VAIO typeZに、Samsung製SSDを載せてみる。
VAIO typeZへのSSD換装アーカイブとして、
Intel、OCZ、PhotoFastに続く、Samsung製SSDにチャレンジ。
今回は、
2009年3月に発売されたばかりの
MLCタイプのSSD「MMCRE64G5MXP-0VB」と、
2008年4月に発売されてもう販売終了気味の
SLCタイプのSSD「MCCOE64G5MPP-0VA」の2つでテスト。
Samsung製SSDって、
製品化された状態での出荷というのは存在しなくて
いつもバルクしかないので、
だいたい決まって、保護ビニールに収まって送られてくる。
このSSD2つを見てみると、
どっちも金属ボディで、表裏がアルミのへアライン加工がされた
妙に高級っぽく見えるケース。
何故かスペックシートが逆についていた。
(判別しやすくて助かるけど。)
軽く2つのSSDのスペックを。
製品名は、「PB22-JS3」とも呼ばれる
MLCタイプのSSD。
2.5インチサイズで、インターフェースはシリアルATA
自社製のコントローラと128MBものキャッシュを積んでいて
公称の読み書き性能がかなり高速。
容量が3種類存在していて、
一部64GBだけが書き込み速度が少なめになっている。
64GB・・・「MMCRE64G5MXP-0VB」
最大リード: 220MB/s、最大ライト: 120MB/s
128GB・・・「MMCRE28G5MXP-0VB」
最大リード: 220MB/s、最大ライト: 200MB/s
256GB・・・「MMDOE56G5MXP-0VB」
最大リード: 220MB/s、最大ライト: 200MB/s
自分が買ったのは64GBで、
何故書き込みが高速な128GBを買わなかったのかというと、
単純にこのシリーズの性能がわかればよかったし、
基本的に、
システムにはSLCのほうがいいんじゃないかと思ってるから、
その128GBに回さなかった予算で、
以下のSLCタイプのSSDを買ってみた。
こっちがSLCタイプのSSD「MCCOE64G5MPP-0VA」。
ぶっちゃけ
メーカーの公称値は、
最大リード: 100MB/s、最大ライト: 80MB/sと
最近出てきた高速なMLCと比べると物足りなく感じてしまう。
これからやるベンチマーク結果を見ても
突出した成果は出てくる事もない。
なのに、実際にシステムとしてPCにSSDを搭載した中で、
Intelと2分するほどにあちらこちらで評価が高い。
SLCだからこその耐久性という面での安心感が非常に大きし、
終わりかけという事もあって、
コストパフォーマンスが高いのも魅力。
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<VAIO typeR masterに装着してベンチマークテスト>
まずは買いたてのホヤホヤの
中身が何も入ってない状態で、
VAIO typeR masterに接続して計測。
単純にシリアルATAケーブルと電源ケーブルを差し込めば
Windows Vista上でストレージとして認識される。
SSDがブランク状態でないと、
HD Tune Proで、書き込みのテストが出来ないので
このタイミングでしか計測できない。
『VAIO typeR masterの現状スペック参考』
OS:Windows Vista Home Premium(32bit)
CPU: Intel Core 2 Quad Q9550 (2.83GHz)
メモリ: 8GB(2GBx4:OS使用領域3.2GB)
チップセット:Intel P35 Express
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●HD Tune Pro 3.50(読み込みテスト)
・Samsung製「MMCRE64G5MXP-0VB」(MLCタイプ)
『Read 64K』 『Read 512K』
『Read 8MB』 『Random Access Read』
・Samsung製「MCCOE64G5MPP-0VA」(SLCタイプ)
『Read 64K』 『Read 512K』
『Read 8MB』 『Random Access Read』
SSDの中に全く何も入ってない状態で計測すると、
読み込みテストでは、
どちらのSSDも最低速度と最高速度の差が少なく
平均した性能をコンスタントに発揮している。
その数値にしても
「MMCRE64G5MXP-0VB」の速度は、
「MCCOE64G5MPP-0VA」のダブルスコア。
また、ランダムアクセスを見ても非常に優秀で、
特にMLCタイプでも、
SLCと比べてもまるで引けをとっていない。
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●HD Tune Pro 3.50(書き込みテスト)
・Samsung製「MMCRE64G5MXP-0VB」(MLCタイプ)
『Write 64K』 『Write 512K』
『Write 8MB』 『Random Access Write』
『Write 64K』 『Write 512K』
『Write 8MB』 『Random Access Write』
・Samsung製「MCCOE64G5MPP-0VA」(SLCタイプ)
『Write 64K』 『Write 512K』
『Write 8MB』 『Random Access Write』
「MMCRE64G5MXP-0VB」の書き込みの速度に関しては、
公称スペックどおりの非常に良い結果がでたかと思えば、
計測したタイミングによっては、
最小値の落ち込みの激しいグラフになる事があったので
どちらも掲載。
「MCCOE64G5MPP-0VA」の書き込み速度は、
比較的安定的で、その数値もほぼ公称値どおりで、
こういったところでは、
SLCタイプのSSDの良さのようなものが見え隠れする。
ただ
予想外だったのが、書き込みのランダムテスト。
これに関しては、
どちらのSSDもふるわない結果となった。
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<VAIO typeZに装着してベンチマークテスト>
VAIO typeZへそれぞれのSamsung製SSDを装着して、
リカバリーディスクからシステムをインストールした状態で、
ベンチマークのテスト。
『VAIO typeZの現状スペック参考』
OS:Windows Vista Home Premium(32bit)
CPU: Intel Core 2 Duo T9600 (2.80 GHz)
メモリ: 4GB(2GBx2:OS使用領域3.2GB)
チップセット:Intel GM45 Express
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●CrystalDiskMark2.2
・Samsung製「MMCRE64G5MXP-0VB」(MLCタイプ)
『100MB』 『1000MB』
・Samsung製「MCCOE64G5MPP-0VA」(SLCタイプ)
『100MB』 『1000MB』
CrystalDiskMark2.2では、
シーケンシャルリードライトともにほぼ公称値どおりで
シーケンシャルライトに関しては
公称値よりも良好な数値を示す。
4Kランダムライトは、
SLCの「MCCOE64G5MPP-0VA」が以外と良くない。
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●HD Tune Pro 3.50(読み込みテスト)
・Samsung製「MMCRE64G5MXP-0VB」(MLCタイプ)
『Read 64K』 『Read 512K』
『Read 8MB』 『Random Access Read』
・Samsung製「MCCOE64G5MPP-0VA 」(SLCタイプ)
『Read 64K』 『Read 512K』
『Read 8MB』 『Random Access Read』
システムデータがインストールされた状態で
読み込みのテストをすると、
若干グラフに若干乱れが生じるけれど
速度的には性能を維持。
読み込みのランダムテストも
どちらも良好。
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●PCMark Vantage(HDD Suite)
・Samsung製「MMCRE64G5MXP-0VB」(MLCタイプ)
HDD Test Suite: 17239.0
・Samsung製「MCCOE64G5MPP-0VA」(SLCタイプ)
HDD Test Suite: 15102.0
「PCMark Vantage」で、
ストレージテストとなる「HDD Suite」を実行して
実用レベルに近いテスト。
その内容をみると
「MMCRE64G5MXP-0VB」は、
やはり読み込みスピードが速いために
Windows Vistaのスタートアップや
アプリケーションローディングといったテスト数値が良く、
トータル的には結果、こちらのほうが良い成績となった。
逆に
「MCCOE64G5MPP-0VA」では、
画像取り込みのような書き込みテスト結果が良い。
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●Windowsの起動と終了、休止と復帰
ついでに
実際のWindowsの起動や終了、休止と復帰の
速度をストップウォッチで計測。
・Samsung製「MMCRE64G5MXP-0VB」(MLCタイプ)
『Windows Vista起動』
Windows Vistaロゴ表示 ・・・約36秒
画面切り替わり壁紙出現 ・・・約37秒
ウェルカムセンター表示 ・・・約38秒
サイドバーガジェット表示 ・・・約39秒
『終了』・・・約16秒
『休止』・・・約41秒
『復帰』・・・約20秒
・Samsung製「MCCOE64G5MPP-0VA」(SLCタイプ)
『Windows Vista起動』
Windows Vistaロゴ表示 ・・・約36秒
画面切り替わり壁紙出現 ・・・約38秒
ウェルカムセンター表示 ・・・約39秒
サイドバーガジェット表示 ・・・約40秒
『終了』・・・約15秒
『休止』・・・約38秒
『復帰』・・・約20秒
どちらもVistaの起動がものすごく速く、
Vistaロゴから画面が切り替わって
ウェルカムセンターとサイドバーがジェットがでるタイミングは
ほぼ一緒というか同時に近い出現速度。
ネットワークがつながってインターネットが出来るまででも
起動から約50秒でOK。
シーケンシャルリードの高速な
「MMCRE64G5MXP-0VB」のほうが
約1秒程度速かった印象がある。
休止状態への移行は、
「MCCOE64G5MPP-0VA」のほうが
2~3秒程度速い。
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MLCタイプの新型SSDとなる「MMCRE64G5MXP-0VB」の性能は
各ベンチマークテストではなかなかのものだけど、
OCZ製の「Vertex」シリーズと比べると
ほぼ同等で、
Samsungのコントローラだからとか128MBのキャッシュが
大きく貢献しているという様子は見てとれなかった。
また、
SLCタイプの「MCCOE64G5MPP-0VA」は、
ベンチマークテストを見てもわかるとおり、
公称値どおりというか
特に抜きん出た能力を発揮した様子もない。
けれど、
システムをインストールした状態で触っている分には、
ベンチマークではダブルスコアを出している
「MMCRE64G5MXP-0VB」と触り比べてもまるで劣っている様子はなく、
むしろ、書き込みスピードが速くなる事で
トータル的には非常に扱いやすい感覚を受ける。
いわゆる数値では表せない
体感スピードという曖昧な表現によるところだけど、
使ってみるとなるほどその快適さというのがよくわかる。
とすると、
仮にこの2つのSSDが同程度の快適さなのであれば、
SLCタイプのSSDの利点となる寿命の長さと、
長らく使ってもパフォーマンスが変わらないという安心感を考えて
「MCCOE64G5MPP-0VA」をシステム用として運用するのが
良いと思うのは当然かもしれない。
ちなみに、
どちらのSSDもVAIO typeZへ組み込んだ際にも、
BIOS上できちんと認識され、リカバリーもいたってスムーズだったし、
Windows Vista起動時の挙動を見ても非常に安定している。
Samsung製のSSDは、
もともとVAIOノートにも採用されている事もあるし
相性問題で不具合は報告されてないし
Intel製SSDと並んで安心して取り付けられるSSDと言えるかもしれない。
今度は、
手持ちのSSD全部を使って
相性問題をかかえているTZシリーズでテストしてみる予定。
・VAIOのHDDをSSDへ換装する場合のトラブル報告と注意点。
・VAIO typeS(SZシリーズ)をSSDへ換装する際の注意点と作業手順。
【VAIO typeT特集ページ】
【VAIO typeZ特集ページ】
4件のコメント
いつも楽しく拝見しております。
TT90のSSDタイプを所持しておりますが、VAIOに搭載されているSSDは、ちまたで言われている「使い続けると遅くなる」という症状は出てくるのでしょうか?
>sureさん
いつもご覧いただいてありがとうございますm(__)m
TT90に搭載されているSSDはSamsung製のものですねw
どれほどのものなのかはまだ検討はつかないのですが、
いまのところSamsung製のSSDで、極端なスピード劣化が起きてるというのは、まだ存じあげないので、大丈夫なのかな?と思います。
「使い続けると速度劣化」は、IntelやOCZの一部のSSDがそうなってるみたいですが、ファームの更新でどちらも解消されてみたいですね!
まずお気になさらずいつもどおり使ってあげるのが一番だと思いますww
コメントありがとうございます。
ネットで色々見ているとどれが正しい情報なのか分からなくなります。
SSD搭載PCも出てきてまだ間もないので、しばらく様子見でしょうかね。
たしかに気にせずいつも通り使用致します。
>sureさん
そうですねー、SSD自体がまだまだ過渡期という事もあって、これからもメーカーもユーザーも試行錯誤の繰り返しで、それはそれで将来的に良いものが出てくるとうれしいですし、かといって現行のSSDをおそるおそる使うのなんてもったいないですから、ひとまずは今までどおりのHDDと同じ感覚で使ったほうが、せっかく選んだSSDの元がとれますよねw