ついに手にしたソニー初のSIMフリー機「Xperia 1 Professional Edition」レビュー。国内向け「Xperia 1」とどこが違うのか?をチェックしてみた。
ソニーから、映像制作や写真撮影、モバイルeスポーツなどクリエイターの創造性を高める特別仕様のスマートフォン「Xperia 1 Professional Edition」が突如登場。
「Xperia 1 」は、すでに2019年夏には、国内ではNTTドコモ、au、Softbankといった主要MNOから発売されているにもかかわらず、このタイミングでなぜ発売したのか。
それは、メーカー直販となる「ソニーストア」で販売することにもつながる。
目次
ソニーがはじめて自社で販売することができたスマートフォンメインモデル。
国内では、いわゆるモバイル通信端末は長きにわたって国内の電波を保有する主要3キャリアによる端末と通信プランがセットで販売されていた。
唯一、Appleだけは自社で発表し自社で即日予約&販売。
この独自路線をつっぱしれるのは、海外メーカーであることに加えて、MNO各社がそれを許容してでも扱いたいと思えるほどの魅力ある端末を持っているという証。
ソニーの扱うXperiaだって同じようにSIMフリーで自社で販売したらいいじゃないか!と昔から思っていたけれど、それは素人が思いつきで言えるほど現実は容易なものではない。
そこに時間の経過とともに訪れた転機。
背景としては、MVNOとして登場した格安スマホの登場や、端末と通信プランの組み合わせでの割引に規制がかかるなど、いろいろな状況がかわりつつある。
そして、グローバルで大きな市場のあったXperiaもここ数年は縮小の一途をたどって、さまざまな路線変更を経て発売されたのが「Xperia 1 」。
久々の手にして欲しいと思えるモデル。
このモデルを、ようやく自社販売にこぎつけた2019年10月。
まぁ、とは言っても最大のパートナーである主要3キャリアに真っ向にケンカをふっかけるわけにもいかないのは大前提のお約束。
じつに慎ましやかに、かつ波風を立てず、でもそれをプラス方向に変えて登場したのが「Xperia 1 Professional Edition」である。
ちなみに、2015年に「Xperia J1 Compact」を販売した実績があるけれど、これはこれでMVNO向け端末であって、みんなが期待したのはやはりメインモデルなのである。
「Xperia 1 Professional Edition」を開封してセットアップ。
「Xperia 1 Professional Edition」は10月23日13時に発表されて即日受注を開始。
やれば出来るじゃないか!と一瞬思ったけれど、よくよく考えたらすでに4ヶ月前に発売されたものだからまぁ出来ても不思議じゃないか。
発売日は10月25日、即手元に届いたのである。
「Xperia 1 」は、当たり前に速攻手に入れて持っているし、最新モデルの「Xperia 5 」だって今手元にある。
いまさらといってしまえばそれまでだけど、「Xperia 1 Professional Edition」が届くとテンションは予想外に爆アゲなのはなぜなのか。
まず、届いたパッケージは普通に「Xperia 1 」の白いパッケージで、左上に”Professional Edition OPTIMIZED FOR PROFESSIONAL USE ”という文字の刻まれた銀の箔押しシールが貼ってある。
そして開封した中身。
超がつくほどシンプルである。
「Xperia 1 Professional Edition」の本体と、USB type-C⇔ステレオミニプラグ変換ケーブル、そして取説などの紙類。
以上。
USBケーブルやACアダプタの類もなく、清々しいまでに何も入ってない。
さすがプロフェショナル仕様、すでにそれらは不要だとする人向けなのだろう。
ちなみに、本体カラーはブラックしかない。
「スタートアップガイド」、「取扱説明書」、「スマートフォン相談窓ぐりのご案内」の3つの紙類は当然日本語。
「ソニーストア」で販売するとはいえ、3年保証は適用外であるし、サポートの扱いはソニーモバイルのスマートフォン相談窓口になる。
まかり間違っても近所のキャリアショップに駆け込むようなことだけはしてはいけない。
電源を投入しての初期セットアップは、グローバルモデルに準拠したウィザード展開で、当然ながら日本語設定になっているのでスムーズかつシンプル。
プリインストールされているアプリもスカスカというかシンプル極まりなく。
ソニー謹製アプリとして入っているのは、「ミュージック」、「アルバム」、「Game enhancer」、「Cinema Pro」、「3Dクリエーター」、「Xperia Lounge Japan」、「スポットリスト」。
キャリア都合のアプリはゼロで、ホーム画面もソニーデフォルト構成。
「Xperia 1 Professional Edition」と「Xperia 1 」はどこが違うの?
新しいXperiaを買った時に、だいたい面倒くさいのが今まで使っていたスマホからのデータ引き継ぎ。
セットアップ「Androidスマートフォンからバックアップ」もしくは「クラウドからバックアップ」、「iPhone」の3パターンからデータの引き継ぎもできる。
すでに「Xperia 1 」持ってるので、クラウドからのバックアップを使うと、今まで使っているアプリも元通りになった。
というかホーム画面に自分好みで並べた配置も元通りになっててこれは便利。
「Xperia 1 Professional Edition」の素で嬉しいところはズバリ、ストレージが128GBあるところ。
グローバルモデルと同じ。
国内MNOから販売される「Xperia 1 」のストレージは64GBと抑えられていて、なんでだ!?とツッコまざるをえなかったところだけにこれはアドバンテージ。
SIMスロットは、2回線利用できるデュアルSIM。
ここも国内向けの「Xperia 1 」では絶対にありえないところ。
デュアルSIMで利用した場合、DSDV(VoLTE)もサポートする。
ただしXperiaの仕様として、2番めのSIMは、MicroSDカードとの排他となっているので、SIM+SIMもしくは、SIM+MicroSDカードのいずれかの使い方に限られる。
逆に、FeliCa(おサイフケータイ)とフルセグ・ワンセグは非搭載。
スマホを所有するにあたっておサイフケータイを使いたいと思っても利用できないので、ものすごい注意。
ただし、自分自身おもいっきり勘違いしていたけれど、NFCは当たり前に使える。
そのため、ソニーのカメラと連動して「Imaging Edge Mobile」で画像や動画転送できるし、NFCを搭載したワイヤレスヘッドホンやワイヤレススピーカーとペアリングから接続まで、至極まっとうに利用できる。
ストレージ128GBやデュアルSIMなどからわかる仕様からして、おそらくグローバル版「Xperia 1 」を国内向けに仕様変更したものと思われる。
国内向けとなっているので、当然ながら技適の認証は通過。
JPに加えて、EU、USの認証も確認できる。
プロフェショナルエディションならではの仕様
「Xperia 1 」のディスプレイは、もともとUHD(Ultra HD)の放送規格 ITU-R BT.2020の色域や、10bit信号に対応した独自開発の画像処理と4Kディスプレイで、映像制作者の意図を忠実に再現するというのがウリ。
「Xperia 1 Professional Edition」の特徴としては、色設定「クリエイターモード」の初期値を、マスターモニター「BVM-X300」である色温度(D65)基準により近い調整を各個体ごとに施して出荷されているところ。
「BVM-X300」と併用する、あるいは端末を複数台業務で使用する場合には重要なポイントなものの、ド素人の自分が使うには手に余るというか直接的な恩恵はない。
「画質設定」として、「Xperia 1 」ではオリジナルの色域を拡張した色で表示する「スタンダードモード」になっているものを、「Xperia 1 Professional Edition」では、「クリエイターモード」がデフォルト設定になっている。
モバイルモニターとしての利用シーンを考慮して、ホーム画面の横向き表示にも対応。
とはいっても、「Xperia 1 」では出荷時設定でオフになっているだけで、いくらでも設定でオンオフできるのでそう特別という事でもない。
それから、「Xperia 1 」の本来のウリだと思われる「サイドセンス」と「ダイナミックバイブレーション」について、「Xperia 1 Professional Edition」ではオフの状態で出荷されている。
決して削除されているわけでもないので、設定から好みでONにすれば利用できる。
プリインストールとプレス発表時に言われている 「Imaging Edge Mobile」と「Transfer & Tagging add-on」については、追加アプリでインストールする流れ。
どうやら、2019年10月末以降、ソフトウェアアップデートで対応となっているので購入した時点(10月25日)では手動インストールとなっていたものと思われる。
「Imaging Edge Mobile」は、カメラから写真や動画をスマホへワイヤレス転送するアプリで、一般にダウンロードするものと全く同じ。
「Transfer & Tagging add-on」を使えば、α9II / α9(ver5.00以降)/ α7RIV / α7RIII / α7III と、もしくは「Xperia 1 Professional Edition」で撮影した静止画に、音声もしくはテキストでタグ・キャプション入力 (IPTC メタデータ) ができる。
現場で即納したい場合でも、PCがなくてもいつでもどこでも更なる高速納品が可能になる。
「Xperia 1 Professional Edition」ならではの機能として、カメラアプリで撮影するさいに、Transfer & Tagging add-onモード をONにしておくと、IPTCタグを付与して専用フォルダに保存。
そして、その専用フォルダを「Transfer & Tagging add-on」でIPTCデータを読み込むということができる。
個人的に最大のツボ仕様は、USB Type Cの有線LAN接続(1000BASE-T相当)に対応していること。
コレはAndroid端末ではわりと一般的に利用できる機能にもかかわらず、従来のXperiaでは塞がれていた機能だった。
「Xperia 1 」も利用できない。
そこを「Xperia 1 Professional Edition」では開放してくれている。
ではいつ使うシーンがあるのか?
ワイヤレス電波が混線してしまうようなイベント会場などでも安定した通信接続できたり、ゲームプレイの実況をする場合でも確実に途切れない有線LAN接続のアドバンテージを活かせる。
例えばリビングにPS4があるとして、2Fや離れた部屋で「PS4リモートプレイ」を利用する場合でも、有線LANで接続できれば、ビデオ品質を解像度「最高(1080p)」、フレームレート「高」にしてプレイすることができるはず。
「Xperia 1 」のゲーム特化機能として「ゲームエンハンサー」と併せて利用することで、よりモバイルゲームを快適にプレイできる。
ソニーSIMフリー機の今後の展開が楽しみ。
正直な話、「Xperia 1 Professional Edition」のプロ仕様の機能が万人受けするとは言い難い。
そもそもいるのかい?と感じる人が大多数だと思われる。
「Xperia 1 」がココ数年の不審を招いていたXperiaと比べたら遥かにソニーのアイデンティティあふれる魅力的な端末だとわかっている皆たちはすでに手にしているはずである。
しかも発売から4ヶ月経過して、ひとまわり小さくなった「Xperia 5 」が最新モデルとして発売されている。
こんなタイミングで個人で買う人いるのだろうか?と思ったりもする。
法人向けの窓口を設けて、法人に対する販売とサポートも充実しているのは、だからこそのプロフェショナルモデルなんだろう。
がしかし、「Xperia 1 Professional Edition」はソニーのソニーによるソニーから販売されたXperiaメインモデル初号機である。
何度も言うけど「Xperia J1 Compact」はカウントできるモデルではないし、「Xperia XZ Premium」もSo-netのnuroモバイルなのでソニー直販ではない。
あの幾多のハードルがある国内主要MNOの高い壁を飛び越えて、仕様を変えてまでも販売にこぎつけたのが「Xperia 1 Professional Edition」である。
しかもキャリアロゴもない、余計な型番もない。
個人的には欲しかった仕様を含んでいるのでちっとも後悔していないしむしろテンション高めなくらいだけれど、そんな想いもめぐらせつつ。
決してこれ1代で終わらないように、これからのソニーSIMフリーモデルの展開に期待しよう。
<Xperia 1 執筆記事>
・ここ数年のXperiaとは全く異なる。Xperia 1実機ファーストインプレ – Engadget Japanese
・実際どう? Xperia 1『超縦長』ディスプレイの使い心地(実機レビュー)- Engadget Japanese
・Xperia 1の『トリプルカメラ』をじっくり試した(実機レビュー)- Engadget Japanese
・海外版Xperia 1を速攻入手して開梱レビュー。ストレージ128GBが魅力- Engadget Japanese
・[ ASCII.jp x デジタル 掲載 ] Xperiaシリーズを新たに生まれ変わらせた「Xperia 1」
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Xperia(TM)スマートフォン 「Xperia 1 Professional Edition(J9150)」
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ソニーストア販売価格:5,680円+税
Xperia 1 Style Cover Touch「SCTI30」は、フルスクリーンウィンドウを搭載して、カバーを閉じたままでもタッチ操作が可能できる「Xperia 1」専用のカバー。
ホルダー部にTPU(熱可塑性ポリウレタン)素材を採用して、「Xperia 1」本体のデザインにぴったりとフィットして持ちやすい柔らかい手触り。
防水対応(IPX5/8相当)で、装着したままで卓上ホルダ(別売)での充電が可能。
・[ ASCII.jp x デジタル 掲載 ] Xperia 1ユーザーに強くオススメしたいソニー純正ケース:Xperia周辺機器
・[ Engadget Japanese 掲載] Xperia 1専用Deff製アルミバンパー、紫で合わせるとシンクロ率が高い
・[ Engadget Japanese 掲載]アラミド繊維の「Xperia 1 」ケースレビュー、心にしみる軽さと薄さ
・[ Engadget Japanese 掲載]封筒型のXperia 1専用ケース試してみました、見た目と機能に大満足
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ソニーショールーム / ソニーストア 銀座
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ソニーストア 福岡天神
西鉄福岡(天神)駅南口から徒歩5分。西鉄天神CLASS
営業時間:11:00~20:00
<ASCII.jp x デジタルXperia執筆>
・ASCII毎週連載:Xperia周辺機器
・ASCII隔週連載:Xperia温故知新! 波瀾万丈な歴史を紐解く