開放 F値1.2 の大口径単焦点レンズ GMaster FE 50 mm F1.2 GM 「SEL50F12GM」をソニーストアで触ってきたレビュー。(その1)
35mmと50mmにG Masterレンズが出てきて欲しいけれど、Carl Zeissレンズがラインナップしていることもあって難しいと思っていた矢先。
が出てきて喜んでいたのもつかの間、まさかの までもが登場することになろうとは。
しかも、ソニー純正レンズとしては初の開放F値1.2の単焦点レンズだけに、百聞は一見にしかず、ソニーストア 直営店で実機を触ってみることにした。
・優れた表現力を小型軽量で実現 大口径標準単焦点レンズ Gマスター(TM)『FE 50mm F1.2 GM』発売 | プレスリリース | ソニー
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目次
●ミラーレスカメラ用の焦点距離50mm F1.2のレンズ
まず実機を触る前に、そもそもミラーレスカメラ用の焦点距離50mm F1.2のレンズってどんなものがあるのか?を知るために調べてみた。
他者には最新レンズとなるCanonにはRF50mm F1.2 L USMとNikonにはNIKKOR Z 50mm f/1.2 Sというのがある様子。
マニュアルフォーカスのタイプは小さいものもあるけれど今回は、AF含めて近い性能のモデルとしてこのふたつ。
Canon RF50mm F1.2 L USM
Canon RF50mm F1.2 L USM
発売日:2018年10月25日
価格:オープン価格
外形寸法:89.8mm×108mm
質量:950g
NIKKOR Z 50mm f/1.2 S
NIKKOR Z 50mm f/1.2 S
発売日:2020年12月11日
希望小売価格:309,320円(税込)
外形寸法:89.5mm×150mm
質量:1090g
みると、結構大きくて重いんだなということ。どちらも1kg前後。
F1.2という大口径レンズの光学性能を優先しようとすると巨大になりがちだとういうこと。
あと、大口径レンズは良いことばかりではなくて、球面収差や色収差が発生しやすくなるというデメリットもあっていかにこれを抑えるかが各社の課題になるところらしい。
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● の絶妙なサイズ感。
G Masterレンズとしてもソニーのレンズとしても初のF1.2大口径レンズ、 。
そのデカイ重いとされるF1.2大口径レンズでありながらも、87 x 108 mmというサイズと、778 gという重さに押さえられたこのレンズ。
Canon RF50mm F1.2 L USMと比べると、長さは108mmと同じものの、直径も短く重さについても172gも軽い。
NIKKOR Z 50mm f/1.2 Sとは一目瞭然のサイズ感の差と質量は約312gも軽い。
比較するとコンパクトで軽量なのだとわかる。
<
のレンズ構成図>
いったいどうやって小さく作ったのか?
色収差やコマ収差を補正しようとすると、お約束として前玉側のエレメントが大きくなったりレンズ枚数も増えてしまうというのはお約束。
そこで、収差を抑えることと小型化を両立するために、前玉に凹レンズを配置して、超高度非球面XAレンズの高価を最大限に活かす光学設計に。
レンズ構造をみると、EDガラスが一枚も使われておらず、その代わりにG Masterレンズの要とも言える超高度非球面XAレンズを3枚も使われている。
の特徴的な前玉の凹レンズは、コンパクトさと諸収差を抑えて高解像度の性能を発揮するために、なるべくして出来上がったと言える。
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● の絶妙なサイズ感。
のサイズ感としては、「SEL50F14Z」と驚くほど近い。
なんと全長と質量が完全に一致。
焦点距離イメージ:50mm フィルター径:φ72mm
開放絞り : F1.2
レンズ構成 : 10群14枚
絞り羽根 : 11枚
大きさ: 最大径φ87 mm、全長108 mm 質量:約778g
Planar T* FE 50mm F1.4 ZA「SEL50F14Z」
焦点距離イメージ:50mm フィルター径:φ72mm
開放絞り : F1.4
レンズ構成 : 9群12枚
絞り羽根 : 11枚
大きさ: 最大径φ83.5 mm、全長108 mm 質量:約778g
異なるのは、直径がφ83.5 mmとφ87 mmということ。
実際、
を手に持ってみても、自分のような大人の男性の手であれば、片手で余裕で持てるサイズ感でおさまっている。
実際、F1.2とF1.4のレンズ差はというと、1/2段分明るくなるという事のみ。
けれどたったその差を実現しようとすると、レンズは有効口径は17%大きく、口径の表面積にいたっては36%も大きくなる。
ということはレンズは巨大化して、AF駆動させるのもそれだけ負荷がかかるのは当然。
にも関わらず、
はこのサイズの中にAF駆動するためのXDリニアモーターが4つもはいっていて、恐ろしいほどAF駆動が早い。「SEL50F14Z」の写りは気に入っているのだけど、何しろAFが遅い。
動態の前後移動では、いくらカメラ側が早くてもレンズ側のAFの遅さがネックになっていただけに
の俊敏さは劇的に感動する。
また、レンズフードの形状については、「SEL50F14Z」は花形バネヨット式だったものに対して、 は丸形バヨネット式。
のレンズフードにはロックスイッチが付いていて、装着するとカチっと音を立ててロックされ、不意にあたって外れてしまうのを防ぐタイプ。
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● のハード周りをチェック。
レ ンズに備わる物理スイッチは、AF(オートフォーカス)とMF(マニュアルフォーカス)の切り替える[フォーカスモードスイッチ]と、コンティニュアスAF時にピント位置を固定できる「フォーカスホールドボタン」が2つ。
「SEL135F18GM」と同様で、上部についた「フォーカスホールドボタン」は、縦位置で構えたとき、横にあるボタンを押すよりも自然に押して使えるという利便性がある。
「フォーカスホールドボタン」は、カメラ本体のメニューからカスタマイズして、好みの機能を割り当てて使うことができる。
(例:構図確認のためのグリッドライン表示や、天候や表現に合わせて色調を調整できるホワイトバランスなどを割り振ることが可能。)
「絞りリング」は、右手でグリップしながら、レンズにそえた左手でF値を意のままに操れてとても有用。
フォーカスリングにはリニア・レスポンスMFを採用して、リング回転角度にリニアなフォーカス移動する機構になっていて、微妙なニュアンスをダイレクトに反映してくれるおかげで、精緻なピント合わせができる。
「絞りリング」については、回したときのカチカチというクリックはオンオフ可能。
動画撮影時にクリック音が邪魔になるようであればOFFにしてシームレスに可変もできる。
また、これは新規だと思われるけれど、レンズの底の部分に突起となる足がついている。
これはおそらくボディにレンズを装着して置いたときに不意にリングが回らないように付いたものと思われる。
ボタンやリングまわりはしっかり密閉されていてアウトドアでも気軽に撮影が楽しめる防塵・防滴に配慮した設計。
あくまでも”配慮”なので極端な水濡れなどには注意したほうが良い。
レンズ最前面にはフッ素コーティングも施されていて、汚れ成分の付着を防止してくれる。
から、シリアルナンバーはシールではなくて刻印に変更されている。
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●かんたんに で撮影テスト。
カメラ : α1
レンズ : 焦点距離:50mm
シャッター速度:1/400 絞り値:F1.2 露出補正:+0.7 ISO:100 ホワイトバランス:自動
早速、ソニーストア福岡天神の屋内外を撮影してみた。
最短撮影距離は、0.4mということで意外とよれるので、撮っていて近づけないというストレスはあまりない。
普通に飯テロ撮影でも困らない感じ。
開放F1.2を試してみたところ、さすがにフォーカス面からの前後のボケ味がものすごく大きい。
ボケ量が凄いことになっていて、ナナメに被写体が並ぶときは境目が不自然に見えてしまって作品としては意味不明になるので、もう少し絞るのが一般的。
カメラ : α1
レンズ : 焦点距離:50mm
シャッター速度:1/6400 絞り値:F1.2 露出補正:+0.7 ISO:100 ホワイトバランス:自動
同じく屋内にあるボーカルマイクにフォーカスをあててシルエットとしながら、背景は大きなガラスウィンドウ越しの建物。
だいたいこういうシチュエーションでも、像の境目に色滲みでてないのでかなり良好なんじゃないかとも思う。
ガラスウィンドウにはりついて文字ステッカーが不思議な雰囲気。
カメラ : α1
レンズ : 焦点距離:50mm
シャッター速度:1/8000 絞り値:F1.2 露出補正:+0.7 ISO:100 ホワイトバランス:自動
外にあるチューリップにフォーカスをあわせて背景に建物。
日陰の場所で太陽光が照りつけていないので、チューリップは暗く映っている。
チューリップの直後にある別の花もボケとして溶けていて背景と化している。
建物と空の境目の色収差もけっこうしっかりと抑えられているように見える。
カメラ : α1
レンズ : 焦点距離:50mm
シャッター速度:1/12800 絞り値:F2 露出補正:+0.7 ISO:100 ホワイトバランス:自動
こちらは屋外で、太陽光が思いっきり入り込んだ状態で撮影。
さすがに最新のレンズコーティング技術「ナノARコーティング II」が施されているだけあって、フレアやゴーストがしっかりと抑えられている。
普通こんな撮り方はまずしないけれど、逆光で撮りたいというときでもこれだけヌケの良い画質を保てるのは良い。
人物撮影については、カメラがそもそもα1ということもあって瞳AFの認識と追随スピードは強烈。
マスクをしていても瞳を認識するアルゴリズムといい瞳を見つけてからの捉える速さは今までとは別次元。
というのもあってレンズのAF性能の限界も出てくる。
「SEL50F14Z」は公式ですでにAF-Cモード時の最高連写速度(30コマ/秒)に非対応と晒されてしまっているほど、AF駆動は早くない。
ところが、
と組み合わせて使っているぶんにはノーストレス。大口径レンズだという事を忘れてしまうほどに、被写体が前後移動したシチュエーションでもレスポンスはめちゃくちゃ速くて正確。
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が出てきたときは、Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA「SEL35F14Z」にイマイチ心にひっかかっていた部分があっただけに待望の!という感じだった。
それに対して今回は、Planar T* FE 50mm F1.4 ZA「SEL50F14Z」がよく出来たレンズで、個人的にはとてもお気に入りなだけに、 に対してそこまで期待値を高く持っていなかった。
ところがどっこい、実際に使ってみるとF1.2の大口径レンズと思わせないサイズ感と軽さ、そして超高速AF。
機動性は十分だし、やはりF1.2の盛大なボケ味もあって、撮りたい欲が物凄いことになってくる。
もっとPlanar T* FE 50mm F1.4 ZA「SEL50F14Z」と合わせて比較テストなどをしてみる。
の解像性能やボケ味などを知るため、・開放 F値1.2 の大口径単焦点レンズ GMaster FE 50 mm F1.2 GM 「SEL50F12GM」をソニーストアで触ってきたレビュー。(その2)
へ続く。
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ソニーは、35mmフルサイズ対応 Eマウントレンズとして、焦点距離50mmの大口径標準単焦点レンズGマスターレンズ 4月23日に発売。
をEマウント専用レンズとして60本目のフルサイズ対応レンズとして39本目、G Masterレンズとしては13本目となる。
ソニーの最新レンズとなる
は、Gマスターならではの高い設計基準による解像性能と、美しくやわらかなぼけ描写を両立、開放F値1.2の浅い被写界深度の効果を最大限に引き出す優れた表現力を備えた小型軽量レンズ。高推力のXD(eXtreme Dynamic)リニアモーターを搭載し、静止画・動画撮影の双方に適した、高速・高精度・高追従かつ静粛なオートフォーカスが可能。
最新の光学・メカニカル技術により、F1.2の大口径レンズながらコンパクトで軽量なデザイン。
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● 作例
撮影サンプル
レンズ :
焦点距離:50mm シャッター速度:1/250秒 絞り値:F1.2
露出補正:±0.0EV ISO:100
撮影サンプル
レンズ :
焦点距離:50mm シャッター速度:1/5000秒 絞り値:F1.2
露出補正:±0.0EV ISO:100
撮影サンプル
レンズ :
焦点距離:50mm シャッター速度:1/4000秒 絞り値:F1.2
露出補正:±0.0EV ISO:100
撮影サンプル
レンズ :
焦点距離:50mm シャッター速度:1/800秒 絞り値:F1.2
露出補正:±0.0EV ISO:100
撮影サンプル
レンズ :
焦点距離:50mm シャッター速度:1.6秒 絞り値:F11
露出補正:±0.0EV ISO:100
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●ソニーストア 直営店舗(銀座・札幌・名古屋・大阪・福岡天神)
※ソニーストア直営店(銀座・札幌・名古屋・大阪・福岡天神)にて購入の際、ショップコード「2024001」を伝えていただくと当店の実績となります。
ご購入される方はよろしければ是非ともお願い致します。
ソニーショールーム / ソニーストア 銀座
街の中心にある銀座四丁目交差点に面したGINZA PLACE(銀座プレイス)4階~6階。
東京メトロ銀座線・丸の内線・日比谷線「銀座駅」A4出口直結
営業時間:11:00~19:00
ソニーストア 札幌
地下鉄「大通駅」12番出口から徒歩1分。4丁目交差点すぐ
営業時間:11:00~19:00
ソニーストア 名古屋
名古屋市営地下鉄栄駅サカエチカ8番出口。丸栄百貨店南隣
営業時間:11:00~19:00
ソニーストア 大阪
大阪駅/梅田駅から徒歩5分程度。ハービスエント4階
営業時間:11:00~20:00
ソニーストア 福岡天神
西鉄福岡(天神)駅南口から徒歩5分。西鉄天神CLASS
営業時間:11:00~20:00