35mmフルサイズミラーレス一眼カメラ「α7RⅡ」、外観レビュー。
35mmフルサイズイメージセンサーを搭載したデジタル一眼カメラ”α7”シリーズ。そのフラッグシップモデルとも言えるα7Rのさらなる上位モデルとして、有効約4240万画素の裏面照射型CMOSセンサーや、ボディ内に”光学式5軸手ブレ補正機能”を備えたα7RⅡの実機がついにやってきたので、開封して外観からチェックしてみよう。
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●デジタル一眼カメラ「α7RⅡ」の本体とアクセサリーを確認。
まずはパッケージ。α7RⅡは、発売時点では、ボディ単体モデルのみでキットレンズ同梱モデルは存在しない。外箱はα7シリーズ共通のα伝統のブラックを基調にサイドがシナバーカラーになったパッケージ。
開梱して中身をチェックしてみると、α7RⅡボディに、チャージャブルバッテリーパック 「NP-FW50」が2つ、ACアダプター「AC-UUD11」、バッテリーチャージャー「BC-VW」、ケーブルプロテクター、マイクロUSBケーブル、ショルダーストラップ。
ボディキャップ、シューキャップ、アイピースカップは、本体に装着済み。ほか取扱説明書といった付属品が入っている。
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背面のモニターに純正としてモニター保護セミハードシート「PCK-LM15」が適合する。素材はポリカーボネートのセミハードタイプで、貼り付ける時にスミの位置決めと、ホコリ混入だけ気をつければ簡単に貼り付けられる。デジタル一眼カメラは、アクティブに使うものなので、不意に画面に何かが当たっていつの間にか余計なコキズが入るとショックでかいので、液晶保護シートはできれば貼っておいたほうが良い。
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●大きく進化したα7RⅡのボディをじっくり見てみよう。
α7RⅡは、「35mmフルサイズセンサー」を搭載するEマウントのデジタル一眼カメラ”α7シリーズ”で、今までのEマウントのデジタル一眼カメラの定義として、ボディ側ではなくてレンズ側に手ぶれ補正機能を搭載していたものから、α7RⅡやα7Ⅱではボディ内に”光学式5軸手ブレ補正機能”を搭載。
ボディの形状も従来の”α7シリーズ”から大きく改良され、セカンドのネーミングどおり各所に違いがある。
特徴的なのは、「35mmフルサイズセンサー」を搭載してひとまわり大きくなったボディは、”光学式5軸手ブレ補正機能”が備わったこともあってさらに巨大化。
”α7”と比較すると奥行きのサイズは約12.1mm長く高さも約1.3mm高くなっていて、重量にいたっては166g増えていて、グリップが大きくなった事での見た目のデザインも印象が随分と変わってきた。
α7RⅡボディ
外形寸法 : 約126.9(幅) x 95.7(高さ) x 60.3(奥行き)mm
質量 : 約582g(ボディのみ)、約625g(バッテリーと”メモリースティックPROデュオ”を含む)
”α7”ボディ
外形寸法:約126.9(幅)x94.4(高さ) x 48.2 (奥行き)mm
質量 : 約416g(ボディのみ)、約476g(バッテリーと”メモリースティックPROデュオ”を含む)
コンパクトスナップというEマウントの当初のスタートからすると、”α7シリーズ”はギリギリそれを保とうとしていたというところから、α7RⅡでは、フルサイズのレンズを装着するもうデジタル一眼カメラのボディとしてのう剛性感やホールド性といったものを重視した方向性に向かっている。
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本体の奥行きが1cm以上大きくなりリーチが伸びて、かつグリップ部が大きく前面に出っぱる形状になったことで、今まで、”α7シリーズ”は指をひっかけるという感覚だったのに対して、 α7RⅡは右手全体でしっかりとボディをホールドするようになるので、持っているときの安心感がかなりある。
シャッターボタンの位置もボディの直上にあったものから、グリップ前面に配置された事で、本体をグリップした状態から人差し指で自然にシャッターが押せる。
α7Rでは、じっくりと撮るといった使い方だったのに、α7RⅡは、ブレーキ機構を採用した低振動シャッターを搭載投入して、メカ先幕/後幕の振動を α7Rの約半分に抑えて、電子先幕シャッターと組み合わせて振動を抑えて、かつ軽快にシャッターが切れる。ここの差はかなり大きい。
加えて、α7Sに搭載されたサイレント撮影もできるので、撮影音が出るとどうしても困るシチュエーションでも無音で撮影できるし、かつ全くの振動ない撮影もできるというメリットもある。
グリップ部に埋め込まれた前面のコントロールダイヤルと、背面にあるコントロールダイヤルは、厚みはより薄くなって、モードダイヤルはより大型化して、ご動作防止ボタンがつくなどして、よりAマウントの使い勝手に近くなっている。
天面にあるカスタムボタンが1つから2つに増えていて、合計で4つ(C1~C4)のカスタムボタンと、コントロールホイールにあるボタンもあわせて合計10箇所に、64項目の機能を好みで割り当てできるようになっている。(割り当てられる機能については後述。)
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ファインダー部分には大きく改良が加えられていて、まずアイピースカップも完全に別物になっていて、大きな飛び出しがなくなっていて、かつ柔らかい素材に変更。今まで”α7シリーズ”ではファインダーを覗いた時かなり硬い感触だったものから、α7Ⅱからアタリが柔らかいタイプに変わり、今回、α7RⅡでは薄くより周囲を覆うタイプのアイピースカップと変遷している。
そして一番の驚きは、ファインダーをのぞき込むと、目の前に広々と映るファインダー倍率0.78倍(全表示域の対角視野約38.5°)の広さ。しかもXGA( 1024×768 )と高精細でちゃんと隅々まで見える。上記画像は、実際に”α7”とα7RⅡそれぞれのファインダーに同一の距離から撮影してしたもので、ファインダーを覗きこんだ時のさらに広がった視野はまるで見え方が違う。
さらに、ZEISS T*コーティングを採用して、のぞいた時の映り込みも大幅に減らして、設定した結果から微細なピント合わせ、ぼけ像までをしっかり確認して撮れるというのは相当に使いやすい、というか、これを使い始めると他が使えなくなるほど。
左側面にあるマイク端子、ヘッドホン端子とマルチ端子とMicroHDMI端子は、硬い樹脂のパネル開閉ではなくて、少し軟質になったカバーをハメ込むタイプで、開け閉めの耐久性を増すためと、防水防塵に耐えられるように配慮しての変更。
バッテリーが心もとない時、例えば動画の撮影時にも、マルチ端子からモバイルバッテリーを接続してα7RⅡに給電できるようになったのもかなりの良ポイント。
α7RⅡには、ケーブルプロテクターが付属。
HDMIケーブルを接続して撮影する時に、万が一ケーブルの抜け防止の場合に使用できるようになっている。”α7S”に付属しているものとはもちろん形状が違う。
ボディの奥行きが長くなったことで、天面から背面にかけてボディ形状がナナメに傾斜して、メニューボタン、カスタムボタン(C3/拡大ボダン)が置かれていて、横からでも上からでも押しやすくなっている。
ちょうどこのアングルから見ると、α7RⅡ、4K、ZEISS T*コーティング、3つのこのモデルにしか備わっていない最高峰のロゴが揃って見えて、気分が高揚する部分だったりもする。
メモリーカードスロットも、従来の”α7シリーズ”は背面側にスロットが向いていたけれど、α7RⅡは横向きに。
”α7シリーズ”はこのスロットカバーの一部がグリップするところままで大きくカットされてたこともあって、親指がかかるとガタガタ動くのが気になる時もあったけれど、α7RⅡではカバーの開く部分が小さくなっているので、掴んでいる時の不快感もない。
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背面のモニターは、123万画素3.0型ワイド「エクストラファイン液晶」で、モニター自体の厚みが薄く、折りたたんでいるときは本体により埋め込まれているようになっている。
引き出すと上下のチルト機構は、上方向に約90度、下方向に約45度まで角度を調節ができる。2軸のチルトはとても重宝しているのだけれど、欲を言えば、縦位置で撮る時にも便利なα77Ⅱやα99のような左右も含めた3軸にして欲しかった。
底面も前後に広くなって接地面が一枚のプレートになっているので、三脚もしっかりと固定できる。
バッテリーの開閉スイッチは誤動作を防ぐために小さくなっていて、カチっとスライドするとフタがバネでパコっと開くようになっている。
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そして何といっても本体の剛性が明らかに上がっているのが顕著にわかるボディ。
しかも、α7Rでは、マグネシウム合金をトップカバーやフロントカバー、内部フレームに採用されていたものから、α7RⅡはさらにリアカバーにも採用しているのでボディ全体での剛性っぷりを含め質感も高い。
マウント部も剛性が高いといわれるα7Sよりもさらに剛性を上げていて、マウントアダプターとAマウントレンズを付けていても、マウントのリングを指で強く押してみると全くたわみもなく硬さがよくわかる。
これなら、マウントアダプターとAマウントの巨大レンズを付けていても、ガタつきも全くなく安心して取り回して使う事ができる。
相当にガチチガチのきっちりした平面のマウントになった事で、付属の樹脂性キャップですらキツく感じるほどで、気をつけないといけないのは、サードパーティ製のマウントアダプターを くっつける際に、もしも精度の低いもので歪みがあったりすると取り付けが大変だったり、もしくは取り付けたものの後から外れなくなる、なんて事もあるかもしれないので注意。
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●より細かく自分好みにできる設定。
さすが有効約4240万画素で、画像サイズは、Lサイズ:42Mというのは当然だけれど、驚異的なのはAPS-Cレンズを利用した場合でも、Lサイズ:18Mを保っている事。
それこそズームレンズ(FE 70-200mm F4 G OSS)「SEL70200G」の最大望遠200mmをAPS-Cモードの1.5倍にクロップして約300mm相当として使っても、約1800万画素レベルの撮影ができるという事にもなる。
AFスピードが速くなっただけではなくて、その調整もできるようになっていて、オートフォーカスがあっているか、あっていないかというタイミングでシャッターを切るタイミングも設定で変更できる。
「AF-S(シングルAF)」と「AF-C(コンティニアスAF)」個別に設定が可能で、[レリーズ重視]だとピントが合っていなくてもシャッターを切り、[フォーカス優先」であればピントがあうまでシャッターが切れない、[バランス重視」ではその両方のバランスをとるといった具合。
それから、フルサイズでも裏面照射型CMOSセンサーになったおかげで、高感度で低ノイズに大きく貢献して、常用でISO100-25600、拡張でISO50-102400までカバーという能力があるだけではなくて、ISO感度がかわりはじめるタイミングのシャッタースピードを設定する事も出来る。
それが、「ISO AUTO 低速限界」設定で、[FIRSTER(より高速)」、「FIRST(高速)」にするとより速いシャッタースピードでISO感度がかわりはじめるので手ブレや被写体ブレを防ぎやすく、「SLOW(低速)」、「SLOWER(より低速)」にするとより遅いシャッタースピードでISO感度がかわりはじめるのでノイズの少ない写真をとりたい時に向いている。
個別にISO感度を指定する事もできるので、撮影している時のISO感度のコントロールが出来るので非常に便利。
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「カスタムボタン」他各種ボタンに割り振れる項目もチェックしておこう。
ここをいじると、実際撮影する時に使いたい機能がさっと呼び出せて、より集中して思い通りに撮影できるようになるから、結構重要な役割。
メニューの「カスタムキー設定」を見ると、「コントロールホイール」、「カスタムボタン1・2・3・4」、「中央・左・右・下ボタン」、「AELボタン」、「AF/MFボタン」、「フォーカスホールドボタン」に設定を割り振れる。
まず、「コントロールホイール」に割り当てられるのは、絞り、シャッタースピード、ISO感度、ホワイトバランス、クリエイティブスタイル、ピクチャーエフェクトの6つ。(と未設定。)
それから、「カスタムボタン1・2・3・4」、「AELボタン」、「AF/MFボタン」、「フォーカスホールドボタン」に割り当てられるのが64コの機能。
<割り当てられる機能>
ド ライブモード、フラッシュモード、ブラケット時のセルフタイマー、調光補正、フォーカスモード、フォーカスエリア、フォーカスセット、露出補正、ISO感度、ISO AUTO 低速限界、測光モード、ホワイトバラン ス、DRO/オートHDR、クリエイティブスタイル、ピクチャーエフェクト、ピクチャープロファイル、顔検出/スマイルシャッター、美肌効果、オートフ レーミング、手ぶれ補正、手ぶれ補正調整、手ぶれ補正焦点距離、録音レベル、画像サイズ、縦横比、画質、カメラ内ガイド、登録、押す間AEL、再押し AEL、押す間スポットAEL、再押しスポットAEL、押す間FELロック、再押しFELロック、押す間FELロック/AEL、再押しFELロック /AEL、押す間AF/MFコントロール、再押しAF/MFコントロール、中央ボタン押しロックオンAF、瞳AF、AFオン、フォーカスホールド、絞りプ レビュー、撮影結果プレビュー、ブライトモニタリング、ズーム、ピント拡大、モニターミュート、MOVIE(動画)、ゼブラ、グリッドライン、マーカー表示切り替え、音声レベル表示、ピーキングレベ ル、ピーキング色、サイレント撮影、FINDER/MONITOR切替、スマートフォン転送、ダウンロードアプリ、登録アプリ一覧、モニター明るさ、TC/UB表示切替、未設定。
「中央ボタン」にのみ割り当てられる機能として、スタンダード、割り当てられない機能として、カメラ内ガイドがある。
また、「左ボタン」「右ボタン」「下ボタン」には、以下の機能は割り当てられない。
押す間AEL、押す間スポットAEL、押す間FELロック、押す間FELロック/AEL、押す間AF/MFコントロール、瞳AF、AFオン、フォーカスホールド、絞りプレビュー、撮影結果プレビュー。
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メニューボタンから「ファンクションメニュー設定」で、上段6コと下段6コに一つ一つ好みを設定して、各ファンクションに割り当てられるのは以下、33コの機能。
<割り当てられる機能>
ド ライブモード、ブラケット時のセルフタイマー、フラッシュモード、調光補正、フォーカスモード、フォーカスエリア、露出補正、ISO感度、ISO AUTO 低速限界、測光モード、ホワイトバラン ス、DRO/オートHDR、クリエイティブスタイル、撮影モード、ピクチャーエフェクト、ピクチャープロファイル、中央ボタン押しロックオンAF、顔検出 /スマイルシャッター、美肌効果、オートフ レーミング、画像サイズ、縦横比、画質、手ぶれ補正、手ぶれ補正調整、手ぶれ補正焦点距離、録音レベル、ゼブラ、グリッドライン、マーカー表示、音声レベ ル表示、ピーキングレベ ル、ピーキング色、サイレント撮影、未設定。
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Eマウントというカテゴリーでありながら、フルサイズの超高画素という要素に加えて、手ブレ補正や高速AF、ガッチリ堅牢ボディとレンズを含めてのカメラとしての取り回しのしやすさにシフトして、スペックを極めるだけではなくて、撮影することをより快適にという方向性に突き詰めていて、かなりの感動が詰まっている。
既に撮影テストと称して何度か持ちだしているけれど、AFの速さにもノイズの少なさにもかなり驚きがあって、自分なりに撮った映像含めて次回解説していこう。
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●α7RⅡボディと専用アクセサリー
デジタル一眼カメラ α7RⅡ ボディ「ILCE-7RM2」
オープン価格
ソニーストア販売価格:438,880円(税別)
●長期保証サービス(3年ワイド)無償
●8月7日発売予定
・35mmフルサイズ裏面照射型CMOSセンサー搭載”α7RⅡ”、国内向け製品ページがようやく完成して詳細が確認しやすく。
デジタル一眼カメラ α7M2 ボディ「ILCE-7M2」
ソニーストア販売価格:189,880円(税別)
●長期保証サービス:3年ワイド(無償)
縦位置グリップ「VG-C2EM」“α7Ⅱ”用
ソニーストア販売価格:33,880円(税別)
α7RⅡ、α7 II専用の縦位置グリップ。バッテリー「NP-FW50」』(別売)を2本装着できるため、長時間撮影が可能になる。
ソフトキャリングケース「LCS-ELCB」
ソニーストア販売価格:14,380円(税別)
・2014年12月5日発売
本革製ボディケースとレンズジャケットがセットになったα7RⅡ、α7 II専用ケース。ボディケースを装着したままバッテリーやメモリーカードの取り出しや、NFC機能の使用、USB接続が可能。