VAIO typeT(TZシリーズ)に使えるSSDはどれだ?(後編)
・VAIO typeT(TZシリーズ)に使えるSSDはどれだ?(前編)
の続き。
VAIO typeT(TZシリーズ)に載せてみたSSDの5つのうち、
残りの4つの結果。
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2.)OCZ製「OCZSSD2-1VTX60G」
OCZ製「OCZSSD2-1VTX60G」は、
容量が60GBで、
読込速度230MB/s、書込速度135MB/sという速度を持つ
MLCタイプのSSD。
Indilinx製のコントローラチップと
64MBのキャッシュを持っているのが
従来とは異なる点。
さらにこのSSDは、
ファームの書き換えが可能で、
今までも、出荷当初と比べて
書き込み速度が向上したり、安定性が増したりと進化している。
現時点での最新ファームは、「1.10」で
今回、TZシリーズに載せるにあたっても最新バージョンにしてある。
・VAIO typeZに最新コントローラのOCZ「Vertex」シリーズを載せてみる。(旧ファーム編)
・VAIO typeZに最新コントローラのOCZ「Vertex」シリーズを載せてみる。「新ファームム(1197)編」
・VAIO typeZに最新コントローラのOCZ「Vertex」シリーズを載せてみる。「新ファーム(1275)編」
一時期の情報では、
まさにこのOCZ製SSDで、リカバリーに失敗したとも耳にしたので、
もしかしたら無理かも?
と思ったけれど、
それも取り越し苦労で、約2時間10分程度でリカバリー終了。
待ってると異常に長いリカバリー時間だけど、
PhotoFast製「G-Monster V2」のリカバリー3時間に比べたら
とても早く感じた。
おそらく、
リカバリーに失敗したという事例は、
初期ファームの頃の話だったので
最新ファームになった事で改善されたとも考えられる。
総容量60GBの内訳は、
リカバリ領域を差し引いたCドライブが約51.9GBで、
OSとアプリケーション以外の容量は約36.2GB。
そして、
以下がSerial ATA150の転送速度制限下でのベンチマーク結果。
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●CrystalDiskMark2.2
『100MB』 『1000MB』
●HD Tune Pro 3.50(読み込みテスト)
『Read 64K』 『Read 512K』
『Read 8MB』 『Random Access Read』
●PCMark Vantage(HDD Suite)
HDD Test Suite: 14657.0
VAIO typeZに組み込んだ状態と比べると、
さすがにシーケンシャルリードの値は落ちているけれど
それでも、他のランダムのリードやライトは
大きくは落ちていないように見える。
読み込みの速度も安定しているし、
実動作ベンチとされるPCMark Vantage(HDD Suite)の
スコアも1万を軽く超えて非常に良好。
ファームが新しくなってからは
MLCタイプの中では、とても優秀なSSDだと言える。
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3.)Samsung製「MMCRE64G5MXP-0VB」
上記のOCZ「Vertex」シリーズの約1ヵ月後に登場したのが、
Samsung製「MMCRE64G5MXP-0VB」。
「PB22-JS3」とも呼ばれるMLCタイプのSSD。
自社製のコントローラと
128MBものキャッシュを積んでいてちょっと期待してしまう。
けれど、
今回チョイスした64GBの容量のものは、
128GBや256GBほどの書き込み性能は持っておらず、
読込速度220MB/s、書込速度120MB/sと、
OCZ「Vertex」シリーズの60GBとほぼ同等の性能という事になる。
まず、Samsung製のSSDでリカバリーが出来なかったという例は
今のところ知らなくて、
当然、リカバリーは成功。
リカバリーにかかった時間も約2時間10分と
OCZ「Vertex」シリーズと同じくらいで終了。
総容量64GBだけど、
利用できる実容量は59.63GBとなっていて
リカバリ領域を差し引いたCドライブが約51.9GB、
というのは、OCZの60GBと全く同じ。
OSとアプリケーション以外の容量は約34.4GB。
・VAIO typeZに、Samsung製SSDを載せてみる。
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●CrystalDiskMark2.2
『100MB』 『1000MB』
●HD Tune Pro 3.50(読み込みテスト)
『Read 64K』 『Read 512K』
『Read 8MB』 『Random Access Read』
●PCMark Vantage(HDD Suite)
HDD Test Suite: 11863.0
だいたいパターンは同じで、
150MB/sの制限というブレーキがかかり
シーケンシャルリードが一定の位置まで落ち着いてしまう。
シーケンシャルのライト性能は下がりつつも、
ランダム性能は、ほぼそのままの能力を維持。
実動作ベンチとされるPCMark Vantage(HDD Suite)の
スコアは1万は超えているものの
OCZ「Vertex」シリーズには及ばず。
Samsugn製の新チップやキャッシュが128MBという多さから
期待が大きかっただけに、
数値としては、ちょっと肩透かし気味だった。
TZシリーズ上で実際に使ってると、
この2つのSSDでの体感速度は
だいたい同じくらいにしか感じないけれど。
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4.)Samsung製「MCCOE64G5MPP-0VA」
もうひとつSamusung製のSSDだけど、
こちらはSLCタイプ。
発売時期は2008年4月と
1年前のもので、
読込速度100MB/s、書込速度80MB/sと、
最近の高速性を謡ったSSDと比べると数値的にはいまひとつ。
それでも
SLCというランダム性能の高さと
耐久性の高さからくる運用上のメリットはある。
実際にリカバリーをしてみると
かかった時間は約2時間20分くらい。
初期セットアップ意向に
アプリケーションをインストールする際の
書き込みのスピードは良好で
妙な間というのもなく非常にスムーズに事が進む。
容量は、MLCタイプの同社「MMCRE64G5MXP-0VB」と同じ。
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●CrystalDiskMark2.2
『100MB』 『1000MB』
●HD Tune Pro 3.50(読み込みテスト)
『Read 64K』 『Read 512K』
『Read 8MB』 『Random Access Read』
●PCMark Vantage(HDD Suite)
HDD Test Suite: 13002.0
元々のリードライト最大値が
Serial ATA150の150MB/sというリミットを下回っているとしても、
なんと、
VAIO typeZに装着して
CrystalDiskMark2.2やHD Tune Pro 3.50で計測した値と
ほぼ変わらない性能を維持。
それに、
PCMark Vantage(HDD Suite)のスコアも
ほぼ下がる事なく13000をキープしていて、
スペック値でははるかに上の、「MMCRE64G5MXP-0VB」よりも
高くなっているのは驚き。
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5.)・Intel製「X25-E」
読込速度250MB/s、書込速度170MB/sという
読み込み速度だけでなく書き込み速度も非常に高速で、
シーケンシャルだけでなくランダム性能も高い。
SLCだからこその
信頼性の高さも魅力。
唯一の難点は、価格で、
容量がたったの32GBでも、
最近のMLCタイプの128GBくらいの値段になる。
総容量32GBしかないと、
リカバリ領域を差し引いたCドライブはたったの22.1GBしかなくて、
さらにそこにOSとアプリケーションが入ると
残りの容量は約6.4GBしかない。
それでも
現存するSSD最速を誇るこのSSDの威力は大きい。
・VAIO typeZにSLCのIntel製「X25-E」を載せてみる。(その1)
・VAIO typeZにSLCのIntel製「X25-E」を載せてみる。(その2)
・VAIO typeZにSLCのIntel製「X25-E」を載せてみる。(その3)
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●CrystalDiskMark2.2
『100MB』 『1000MB』
●HD Tune Pro 3.50(読み込みテスト)
『Read 64K』 『Read 512K』
『Read 8MB』 『Random Access Read』
●PCMark Vantage(HDD Suite)
HDD Test Suite: 16283.0
当然というか、
150MB/sの制限によって、
本来の性能よりも下回る結果になるものの、
5つのSSDで見た数値の中ではやはり一番の数値をマーク。
シーケンシャルのリードもライトも
出せる数値が出たという感じだし、
4Kのランダムリードライトも超高速。
そして
PCMark Vantage(HDD Suite)のスコアも
TZシリーズに載せたSSDとしては
一番よい成績となった。
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【おまけのWindowsの起動と終了、休止と復帰】
実は、
手押しストップウォッチで、
Windowsの起動や終了、休止と復帰の速度も計測していて、
これはこれで全部を比較して見ると興味深い事がわかる。
Windows Vista起動としては、
「Windows Vistaロゴ表示」、「画面切り替わり壁紙出現」、
「ウェルカムセンター表示」、「サイドバーガジェット表示」、
「常駐アプリが全て表示」
という計5つのポイントでの時間。
そして、
「Windows終了」、「休止」、「復帰」
の時間を以下に一挙に並べてみる。
Windows起動5ヶ所 / 終了 / 休止 / 復帰(秒)
・富士通製「MHY2200BH」
44 54 62 68 104 / 44 / 42 / 32
・PhotoFast製「G-Monster V2」
46 59 68 72 103 / 41 / 35 / 28
・OCZ製「OCZSSD2-1VTX60G」
43 53 59 60 105 / 40 / 32 / 27
・Samsung製「MMCRE64G5MXP-0VB」
47 57 72 81 100 / 37 / 33 / 28
・Samsung製「MCCOE64G5MPP-0VA」
44 53 62 64 104 / 36 / 32 / 28
・Intel製「X25-E」
43 52 58 60 104 / 39 / 30 / 25
あれだけベンチマークで数値を詳細に出しても
実質的に、TZシリーズのWinws起動時には、
ほとんど差がなかったというこの事実。。
むしろ、休止や復帰といった部分に
読み込みや書き込みの速度の恩恵が感じられる。
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2.5インチのHDDからSSDへと変わるだけで
まず間違いなくWindows Vistaの動作の快適性は向上する。
単に速度的な速さだけを求めれば
Intel製「X25-E」が最高には違いないけど、
容量が少ないわりに値段が高いし、
せっかくの本来のスペックが大きく削られている事を考えると
TZシリーズに載せるには、ちょっともったいない気がする。
MLCタイプのSSDでは、
OCZ製「OCZSSD2-1VTX60G」が
いい結果を出していて、高速かつコストパフォーマンスが高い。
Samsung製「MMCRE64G5MXP-0VB」もほぼ同じくらいで、
このあたりはメーカーの好みかも。
個人的には、
Serial ATA150の転送速度制限下の中で、
最も効率よくスピードを発揮していた
SLCタイプのSamsung製「MCCOE64G5MPP-0VA」がお気に入りで、
実際に使ってみても、
ランダムの読み書きの速さからくるレスポンスの良さがとても心地良い。
それに、
SLCだからという安心感と
64GBという容量に対する値段のバランスも悪くなくて、
ひとまず、
このTZシリーズには、コレを搭載しておこうと考え中。
【VAIO typeP特集ページ】
【VAIO typeT特集ページ】
【VAIO typeZ特集ページ】