超望遠ズームレンズ Gレンズ FE 200–600 mm F5.6–6.3 G OSS 「SEL200600G」をソニーストアで触ってきたレビュー。快適インナーズームと高速AF、テレコンバーターが使える魅力に物欲MAX!
続々と増えるEマウント専用のフルサイズ対応レンズにあってまだまだ足りない超望遠ズームレンズ。
FE 100-400mm F4.5–5.6 GM OSS「SEL100400GM」やFE 400mm F2.8 GM OSS「SEL400F28GM」まで揃ってきたものの最長望遠は焦点距離400mm。
まだ他メーカーのラインナップと比べると手薄。
そこに、いきなりFE 200–600 mm F5.6–6.3 G OSS SEL200600GとFE 600 mm F4 GM OSS「SEL600F40GM」の2本が登場。
600mmでF4いわゆる”ロクヨン”は、G Masterレンズという立ち位置で受注生産という価格もおいそれと手に入れられるシロモノではないけれど、200mmから600mmまでをカバーするGレンズFE 200–600 mm F5.6–6.3 G OSS 「SEL200600G」は、取り回しやレンジの広さ価格面からしてもかなり興味をソソられる。
そんなの発売日より前触りたくなる衝動に駆られて、ソニーストア 直営店に先行展示されている実機をさわってきた。
・焦点距離200mmから600mmまでをカバーする超望遠ズームレンズGレンズ(TM)『FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS』発売 | プレスリリース | ソニー
・世界最軽量、プロ向け 大口径超望遠単焦点レンズGマスター(TM) 『FE 600mm F4 GM OSS』発売 | プレスリリース | ソニー
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●FE 200–600 mm F5.6–6.3 G OSS SEL200600Gの大きさを実感。
FE 200–600 mm F5.6–6.3 G OSS 「SEL200600G」の初見、それはもうデカイの一言。
覚悟していたけれども、デカイというべきか長いというべきか。
もうEマウントレンズ=小さいというのは随分前のことだったのか、物理的に望遠とその性能を加味すると今も昔も変わらず光学設計の摂理にともなってか巨大化するのは致し方なしといったところ。
サイズは、直径は111.5 mm 、長さは318 mmの30cm超えで、重さも 2,115gとヘビー級であるよ。
だがしかし驚いてはいけない、ロクヨン「SEL600F40GM」に至っては、163.6 mm x 449 mm、3,040gにもなるのだから、コレを思えば全然ちい…さい。
ちなみに、ソニーストア福岡天神にこの時置いてあったヨンニッパ「SEL400F28GM」と「SEL100400GM」と一緒に3本比べてみた。
左から順番に
FE 100-400mm F4.5–5.6 GM OSS「SEL100400GM」
サイズ : 93.9 x 205 mm
重量 : 1395g
FE 200–600 mm F5.6–6.3 G OSS SEL200600G
サイズ : 111.5 x 318 mm
重量 : 2,115g
FE 400mm F2.8 GM OSS「SEL400F28GM」
サイズ : 158.1 x 359 mm
重量 : 2895g
フードの大きさも含めるともう異次元サイズの「SEL400F28GM」だけれど、ヨンニッパ界隈ではコンパクトかつ軽量な部類に入る。
そして、今までMAXで巨大だと思っていた「SEL400F28GM」がもはや小さく見える錯覚に陥る。
ぶっちゃけボディが隠れてほとんど見えない。
「SEL200600G」を正面から見ると、フィルター径は95mmとなんとも大きい前玉。Eマウント最大サイズを更新してかなりの迫力。
ヨンニッパ・ロクヨンまで巨大になると、フィルターはレンズ後方にある差し込み式で、φ40.5mmフィルターを装着するタイプなのでちょっと事情が違う。
レンズ最前面にはフッ素コーティングが施されていて、指紋やほこり、水滴、油、泥などが付きにくく、万が一付着しても簡単に拭き取れるようになっている。
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●FE 200–600 mm F5.6–6.3 G OSS SEL200600Gのハード周りをチェックする。
改めて、FE 200–600 mm F5.6–6.3 G OSS 「SEL200600G」は、35mmフルサイズ対応α Eマウントレンズとして、望遠200mmから超望遠600mmまでをカバーし、ズーム全域での高解像と美しいぼけ描写を実現した、超望遠ズームレンズGレンズ。
最大望遠600mm、APS-C機に装着すれば最大900mmでの撮影も可能になるので、Eマウントレンズの中で現時点では最長望遠レンズに君臨。
レンズ側に光学式手ブレ補正機構を搭載しているので、手ぶれ補正機能を内蔵しないEマウントカメラを使った場合の手持ち望遠撮影でもブレを軽減してくれる。
[フォーカスモードスイッチ]は、AF(オートフォーカス)とMF(マニュアルフォーカス)の切り替え。
[フォーカスレンジリミッター]は、AF時の駆動範囲を全域でAFが駆動する[FULL]・10mから2.4mの間でのみAFが駆動する[10m-2.4m]と無限遠から2.4mの間でAFが駆動する[∞-2.4m]の3段階。
手ぶれ補正のON/OFFスイッチ。
[MODEスイッチ]は、光学式手ブレ補正を通常モードのMODE1、流し撮りに便利なMODE2から選択可能で、MODE2は躍動感を演出する流し撮りなどに使える。
コンティニュアスAF時にピント位置を固定したり、本体からの割当で固定機能を割り当てできる「フォーカスホールドボタン」は、3箇所90度ごとに配置。
縦横どちらのポジションでも的確に押せる超便利ボタン。
三脚座は脱着式で、三脚撮影時に素早く手持ち撮影にきりかえたり、軽量化もしくはバッグに収納するときに取り外すといった使い方ができる。
インナーズーム方式は、ズームしてもレンズの全長が変わらないので、非常に剛性が高く前後のズーム動作が思いの外スムーズ。
望遠撮影時の自分のレンズの采配時のスムーズさは、レンズ性能以前に結構重要だったりする。
おまけに、撮影時に伸びた前玉を不意に前方にぶつけてしまうようなアクシデントもなければ、レンズの鏡筒がのびている姿から見せる怪しさも軽減される。
逆に、ズームリングを回さずにレンズ前方を持ってススッと調整した撮り方はレンズの全長が変わるタイプだからこその出来る技なので、好みの違いでもある。
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●FE 200–600 mm F5.6–6.3 G OSS 「SEL200600G」で撮影テスト。
なにしろ焦点距離600mmという超望遠レンズになるとテストするのもなかなかに大変。
ソニーストア福岡天神の屋内から飛び出して外に犬と猫の置物を置かせてもらって撮影テストをしてみた。
良かったのか悪かったのか店外は人通りが多くて、絶えず被写体が遮らえたりするので結果としてオートフォーカスの挙動と精度を含めて試すこともできた。
※以下、撮影時の被写体への距離はおよそ同じ場所であり、明るさも一定ではありません。あくまでも参考程度にお考えください。
カメラ : α7III
レンズ : 「SEL200600G」 焦点距離:200mm
シャッター速度:1/500 絞り値:F5.6 露出補正:±0.0 ISO:640 ホワイトバランス:自動
カメラ : α7III
レンズ : 「SEL200600G」 焦点距離:600mm
シャッター速度:1/500 絞り値:F6.3 露出補正:±0.0 ISO:2500 ホワイトバランス:自動
さすが望遠端600mmともなると被写体を大きく撮影できる。
開放絞りは、200mmのF5.6からズームするとF6.3と通常のレンズと比べるとどうしても暗くなりがち。
明るい日中は良いとして、曇がちの天気や夕方以降など光量が落ちてくると、シャッタースピードやISO感度に影響が出てくるので撮影時には今までよりも気をつけておく必要がでてくる。
※フォーカスの挙動は↑こちらの動画内で確認できます。
最近ではソニーのαシリーズの高速AFの進化は凄まじくて、ヨコ移動はカメラの像面位相差とアルゴリズムによりグイグイ食いつくことが当たり前になってきたけれど、あとはレンズのフォーカシングがボトルネックになる時代。
前後の距離の異なるフォーカスを捉える場合、物理的にレンズ(フォーカス群)が動く以上は、いかにそれを高速かつ高精度に動作させるかが重要になる。
「SEL200600G」は、DDSSM(ダイレクトドライブSSM)を搭載していて、どれくらいのレスポンスなのか。
「SEL400F28GM」や「SEL600F40GM」に備わるXD(extreme dynamic)リニアモーターではないしもしかしてモッサリ駆動だったらどうしよう?と心配したけれど、その予想は大きく覆された。
また高速に移動する被写体を追いかけることを想定して、「SEL200600G」を大きく振り回しながらフォーカスしてみるともうかなりの高レスポンス。
文句なしに速い!このスピードなら、あとは自分自身が被写体に追いつけるくらいレンズを取り回しさえすればあとはカメラとレンズ性能でどうにかなる。
あとは「SEL600F40GM」が買えない言い訳でもあるけれど、600mmだけでいざ捉えようとすると、被写体を見失ってそれっきりになるかもしれない。
そんなときは200mmまでひいて被写体を見つけてズームといったこともできる。
もしも近すぎて入り切らないという場合や、もう少し背景を取り入れたいというシチュエーションがあったときにも焦点距離を変えられるのはズームレンズならではの良さと思うことにしよう。
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●「SEL200600G」はテレコンバーターレンズに対応、最長1,200mmの超超望遠が可能!
そして最高に物欲を上げてくれるのが、「SEL200600G」のテレコンバーターレンズ対応。
今までの流れからして、テレコンバーターレンズが使えるのは、望遠レンズでもG Masterレンズだけなんじゃないかと思ったら、まさかのGレンズとして初対応。
1.4x テレコンバーター「SEL14TC」を装着すれば焦点距離が1.4倍、2.0x テレコンバーター「SEL20TC」を装着すれば焦点距離が2倍に伸びて、レンズの描写性能をほぼ損なうことなく超超望遠撮影ができる。
「SEL200600G」に1.4x テレコンバーター「SEL14TC」装着した場合の焦点距離は、280 – 840 mm。
1.4x テレコンバーター「SEL14TC」を使用した場合、一段分暗くなるため開放絞りはF8-9となる点に注意。
カメラ : α7III
レンズ : 「SEL200600G」 焦点距離:280mm
シャッター速度:1/320 絞り値:F8 露出補正:±0.0 ISO:320 ホワイトバランス:自動
カメラ : α7III
レンズ : 「SEL200600G」 焦点距離:840mm
シャッター速度:1/500 絞り値:F9 露出補正:±0.0 ISO:800 ホワイトバランス:自動
デジタル一眼カメラα9 / α7RIII / α7III の3機種を例にしてみると、それぞれ、高速な被写体に有効な像面位相差の動作する絞りの限界値が異なる。
α9(ver.5.0以降)では限界値がF16、α7III では限界値がF11、α7R IIIでは限界値がF8。
限界値を超えるとどうなるかというと、コントラストAFに切り替わる。
AF-C(コンティニュアスAF)での連写をした場合、シャッターをきった一枚目にフォーカスが固定してしまうため速い被写体には不向きということになる。
ややこしい条件ではあるけれど現状、1.4x テレコンバーター「SEL14TC」を利用して有効なのは、デジタル一眼カメラα9 / α7III の2機種という点に注意しよう。
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「SEL200600G」に2.0x テレコンバーター「SEL20TC」装着した場合の焦点距離は、400〜1,200 mm。
2.0x テレコンバーター「SEL20TC」を使用した場合、今度は二段分暗くなるため開放絞りはF11-13とさらに暗くなる。
カメラ : α9
レンズ : 「SEL200600G」 焦点距離:400mm
シャッター速度:1/500 絞り値:F11 露出補正:±0.0 ISO:1600 ホワイトバランス:自動
カメラ : α9
レンズ : 「SEL200600G」 焦点距離:1,200mm
シャッター速度:1/500 絞り値:F13 露出補正:±0.0 ISO:2500 ホワイトバランス:自動
像面位相差の動作する絞りの限界値からすると、2.0x テレコンバーター「SEL20TC」を利用して有効なのは、デジタル一眼カメラα9のみ。
一応、あくまでも一部制限ができるということで、全く使えないということではない。
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撮影した写真だけを見ると感覚が麻痺してくるけれど、実際にはこの距離である。(スマホで撮影:およそ焦点距離24mm)
超超望遠で、しかも人が行き交う中での撮影なので思った以上に大変だったけれど、そのスキをぬった瞬間にフォーカスをあわせて撮るまでが完結できているのでストレスもなく。
正直レンズ自身が2kgもあってずっと構えているには重たくて、時間が経過すると自分の腕がプルプルして自らブレを発生しているはずの中でガッツリ手ぶれ補正も効いている。
望遠レンズでありがちないわゆるモヤっとした感じもなくヌケのよいスカッとした画で解像感高く撮れるのはとても満足いく成果物が残せるんじゃないかと。
G MasterレンズじゃないしGレンズだしなーと若干侮っていたことは否定できないけれど、実際に触ってみて物欲MAX。
Gマークがオレンジ色じゃないというだけで、レンズの剛性も質感も高くてインナーズームの使い勝手もあれば、オートフォーカスはかなり高速で被写体をズーム全域で追っかけられる性能は充分に納得いくレベル。
レンズの明るさや解像っぷりは「SEL600F40GM」に及ばないのはそれは価格差にあるとして、実際に年に何度出動するかとか、保管はどうするのかとか、撮影現場に持ち出す移動中の苦行とか、被写体を追い回すときの体力を必要とするハードワークをもういろいろ言いように脳内で理解すれば、「SEL200600G」は超ベストアンサーなんじゃないかと思える。
もうすでに手元にある1.4x テレコンバーター「SEL14TC」と2.0x テレコンバーター「SEL20TC」も日の目をみる機会がドッカンと上がる。
航空ショーの戦闘機撮影も、子供の運動会もこうなったら「SEL100400GM」と「SEL200600G」の2本バズーカだって可能なのである。
さて、ソニーストアでの先行予約開始は、6月18日(火)10時から。
「SEL600F40GM」の180万円に感覚が狂わされてしまって、随分リーズナブルに見える魔法にかかって、SNS界隈でも異常な期待値があがる「SEL200600G」。
もう毎度恒例というか、新しいレンズが出るたびに枯渇するのがソニーのレンズのお約束パターンなので、欲しいとおもったらすぐにポチるのが吉。
今年の秋の運動会も野鳥たちも、総火演も航空ショーも待ったなしなので、決断したらすぐ買おう。
あとテレコンバーターも絶対に在庫切れの未来しか見えないので忘れずに。
<参考>
α Eマウントレンズにやってきたヨンニッパ FE 400mm F2.8 GM OSS「SEL400F28GM」レビュー。「SAL300F28G2」や「SEL100400GM」と撮り比べしてみた。
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●FE 200–600 mm F5.6–6.3 G OSS 「SEL200600G」
FE 200–600 mm F5.6–6.3 G OSS 「SEL200600G」
メーカー希望小売価格:278,000円+税
ソニーストア販売価格:未定
●6月18日(火)10時から先行予約販売開始
発表時ではメーカー希望小売価格のみしかわかっておらず、ソニーストアでの販売価格は不明。
しかしながら、およそ1割弱程度安い価格になることと、同価格のFE 24-70mm F2.8 GM「SEL2470GM」のソニーストア販売価格が252,500 円+税とするとほぼ同価格ではないかと予想。
そこから10%OFFクーポンを利用すれば8%の税を加味して24.5万円程度で購入できるのではと考えられる。
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●「SEL200600G」は、1.4x テレコンバーターレンズ『SEL14TC』、2x テレコンバーターレンズ『SEL20TC』に対応。
2.0x テレコンバーター「SEL20TC」
希望小売価格:70,000円(税別)
ソニーストア販売価格:57,130円(税別)
・αあんしんプログラム
1.4x テレコンバーター「SEL14TC」
希望小売価格:70,000円(税別)
ソニーストア販売価格:57,130円(税別)
・αあんしんプログラム
- 主レンズの描写性能を活かし、高コントラストを実現
- 主レンズと同等の高精度、高速AFを達成
- Exifデータ記録が可能
- カメラ、レンズ同様に防塵防滴に配慮
- 主レンズになじむシンプルな形状と脱着しやすいローレットデザイン、ロックスイッチ付き
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●ソニーストア 直営店舗(銀座・札幌・名古屋・大阪・福岡天神)
※ソニーストア直営店(銀座・札幌・名古屋・大阪・福岡天神)にて購入の際、ショップコード「2024001」を伝えていただくと当店の実績となります。
ご購入される方はよろしければ是非ともお願い致します。
ソニーショールーム / ソニーストア 銀座
街の中心にある銀座四丁目交差点に面したGINZA PLACE(銀座プレイス)4階~6階。
東京メトロ銀座線・丸の内線・日比谷線「銀座駅」A4出口直結
営業時間:11:00~19:00
ソニーストア 札幌
地下鉄「大通駅」12番出口から徒歩1分。4丁目交差点すぐ
営業時間:11:00~19:00
ソニーストア 名古屋
名古屋市営地下鉄栄駅サカエチカ8番出口。丸栄百貨店南隣
営業時間:11:00~19:00
ソニーストア 大阪
大阪駅/梅田駅から徒歩5分程度。ハービスエント4階
営業時間:11:00~20:00
ソニーストア 福岡天神
西鉄福岡(天神)駅南口から徒歩5分。西鉄天神CLASS
営業時間:12:00~20:00