「CP+2016」ソニーブースで、”α6300”や”G Masterレンズ”に触ってきたレポート。
神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で2016年2月25日(木)~28日(日)の4日間開催された「CP+(シーピープラス)2016」。
もともとの予定では26日(金)あたりに行くつもりだったのに、直前に発表された、「α6300」と「G Masterレンズ」がCP+で実機展示されるとわかったら一日でも早く触りたい!という事で初日の25日(木)から行ってきたので、そのレポートを。
毎年2月に開催されるカメラと写真映像のイベント「CP+(シーピープラス)」。
パシフィコデジタル横浜 展示ホール1Fにソニーも出展していて、一眼カメラ”α”、サイバーショット、4Kハンディカムといった最新のカメラやレンズの展示と体験コーナーやスペシャルセミナー、撮影体験、全ての作品を4K対応液晶テレビ BRAVIAで鑑賞できる写真美術館をブース内に設置と盛りだくさん。
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●AFのスピードと追従する粘りっぷりが凄い”α6300”
まずは、「α6000」からの2年ぶりのモデルチェンジした「α6300」。
ボディカラーはブラックのみになって今まであったシルバー路線はなくなってしまったけど、ボディがマグネシウム合金に変わっている事もあって、見た目にも手に握ったときにも明らかに質感が高くなってるのがすぐにわかる。
α7をいつも使ってる事もあってちょっと巨大化したと言われてももう余裕でコンパクトさを感じられるサイズ感。
そして気になる「α6300」の0.05秒というAFスピードだけど、ひとまず周りの動いてる人から天井をグルグルまわる鳥にあわせてシャッターを半押ししたら、目的の被写体にピピっとあって、それ以降はずーーーっとフォーカスポイントが追い続けていってあとはシャッター切るだけ。
文章で書くと普通だけれども、最初のAFが合う時の早さと、いったん捕まえた後のフォーカスポイントの粘りっぷりが凄い。425点の像面位相差AFセンサーと169点のコントラストAFの、見えてる画面内にいれば絶対に逃さないぞ的な食いつきが気持ち良いのか悪いのかもうこれは驚くしかない。
もう激しく動きまわるようなスポーツでも、予測不可能な子供の早い動きでも、これなら迷わずシャッターがきれる。
よくある撮りたいのにAFが定まらなくて全然撮れないよ!というイライラから開放されるっぷりが凄い。
連写する時にも映像を表示しながら最高約8コマ/秒の高速連写できるようになっていて、これまた動く被写体を追いかけて撮る時にも凄くイイ。
他にもピンと拡大中にAFがきいたり、電子水準器を表示できたり、サイレントシャッターが使えたり、4Kムービーも撮れたりと、「α6000」にはなくて備わったものがモリモリある。
現場では詳細は比較はできなかったけど、感度がISO25600(拡張51200)まで使えるようになったという事は、同じISO感度なら「α6000」よりノイズが少なくなるという事にもなるし、こりゃAPS-C機としては相当イイ。
・超高速・高精度に進化した”4Dフォーカス”で撮りたいシーンを確実に残せるデジタル一眼カメラ「α6300」
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●想像していたよりも解像感とボケの柔らかさが突き刺さる”GMasterレンズ”
そして今回の一番の目玉といってもいい「G Masterレンズ」は、4月に発売を控えるズームレンズ(FE 24-70mm F2.8 GM) 「SEL2470GM」や単焦点レンズ(FE 85mm F1.4 GM) 「SEL85F14GM」と、6月発売予定の望遠レンズ(FE 70-200 mm F2.8 GM OSS) 「SEL70200GM」の実機の展示があった。
今回、3つ登場する「G Masterレンズ」のうちで、この明らかにクオリティも値段も上のレンズとなると、一番モトがとれる標準ズームの 「SEL2470GM」が一番気になっていた。
聞くと、今回は 「SEL2470GM」や 「SEL85F14GM」の2つのレンズに関しては、自分の手持ちのメモリーカードを入れて撮影して持って帰ってもいいよというルールになっていて、なんて太っ腹!今までこんな事なかったのにと思っていて、じゃあと思ったら、ハンズオンコーナーじゃなくて、ちゃんとモデルさんのいるシューティングコーナーで撮るほうがいいよねと思ったらそこにあったのは、全てα7RⅡ+「SEL85F14GM」の組み合わせ。
「G Masterレンズ」がどんなものか試せるなら全然OK!と思って撮りだしたのが運の尽き…。
以下に、α7RⅡ+「SEL85F14GM」で撮影した写真をいくつかαCafeにアップ。(すべてJPEG撮って出しの無加工)
タイトル : CP+2016 ソニーブース(久本舞 さん):組写真
撮影者 : kunkoku
撮影日 : 2016/2/26
カメラ : SONY ILCE-7RM2
レンズ : 「SEL85F14GM」 焦点距離:85mm
シャッター速度:1/400 絞り値:F1.4 露出補正:+0.7 ISO:100 ホワイトバランス:自動
タイトル : CP+2016 ソニーブース(今雪りえ さん):組写真
撮影者 : kunkoku
撮影日 : 2016/2/26
カメラ : SONY ILCE-7RM2
レンズ : 「SEL85F14GM」 焦点距離:85mm
シャッター速度:1/100 絞り値:F8 露出補正:±0.0 ISO:100 ホワイトバランス:自動
タイトル : CP+2016 ソニーブース(土屋希美 さん):組写真
撮影者 : kunkoku
撮影日 : 2016/2/26
カメラ : SONY ILCE-7RM2
レンズ : 「SEL85F14GM」 焦点距離:85mm
シャッター速度:1/100 絞り値:F3.5 露出補正:±0.0 ISO:100 ホワイトバランス:自動
このα7RⅡ+「SEL85F14GM」の組み合わせは相当にヤバイ。
もともとGレンズは柔らかいボケがウリで、カリカリのシャキっとした解像感がカールツァイスレンズのウリという別れ方だったけれど、例えばこの「SEL85F14GM」で撮った写真を見たら、ピントのあっている部分のその解像感がビシっと出ているうえに、そこからジワジワーっと自然にふんわりボケているのがわかる。
開放F1.4からまったく絞らなくてもピントのあってるシャッキリ感が出てるし、もちろん背景が近くても、前に(おそらく意図的に)置いてある花の前ボケも、もう気持ちいいくらいにフワっとしたボケ具合が、勝手にポートレート撮影がうまくなった気分にさせられてしまう。
それにコレ、α7RⅡなので画素数がハンパじゃなく、「7952 x 5304」という超高解像度で撮影されたデータになるので、PCに取り込んでアラ捜しのようにしてチェックできる。
F1.4にもなると被写界深度が狭すぎて、人の顔のそれこそ鼻とか少しずれて後ろにそれただけで失敗だ!となるのに、α7RⅡには強烈な「瞳AF」という、自動的に瞳にピントをあわせてくれるというズルい武器が相当威力を発揮してくれる。
瞳の位置から向いてる顔の角度に対して、どれくらい解像したものにしたいというときも「SEL85F14GM」のリングをカチカチっと回してシャッターを切れるとか、このシューティングコーナーにいると楽しくて仕方ない。
参考までに、α7RⅡ+「SEL85F14GM」で、モデルさんたちがポージングをしてくれる様子を4K動画で撮影してみた。
これを見てもわかるとおり、普通一般にポートレート撮影だと、モデルさんとコミュニケーションをしていろんなシチュエーションから仕草、ポーズを演出して撮らなきゃいけないというお膳立てをほぼこのシューティングコーナーでは用意してくれていて、そのうえで撮影できる。
モデルさんのその対応力にも感謝しながらも、このレンズの凄さというか、楽しさをしっかり味わえた気がする。
なるほど、どうりで撮影サンプルを持って帰ってもいいよという自信があるわけだと妙に納得。
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もちろんハンズオンコーナーでズームレンズ(FE 24-70mm F2.8 GM) 「SEL2470GM」も触ってみた。
さすがに思っていたとおり結構大きい。フルサイズのα7シリーズに付いているけど、その巨大さは一目瞭然で、ついこの前までデカイと思っていた「SEL1635Z」よりも一回り大きい。
ズームリングをまわすとレンズが前にせり出すのでさらに威圧度は増すのだけど、もうここまでくるとそれも気になるレベルじゃなくなってくる。
超高度非球面XA(extreme aspherical)レンズを含む13群18枚構成で、通しF2.8で使える待望の大口径ズームレンズ。
「SEL2470GM」の撮影サンプルはもらって帰ってないので厳密な表現は出来ないけれど、広角から望遠側までを通しF2.8で使えて、同じく「G Masterレンズ」の解像度とボケを両立しているレンズとしては相当に魅力的。
ちなみに、FEマウントの周辺の部分には、ゴムリングの処理をして、より防塵防滴に配慮しているという高いレンズだけあって細部まで細かい手が加えてある。
そうだ、肝心なことがもうひとつ、すっかりα7RⅡに装着して使ってたのでちっとも気にしていなかったけれど、ズームレンズ 「SEL2470GM」と単焦点レンズ「SEL85F14GM」には、”手ぶれ補正”がないので、カンペキに本体側の”手ぶれ補正”に依存。
だからもう、このあたりは手ぶれ補正内蔵したα7Ⅱシリーズを想定しているように思える。
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それから、モック展示ではなくて実機が置いてあった 6月発売予定の望遠レンズ(FE 70-200 mm F2.8 GM OSS) 「SEL70200GM」。
ただし、コンバーターレンズの2.0x Teleconverter Lens 「SEL20TC」と1.4x Teleconverter Lens 「SEL14TC」は、サンプルとして見ることは出来たものの、ドッキングさせる事は不可だった。
それこそ巨大なんじゃないか?と気になっていたけれど、サイズ感は思ったほどデカくない。
「SEL70200G」とくらべてみてもサイズはほとんど変わらないくらいで、ズームリングをまわしても全長の変化もなくて十分に取り回しはしやすそう。
当然だけどコンバーターレンズを装着する事を仮定すると、さらに数cm前方にせり出すのだけど、どの程度の強度感があるかとか知りたかった。
「SEL70200GM」の展示実機を構えてみると、ぐるぐる動いている鳥を狙うとシュっとピントがあってシャッターがきれる。
全域開放F2.8という明るい望遠レンズだけに、動体を追っかけるようなシーンでもシャッタースピードも稼げるし、実際に試し撮りをしてみると、自分の持ってきた「SEL70200G」との違いが顕著にわかる。
画質に関しては、「SEL70200GM」で撮影したデータは持って帰れないものの、「SEL85F14GM」で「G Masterレンズ」の威力がわかっているだけに期待値も大きい。
ファインダー覗いてみた感覚でも、「SEL70200G」のボケの気持ちよさにプラスさらにヌケの良さとピントのあった解像感の高さが加わった感じがして、望遠レンズにありがちなモヤっと感とはおさらばさ!な感じが凄くイイ。
こうなると一番怖いのは、正式に発表されたときの価格くらいで。
ちなみに、 「SEL70200GM」には”手ぶれ補正”は内蔵されていて、おそらく新型の「α6300」との組み合わせで、望遠&AF超高速の「狙い撃つぜ!」仕様も使い道によっては相当有効になると思われる。
そうなるとやっぱり、テレコンバーターレンズを装着しての撮影が物凄く試してみたくなる。(それはまたソニーストアで展示されるようになってから試してみよう。)
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●中井精也先生と魚住誠一先生のスペシャルセミナーを視聴
凄く楽しみにしていた著名なプロカメラマンによるスペシャルセミナー。
一コマ45分、休憩15分でセミナーが催されているのだけど毎回ひとだかりで少ない座席を確保するのが超大変。
けどこれは聴き応えっぷりがあるというか本気で楽しくて、特に中井精也先生の撮り鉄も、魚住誠一先生のポートレート撮影は争奪戦の席を確保して真剣に聴きモード。
お二人とも、プロカメラマンなのに?トークが物凄くおもしろくて、中井精也先生の話は随所にネタが仕込んであってこれはもはやセミナーがカメラ番組のようで、本当なら雪の降る夜にカシオペアが来るのをひたすら待ち続けるとか辛いはずなのに、撮影の楽しさというか醍醐味が伝わってくる。
セミナーを聴き終わったあとの撮影に行きたくなるモードが凄い。
そして、魚住誠一先生のポートレート撮影は、ゲストにモデルの三原勇希ちゃんを交えてのトークとなるのだけど、一枚の写真が出来上がるまでの難しさが、ついさっきシューティングコーナーで 「SEL2470GM」で擬似的にモデルさんを撮影する雰囲気を味わった後に聞くと説得力が物凄く伝わってくる。
しかも、壁一面に映しだされたポートレート写真が本気で凄い。
息を呑むほどの写真で次元の違いを感じながらもポートレート撮影にも興味が湧いてくる話だった。(被写体がいないけど…。)
・”PORTRAIT” Photography by 魚住 誠一 | α7S II GALLERY | ソニー
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●最後のオマケに、なんだかSONYのEマウントレンズの拡充っぷりが凄い。
最後に、例年と違ってというか、サードパーティのSONY Eマウント互換の動きが活性化してきて今までのポジションとは明らかに違いが!
SIGMAからは、シグマSAマウント用交換レンズとかシグマ製キヤノン用交換レンズを、Eマウントボディで使えるマウントコンバーター「MOUNT COMVERTER MC-11」が展示されていて、しかも今後はフルサイズ用のレンズも出てくる様子。
・MOUNT CONVERTER MC-11 発表:SIGMA
コシナからは、フォクトレンダーのEマウント用10mmレンズ「HELIAR-HYPER WIDE 10mm F5.6 Aspherical E-mount」、15mmレンズ「SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 Aspherical III E-mount」が出てきたり、参考出品ながらも、12mmの「ULTRA WIDE-HELIAR 12mm F5.6 Aspherical III E-mount」が展示。
どっちも、ちゃんと電子接点があってAFが動作するわExifにレンズ情報も入るわで、もうさんざんレンズ少ないとか言われてたのに、もはやこれらをあわせはじめたらレンズラインナップがドエライことに(;゚∀゚)=3ハァハァ
何だか、今まで若干肩身が狭かったSONYのしかもEマウントだけど、これはキテるよ!と実感できたCP+でしたとさ。
・超高速・高精度に進化した”4Dフォーカス”で撮りたいシーンを確実に残せるデジタル一眼カメラ「α6300」
・高解像度とぼけ味を高次元で融合した”G Masterレンズ” 「SEL2470GM」、「SEL85F14GM」、「SEL70200GM」、テレコンバーターレンズ登場。