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究極のモバイルVAIOノート「VAIO tyepZ」レポート(パフォーマンス編その1)


・究極のモバイルVAIOノート「VAIO tyepZ」レポート(プロローグ)
・究極のモバイルVAIOノート「VAIO tyepZ」レポート(ディスプレイ編)
の続き。

小型化の進んだモバイルノートにもかかわらず
それに相反するハイパフォーマンス性能を持つVAIO typeZ。

まず、
そのパフォーマンス性能を語る上でまず認知しておきたいのは、
VAIO typeZにも搭載される事になった
最新のIntel Centrino2 プロセッサーテクノロジー


そもそも「Centrino2」とは何か?
と言うと、
Intelが提唱するCPUとチップセット、無線LANモジュールの3つのパーツに
それぞれ最新のパーツを組み合わせものを総称したブランドのようなもので
3つがすべて揃って初めて「Centrino2」という名称が付く。

Centrinoというブランドは、
2003年から始まり、今回で6世代目となり、
開発上のコードネームでは「Montevina」と呼ばれていて
イメージがいやすい事もあって、
ユーザー間ではそのままコードネームで呼ぶ事も多い。

以下が、
Centrino2(Montevina)で構成される定義になる。
・45nmプロセスで作られたIntel Core 2 Duoの最新CPU
・Intel GM45/PM45 Expressシリーズチップセット
・Intel WiFi Link 5000シリーズのワイヤレスモジュール

これらの性能を生かしつつ、
いかにVAIO typeZのワクの中に収めるのか、
それが開発の手腕の見せ所となる。

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<12層にまで高密度化されたマザーボード>


PCの核となるチップセットは、
GS45 Express チップセット・ファミリーのうち
グラフィックスコアを統合した「Intel GM45 Express」を採用して
これをVAIO typeZのマザーボードの根幹に実装させる事になる。

GM45 Expressのチップセット性能としては
FSBは、1066MHzと667MHzに対応、
(なぜか800MHzには非対応)
メモリーは、
DDR2-800MHz/667MHzと
DDR3-1066MHz/800MHz/667MHzに対応。

グラフィックスコア「GMA4500MHD」は、内蔵グラフィックとは言え
DirectX 10に対応、
Blu-Rayを再生する力もあれば、
HDMI端子を搭載可能にする能力まで持っている。


(SZのマザーボードと、VAIO typeZのマザーボード)

VAIO typeZは、フットプリント(縦横サイズ)が
SZシリーズと比べて10%も削減されていて、
という事はその分だけ、
いろいろなデバイスを載せる場所が狭くなっている。

「あ、そう」
みたいな単純な話ではなくて、
そこに収めようにも、
CPUとかメモリーとか光学ドライブとか
規格がもともと決まってしまってる物体の大きさは変えられるわけがなく、
そうすると残った
マザーボードや、廃熱クーリングファンを小型化する設計を考えることが
最大の焦点になる。

もちろん、
そのマザーボードとクーリングファンにかかるシワヨセは
半端なものではなくて
SZシリーズからすればなんと40%も縮小しないと
もう入るスペースがありません!という話なのだから
これはかなり頭の痛い話ではある。


それをどうして実現していくかというと、
あたかも1枚の板に見える基盤は、
実は12層もの配線板になっていて、
それぞれの層に信号を通すという想像を絶する高密度なものになっている。

それでなくても、
ますます複雑になってくるアーキテクチャによる
7500本にも及ぶ信号配線は、
CADツールなどのオートルーティング(自動配線)機能は
使えない領域にきていて、もう手作業でやるしかない。

その際には、
エンジニアとアートワーカー(配線を専門に引くメンバー)とが席を並べて
1um単位で目で品質を見極めながら、
1本1本配線を手作業で織り込んでようやく完成となった。


強度と信頼性という面を考えて、
配線類は極力12層の内側に納めて、
目に触れる表面には、できるだけパーツ(部品)という設計する事で、
より効率の良い配置にもなっていて
さらに、
部品の搭載密度もコンマ2mm(200um)まで高めていて
最終的に、このサイズのマザーボードを実現させた。

これらの高密度な基盤設計技術や実装技術は
バイオノート505に始まり、X505やtypeT、typeGにわたって
10年間培ってきた技術の蓄積があったからこそで、
その集大成で出来上がったものが今回の超小型マザーボードと言える。

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<CPUの省電力化と、小型高効率なFAN>


VAIO typeZとして
搭載できるCPUとしては、以下の4種類。

名称   周波数  2次キャッシュ TDP
T9600 2.80GHz  6MB   35W
P9500 2.53GHz  6MB   25W
P8600 2.40GHz  3MB   25W
P8600 2.26GHz  3MB   25W

45nmプロセスを採用した新CPUは、
FSBが800MHzだったものから、
1066MHzまでに引き上げられた事で
CPUとチップセットとのデータのやり取りが大幅に高速化。

さらに、T9600とP9500では、
2次キャッシュ6MBと、
低いCPUの2次キャッシュの3MBよりも2倍にもなっていて
作業効率が高くなる。

それから何といっても
Pシリーズ(P9500、P8600、P8400)のCPUでは、
TDP(電圧)が従来の35Wから25Wに10Wも引き下げられていて、
電圧が低くなる分、消費電力も抑えられて
バッテリー駆動時間の延長にも貢献できる。


(SZシリーズの冷却ファンとヒートシンク)


(VAIO typeZの冷却ファンとヒートシンク)

そして
CPUやグラフィックから切っても切れないのが
クーリングファンの存在。

クーリングファンのユニット自体は、
SZシリーズよりも
重量で40%軽量化、サイズ自体は10数パーセント削減に成功。

クーリングファンの構造というのは、
空気を上下方向から吸気して
ヒートシンクにその風があたって
外に熱を逃がすというのが一連の動作。

まさにその吸気をする時に
上下から吸気した空気がぶつかって干渉しあうと
排気効率が低下したり、耳障りな音が出る。

それらを軽減するために、
回転するブレードの中央に取り付けた水かきのようなフィンを追加。
これが付いたことで
上下から入る空気の流れがスムーズになって
クーリングFAN自体の大きさを小型化しても
より静かに多くの風量を送る事ができるようになった。


(水かきのようなフィン)

こうしたクーリングユニットの
大幅な冷却効率が改善された事によって、
SZシリーズと同一の風量での比較では、騒音を低下を実現。

騒音レベルという意味で比べると
アイドル状態のファンの音の大きさはあまり変わらないらしけど、
仮に3DMarkを走らせて、負荷をかけてファンを回した状態で比べると、
4db近く下がっている

また、音の大きさだけでなく
騒音の音質という部分にも着目して
人が不快だと感じる特定のピーク周波数を
対策する部品を使う事で、音質さえも変えて
耳障りだと感じる音を極力減らそうとする努力もしている。

実際にファンが回って音が出ていたとしても
嫌な音だと感じなければ、
以外と気にならないのかもしれない。
(まだ静かな場所で試してないので、これは後日確認予定。)


それと、
CPUの電圧が25Wに下がった事で
それだけ放熱に対してのヒートシンクやファンを小型化できたわけで
基本的にその冷却ユニット全体としては、
その25Wを基準に考えて作ってある。

そこに、
VAIOオーナーメードでは、
電圧が35Wの高速CPU、T9600を載せられるようになっていて
そのまま25Wと同じヒートシンクと冷却ファンでは、
35WのCPUを冷却しきれない可能性もある。

なので、
VAIOのHPなどには注意書きはないとは思うけど、
35WのCPUをチョイスした場合に限り、
スペシャルにチューニングした
強化バージョンの冷却系を装備させるという特別仕様になる。


それらの内情を知った上でもう一度CPUのラインナップを見てみると、
高速な周波数でありつつ、
それでいて6MBの2次キャッシュを備えて
電圧が25Wに抑えられているP9500(2.53GHz)
ベストバランスに優れていると簡単に想像がつく。

無論、
バッテリー駆動よりも
圧倒的なパフォーマンス、特別仕様の高速マシンを欲するなら
T9600(2.80GHz)という選択肢は決して間違いじゃない。

モバイル性維持しながら速度を重視するならP9500(2.53GHz)
ハイパフォーマンスに重点を置くならT9600(2.80GHz)
と、好みでチョイス出来るのもVAIOオーナーメードでの楽しみの一つとなる。

・究極のモバイルVAIOノート「VAIO tyepZ」レポート(パフォーマンス編その2)
に続く。

・インテルCentrino2の秘密
・Reason of Z
・typeZ & typeS徹底比較

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