ニアフィールドパワードスピーカー「SA-Z1」を体験してみたレビュー。いつも自分の座っている目の前のデスクトップ空間が最高のステージになる贅沢。
デスクトップのようなパーソナル空間で、高い解像度と広大なステージ感を実現するハイレゾ音源対応のニアフィールドパワードスピーカー「SA-Z1」。
ニアフィールドリスニングスピーカーとしての姿といい、ソニーストア直営店で視聴してその解像度の高い音といい、まさにツボをついて欲しい!と思ったものの、なにしろ78万円+税。
価格のハードルが何よりも高い頂でありおいそれと手の届くようなシロモノではないけれど、どうしても誰にも邪魔されずに自分の世界(フィールド)で堪能してみたいと思い、数日間だけ実機をお借りすることができた。
<閲覧前の注意>
筆者はオーディオマニアではありません。一般市民です。
しかも高音部が聴き取れなくなっているくらいにいい歳になってきました。
個人的感情にまかせて書いてあるため、俯瞰して読んでいただき、気になったらソニーストアでぜひ視聴してみてください。
・パーソナル空間で高解像度とステージ感を実現するニアフィールドパワードスピーカー『SA-Z1』発売 | プレスリリース | ソニー
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目次
●ニアフィールドパワードスピーカー「SA-Z1」という存在。
ニアフィールドパワードスピーカー「SA-Z1」は、スピーカーからの距離が短い空間で、解像度の高い音や広大なステージ感を再現するスピーカー。
一番最初に見かけたのはちょうど1年前の2019年のIFAの時。
その時すでに€700くらいと言ってたので高っ!しか感想はなかったのだけれど、視聴した評論家やライターのひとたちの絶賛していた記事を見ていたような気がする。
現物が目の前に来たときは、その重厚な姿に内心気後れしながらもなんだろうこのいつにない高揚感。
スマホやカメラ、PCに夢中になりすぎている自分が、オーディオ機器でここまでテンション爆上げになるのはいつぶりだろう?
それこそ昔は音楽を聴くことが大きなステイタスであり憧れだった。
けれども何が大変かというと、音楽を聴くための機材はもちろんのこと、そもそもの聴く視聴環境を作ることが何よりもハードルが高い。
その一方で、ハイレゾ化とともに盛り上がりをみせたのがポータブルオーディオであり、ヘッドホン。
システムとして導入しやすいうえに、メーカーの意図した音を自分のいる部屋で再現できる。
その両者に割ってはいったのがニアフィールドリスニング。
ソファに座ってひろい空間で聴く部屋はいつまでたっても手に入りそうにないけれど、いつもいる空間が最良のリスニングフィールドになるならこんなにうれしいことはない。
前置きが長すぎたけれど、思うところがあってどうしても使ってみたかった。
さてその現物を目の前にして、早く視聴してみたいと心踊るのに、ガジェットブロガー?ライター?の性か長年のお約束なのか、各部を写真撮って解説したくなる。
早速セッティングしようと思って持ち上げると…、ヤバい、激重。
イッコあたりの重さが10.5kg。
このスピーカー、びっくりするほど大きくないのに激重。
高級スピーカーといったらウッドでしょうという定説を横目に何かの兵器かと思うくらいの重厚な金属の塊。
正直なめていたかもしれない。
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●スピーカーとアンプを共存する強固な2つのエンクロージャー構造。
「SA-Z1」は、前のブロックがスピーカー、後ろがアンプという構造。
6枚の分厚いアルミ板でできていて、強度を保ちつつたとえ金属でも余計な響きを抑制したエンクロージャー。
アンプ部のエンクロージャーには、ソニーのRシリーズやESシリーズに採用されてきたFB(フレーム・ビーム)シャーシに、ウォールを加えた、FBW(フレーム・ビーム・ウォール)を採用。
ウォール部は巨大なアルミの押し出しで製造しているため、高い剛性を誇る。
背面に見えるのは、切れ目のない一体構造になったヒートシンク。
温度傾斜を利用して上昇気流を発生させて放熱するために、穴のあいた煙突のカタチに。
アンプとスピーカーが一体化していても大丈夫なんだろうか?と思ってしまうけれど、スピーカーの部とアンプ部は羽のような形ブリッジで橋渡しされていて、電気回路にスピーカーの振動が伝わらない構造にもなっている。
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●ほぼ条件を問わないセッティング環境。
ちょっと動かすだけでも本気で力を入れないと動かない物体を調整してセッティング。
電源は左右のスピーカーそれぞれにあって、ぶっといケーブルを2本ぶん接続する必要がある。
左右のスピーカーは、データのやりとりや再生のを同期するために、付属のデジタル同軸ケーブルで接続。
網網の極太ケーブルで長さは2m。
左右のスピーカーをケーブル以上に広げて設置することはできない。
長い別売ケーブルといったものも発売されていない。
そもそもニアフィールドで聴くのが前提に作られているので、広げすぎても本来の性能を発揮できないし当然か。
左右のスピーカー間は60cmを下限に好みで調整。
設置する机はものすごい分厚いテーブルを用意しないといけないのか?というとそうでもないらしい。
そもそもが設置を選ばないことがコンセプト。
「SA-Z1」の底面には、本体の金属ボディとは別に5mm厚の鉄板が敷いてあるのがわかる。
そこに大きいゴム足が4点で支えている。
この高強度の鋼板自身が強固な土台となり、かつグラウンドの役割を持っていて、机の材質や厚さに左右されることなく物理的にスピーカーを安定させられる。
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●デジタルとアナログ、豊富な入力端子。
入力端子は、スピーカーユニットのサイド面に、USB-B端子、ウォークマン端子、光デジタル端子、アナログステレオミニプラグ。
背面に、XLR音声入力端子と、ステレオアンバランス(RCA)入力端子。
デジタルからアナログまでたくさん備わっていて、ほぼどういったプレーヤーでも再生することができる。
付属しているケーブルは、USBケーブル(USB-C⇔USB-B)、ウォークマン用デジタルケーブル(WMポート⇔USB-C)。
ウォークマン用デジタルケーブルのUSB-Cの横についているのは充電用の端子で、ウォークマンを再生しながら充電することもできる。
いくら近くに置くとはいえ、設定を変更するさいに直接本体まで手をのばすのが面倒な場合には重宝する。
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●設定と音調整機能。
真ん中にノートPCを置く場合は必然とスピーカーの距離は保てるのだけど、ウォークマンのようなポータブル機器だけであわせるとやたら近くなりがちなので最低60cmくらいの間隔をあけよう。
ちかい位置で聴くということもあって、指向性を考えるとスピーカーは内側に向けないといけないのかと思っていたらそうではないらしくて、平行(0°)から20°くらいで聴こえ方で調整するとよいとのこと。
パソコンと繋ぐ場合、USBケーブルを接続すると、自動的にドライバー(Sony Amplifier Driver)が自動的にインストールされる。
操作系は非常にシンプルで、接続して聴きたい機器にINPUTボタンを繰り返しおして選ぶだけ。(USB-B、WM、OPT、BAL、UNBAL、ST MINI)
右にある音量つまみはアルミの削り出し。
程度の抵抗を感じながらスムーズにまわして音量を調整。
「DSEE HX」をONにすると、圧縮音源やCDの音源をハイレゾ相当の高解像度音源にアップスケーリングする。
「DSD RE」をONにすると、PCM信号を元データの情報量を損なわずに11.2MHzまたは12.2MHzのDSD信号に変換する。
基本これだけ。
4つあるつまみは、任意に好みで音質の調整ができる。
「D.A. ASSIST(D.A. ハイブリッドアンプANALOG ASSIST)」
デジタル信号の誤差成分補正量をアナログ回路で変えて、音色を調整する機能。
「A.WF MOTION(アシストウーファーMOTION)」
前方のメインウーファーと逆向きに配置されている後方のアシストウーファーの動作を切り替えて、音場感や広がり感を調整する機能。
「A.WF FREQ RANGE(アシストウーファー FREQENCY RANGE )」
後方のアシストウーファーの周波数範囲を標準設定から狭める、もしくは広げることで低域の量感や音色を調整する機能。
「A.TW TIME ALI(アシストトゥイーター TIME ALIGNMENT )」
前方のメインウーファーに対してトゥイーターのタイムアライメント(音の出るタイミング)を切り替えて、音色を調整する機能。
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●ニアフィールドで感じる広大なステージで聴いている感覚。
いつも撮影しているブースにポン置きしただけで、周囲には特になにも仕切りのない状態。
自分の耳には自信はないので、いつも聞き慣れている楽曲を再生してみると、このスピーカーユニットの揃った異常なまでに指向性の強そうな見た目とは裏腹に音に包まれている感が凄い。
先入観でなるべくスピーカーから離れてその直線上にいたほうが良いと思っていたのだけれどそうではなかった。
ボーカルは目の前に定位して、まさにアーティストが前で歌っていて、コーラスや余韻は周囲から包まれている感覚。
”広大なステージ感”と”実在感のある音像”が最大の魅力というべきか。
目をつむるとスピーカーの居場所がわからないほどで、見た目の固定概念が吹き飛んだ。
本格的なオーディオスピーカーの場合だと、数メートル離れた位置に座って聴くことを前提としてセッティングしていて、それをあえて至近距離で聴こうものなら音のズレを感じてしまって正直聴くに耐えられない。
なのにそれがない。
これはハマる。
それには理由があって、それがこの独特なスピーカー配置(ESシリーズで開発されたI-ARRAY™ System)。
高音を発するトゥイーターから、ウーファーから出る低音にいたるまですべてを同時に耳に届くように、トゥイーターとウーファーの中心が同じ軸上にミクロン単位で厳密に配置。
3つのトゥイーターを1つのトゥイーターのように機能させる技術。
口径が大きくて音圧の高いメイントゥイーターと、指向性が広いアシストトゥイーターを上下にはさみ合わせて、高域にも自然で広い音の指向性と広帯域化を兼ねそなわせている。
それから、一つのスピーカーに8チャンネル、左右で16チャンネルもあるデジタルアンプとアナログアンプの音の出力タイミングを緻密にコントロールして、音波の波面を揃えることで、マルチウェイスピーカーでありながら完全な点音源化。
この2つの正確さの追い込みが尋常ではないおかげで、この体験ができている。
それから、前のウーファーと向き合うように後ろ向きに配置された2つのウーファー。
向き合うように配置してお互いの振動を打ち消し合って、ウーファーの不要な振動を極限まで抑えてるという構造(つづみ構造)。
スピーカーの横にあるスキマ(音道)から低音を放射。
この至近距離の空間でも偏りのない広がりを感じラエル。
スピーカーの置く位置によって、後ろに壁がある場合は10cmくらい間をあけるのを基本として、壁に近づけるほどに低域が増してくるので、そういった調整も楽しみに入れられる。
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●自分の一番いる場所で使ってみたかったニアフィールドパワードスピーカー「SA-Z1」。
最低限の作法は心得たところで、本来やりたかった状況を作り出してみたい。
ニアフィールドパワードスピーカー「SA-Z1」が喉から手が出るほど欲しかった理由はたったひとつ。
デスクトップPC環境のスピーカーとして使ってみたかったのだ最大の理由。
みんな生活スタイルはバラバラだとおもうけれど、その中で一番自分のいる時間の長い場所というのがあるはず。
それが、自分はこのデスクトップ環境だということ。
大きなBRAVIAがあってもそこで視聴できる時間はなかなか持てないし、ウォークマンもヘッドホンもあるけれど通勤は車なので利用するときは出張の時がほとんど。
だとすると、いつも恒常的にいるところで最高のスピーカーがあったらいいじゃないと。
しかも自作PCまわりが中二病全開でこの佇まいこそが我がステイタス。
ここに「SA-Z1」を置いてみたかった。
ちなみに平時は、ディスプレイ2枚が並ぶ仕事モードではあるけれど、お試し期間だけはエンターテイメント重視。
メインディスプレイを真ん中に据えて、その両サイドに「SA-Z1」。
左右のスピーカーの距離はおよそ100cm。
ゲーミングチェアに腰掛けて、自分の位置からスピーカーまでの前後の距離は約80cm。
スピーカーは平行ではなくて約10°ほど内側に向けて配置。
もう1枚のディスプレイは左手に追いやって、仕事効率は落ちようがお構いなし。
この状態で、「Music Center for PC」を立ち上げて音楽を聴くと、それはそれはモニター内蔵のスピーカー(一応はharman kardon)で聞いていた音とは段違い。
ときにはウォークマンをこの場でつないで聴く。
自分の好みの曲は、ハイレゾ音源ばかりではなくてCDからリッピングしたFLAC、PCMやMP3まであるけれど、ひさびさにこの場所で音楽を純粋に長時間聴き入ってしまった。
先程の言ったとおり、スピーカーの位置情報が頭から消える。
あえて言うと、高級ヘッドホン「MDR-Z1R」で聴いたときの情報量の詰まった解像度に加えて、スピーカーから聴いているような広がり。
それでいてヘッドホンを装着している閉塞感はなく開放的で、メインの音は前方に定位していながら高音が上から降ってくるような、これが音に包まれている感覚になる。
スピーカーの位置よりも自分の頭のほうが上にあるにもかかわらす。
厚めのコの字型のパーティーションを設置していることもあって、広いスペースで聴くときとはまた低域が増している。
PCデスクにただ置いただけで、剛性が高い高級なオーディオテーブルではないけれど、低域をかなり大きく発しているときでもビリビリと響くこともない。
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●もっと展開してほしいニアフィールドリスニング。
そしてなんとも楽しいのは、まったくソースにこだわらなくて良いこと。
PCでゲームでもYou TubeほかVODをはじめとして、なんなら他からもってきてRCAピンでつないでも良い。
条件によっては音源の質は大小はあるにせよ、
作業に真剣になりすぎて忘れていた、コンテンツを楽しみたい気持ちがモリモリと上がってくる。
家に帰ったらBRAVIAとサウンドバーがあるし、仕事が終わって帰ってからでいいかと思っているうちに結局見なかった動画や遊ばなかったゲームがどれだけあることか。
一応ことわっておくと、視聴覚室のような環境で用意されたハイエンドなスピーカーから全身の肌にまで感じられるようなものではないので、何がなんでも一番凄いというものではない。
けれど、環境的なセッティングをここまで簡易に深く考えずに置いただけで、この長く聴き続けていたいと思えるフィールドができあがってしまうのは凄いのではないかなと。
詳細な音のニュアンスを伝えきる能力が欠落していることは申し訳ないけれど、ニアフィールドパワードスピーカー「SA-Z1」に興味が芽生えたとしたら、ぜひともソニーストア直営店(銀座・札幌・名古屋・大阪・福岡天神)で視聴してみて欲しい。
これで返却しないといけないのだけれど、なくなるとこれほど惜しいなんて。
自分にとってニアフィールドスピーカーというジャンルがここまでドハマリするとは思わなかった。
願わくば、「SA-Z1」の弟分的なもう少しリーズナブルなニアフィールドパワードスピーカーもぜひ発売して欲しい。
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ニアフィールドパワードスピーカー「SA-Z1」
ソニーストア販売価格:780,000 円+税⇒ 700,000円+税
●長期保証<3年ベーシック>付
●ソニーストア割引クーポン10%OFF
●提携カード決済で3%OFF
・Signature Series 究極の解像度と圧倒的なステージ感のために ニアフィールドパワードスピーカー『SA-Z1』開発者インタビュー
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