くと、音のフィールドが自分を中心にして球体で広がるというか、極端に言えば部屋のなかにスピーカーを周囲に並べて聴いているような開放感というか。

音楽に限らず、You TubeやPrime Video、Netflixといった動画コンテンツもこのほうが楽しい場合がある。


あくまでもハウジング部分が開放されているから音漏れもあるし、環境音が遮音されているわけではないから集中したいという向きでは合わないかもしれない。

けど、電車や飛行機、図書館といった公共の場で使うのではなくて、自分のいる部屋で使うならあえて遠慮して自分の中だけでとどまらせる必要はない。

スタジオは持っていなくても、ソファに座ってゆったり自然に聴ける環境を、ウォークマンとヘッドホンの2つで実現できるところが最高に良い。

●自宅用の自分のためだけのヘッドホンとして欲しい一本。


今どき、ワイヤレスでもなければノイズキャンセル機能もなく、見た目に物々しいオーバーヘッドタイプで、需要としてはニッチかもしれない。

けれど、自分が部屋にいるときにリッチな音の世界に引き込んでくれるヘッドホンとして考えると、これは欲しくなる。

本来の業務使用を目的としている製品は、無料の修理期間が設定されていないのでメーカー保証がつかない。

けれど、この「MDR-MV1」は、ソニーストアで長期保証ベーシック3年が最初からついていて、さらにはワイド保証にも加入出来る。

そういった安心さもあって、いたって普通のヘッドホンとして愛用できる一本ではないかなと思える。

 

●「MDR-MV1」コンセプトサイト、開発者インタビュー


・MDR-MV1コンセプトサイト | ヘッドホン | ソニー


・立体音響時代の新たなモニターヘッドホン スタジオの音響空間を再現する『MDR-MV1』 | ソニー

 

●ソニーモニターヘッドホンラインナップ

●背面開放型モニターヘッドホン「MDR-MV1」


モニターヘッドホン「MDR-MV1」

ソニーストア販売価格:59,400円(税込)
●長期保証3年ベーシック付属
●ソニーストア割引クーポン10%OFF
●提携カード決済で3%OFF

スタジオモニターヘッドホン「MDR-M1ST」


スタジオモニターヘッドホン「MDR-M1ST」
ソニーストア販売価格:34,650円(税込)
●業務用機材のためメーカー保証なし(有償)
●ソニーストア割引クーポン10%OFF
●提携カード決済で3%OFF

・憧れのプロ機が30年ぶりにハイレゾ音源仕様になってリニューアル、スタジオモニターヘッドホン「MDR-M1ST」をパーソナルユースで楽しもう。
・プロ用のハイレゾ音源に対応したスタジオモニターヘッドホン「MDR-M1ST」、従来のモニターヘッドホン「MDR-CD900ST / EX800ST」とあわせてソニーストアで先行予約販売開始。

スタジオモニターヘッドホン「MDR-CD900ST」


スタジオモニターヘッドホン「MDR-CD900ST」

ソニーストア販売価格:19,800円(税込)
●業務用機材のためメーカー保証なし(有償)
●ソニーストア割引クーポン10%OFF
●提携カード決済で3%OFF

1989年の発売以来、長きにわたりレコーディングスタジオで愛用され続けるモニターヘッドホン「MDR-CD900ST」

ソニーと音創りを熟知するソニー・ミュージックスタジオが共同開発したプロフェッショナル仕様。

原音をそのまま再現する音質、研ぎ澄まされた輪郭と音像。

独自開発のドライバーユニット採用により、モニタリングに必要な分解能(検知限界)を大幅に向上。

音の輪郭から定位、エコーの広がり感などの微妙な違いをつぶさに再現し、本来の音を耳に伝える。

レコーディングスタジオやポストプロダクション、放送局など、プロの世界で求められるクオリティと耐久性を徹底的に追求し、独自に開発したドライバーユニットを採用。

歪みの少ない原音イメージそのままのクリアな音質を実現。

もともとは、CBSソニー信濃町スタジオ(現:ソニー・ミュージックスタジオ)で使用することを目的として開発されたものの、スタジオユースの業務用として販売することとなり、結果として現在もなお数多
くのレコーディングスタジオで使い続けられている。

<MDR-CD900STの主な仕様>
型式 : 密閉ダイナミック型
ドライバーユニット : 40mm
音圧感度 : 106dB/mW
再生周波数帯域 : 5-30,000Hz
インピーダンス : 63Ω
最大入力 : 1000mW
コード長 : 約2.5m
コードの太さ :Φ4.0mm
プラグ :ステレオ標準プラグ
質量 : 約200g(コード含まず)

スタジオモニターヘッドホン「MDR-EX800ST」


スタジオモニターヘッドホン「MDR-EX800ST」

ソニーストア販売価格:26,400円(税込)
●業務用機材のためメーカー保証なし(有償)
●ソニーストア割引クーポン10%OFF
●提携カード決済で3%OFF

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