デジタルスチルカメラ「RX10Ⅲ」を、ソニーストア福岡天神で触ってきたレビュー。超望遠で納得のクオリティの画像が手に入れられるカメラ。
RXシリーズと言えば、コンパクトデジカメというジャンルにもかかわらず、一眼カメラフルサイズのセンサーをもったRX1RⅡとか、小さくても高画質というインパクトを植えつけたRX100シリーズとか、何しろ名機が多い。
その中にあってRX10シリーズは、初代RX10が出たタイミングで、初のフルサイズEマウントモデルα7の大旋風の中で存在感が薄れ、二代目RX10Ⅱ登場時もα7RⅡという化け物級のカメラの後ろに影を潜め、もはや不幸としか言いようがない不遇の存在になっていたのだけど、今回は違う。
ただ単独で発表されたというだけじゃなくて、本気で凄いとうならせる性能を備えて登場したのが「RX10Ⅲ」。
そのソニーストアで先行展示されていた実機を触ってきた。
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●RX10Ⅱとはまるでベツモノ!RX10Ⅲと外観からその違いを観察してみる。
RX10シリーズの流れからして、「RX10Ⅲ」は「RX10Ⅱ」から単純に高倍率ズームレンズを搭載したマイナーチェンジのモデルかな?と思いきや、実機を見比べるとまるでベツモノだという事がよくわかる。
「RX10Ⅱ」よりも「RX10Ⅲ」が一回り大化、露骨にサイズが違っていて、あぁこりゃデカくなったなと。
そして、ただ大きくなっただけじゃなくて、細部に違いがたくさん。
「RX10Ⅱ」は、広角24mmから望遠200mmのZEISSバリオ・ゾナーT*レンズ、ズーム全域F2.8でフィルター径は62mm。
「RX10Ⅲ」は、広角24から望遠600mmのZEISSバリオ・ゾナーT*レンズで、F2.4-F4.0という超望遠でかつ明るいレンズになっているというのが最大の特徴で、フィルター径72mmのさらなる大口径レンズになっていて、正面から見たときのレンズの迫力がまるで違う。
レンズの絞り機構も7枚から、9枚羽根円形絞りを採用して、さらに美しいぼけや、点光源を表現できるというまさにレンズ的進化が大きい。
【RX10Ⅲ】
【RX10Ⅱ】はレンズ部分に、絞りリングとマニュアルリングを備えていて、オートフォーカス(AF-S/AF-C)の時はズーム操作、マニュアルフォーカス(DMF/MF)の時にはフォーカシングという使い方だった。
【RX10Ⅲ】はレンズ部分には、フォーカス、ズーム、絞り、の3つのリングになってデジタル一眼カメラの操作性そのままに、ファインダーをのぞいたままでもダイレクト操作ができるのがイイ。
ズームリングとフォーカスリングは、割り当て機能を入れ替えたり、回転方向の変更もできるのでより自分用にカスタマイズもできる。
さらに、「RX10Ⅲ」には、フォーカスホールドボタンも加わっていて、ボタンを押してフォーカス固定もできれば、カスタムキーとして自分の好みの機能も割当できて、操作系は相当に使い勝手がよくなっている。
【RX10Ⅲ】
本体サイズがアップしたことで、そのぶん奥行きが長くなってグリップの形状もより緩やかにラウンドした形になっていて、右手で掴んだ時のホールド感はかなり良くなっていて、感覚的にはα7Ⅱシリーズよりも深く、Aマウントシリーズに近い感じ。
それに、カスタムボタンが1つから2つに増えて、指掛かり近くにダイレクトに機能呼び出しができるボタンが2コあるのは便利。
【RX10Ⅲ】
背面からのレイアウトはほぼ同じ。「XGA OLED Tru-Finder(トゥルー ファインダー)」も同性能。
「RX10Ⅲ」にはカスタムキーやフォーカスホールドボタンが増えたことに加えて、それぞれに登録できる機能種類が58種類に大幅に増えて、さらに撮影と再生時に振り分けて割当できるようになったこと。
この自由度の差がかなり大きい。
【RX10Ⅲ】
ⅡとⅢの差が…というのは当たり前で、ものすっごい細かいところだけど、モードダイヤルの厚みがマシマシになっていて、回しやすくなっている。
このあたりもカメラ然としてきたところ。
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●広角から超望遠で、明るく高速AF、手ぶれ補正を備える驚異のズームレンズを試してみた。
「RX10Ⅲ」の超強烈な武器といえば、ZEISSバリオ・ゾナーT* 24-600mm F2.4-4.0 大口径・高倍率ズームレンズ。
ED(特殊低分散)非球面レンズ2枚、スーパーEDガラス1枚を含む計8枚のEDガラスを使用して、ズーム全域で明るくて高コントラストでシャープな画質というまさにデジタル一眼望遠ズームクラス。
ソニーストアの店内での撮影したサンプルを持って帰ってきたので載せてみる。
【焦点距離:600mm】
一台のカメラだけで、この24mmというワイドな画から、光学ズームで600mmという超望遠まで持っていけてしまう驚異!
センサーの小さいコンデジで超望遠できるカメラはありはするものの、もう画質のクオリティが破綻していたり、ISO感度が上がるとザラザラ絵の具みたいにまったく解像感もなくてガッカリな事がほとんどだけど、この「RX10Ⅲ」のセンサーは、RX100でもう体験済みで画質のクオリティがしっかりとわかっている有効約2010万画素のメモリー 一体1.0型積層型CMOSイメージセンサー Exmor RS。
しかも、大口径レンズで広角では開放F2.4という明るさのうえ、テレ端600mmでもF4という明るさと、ヌケの良さもあって見事に解像している。
実は、ズームした撮影サンプルは設定をミスってシャッタースピードが高速になったままになっていて、ISO感度が5000以上になっているのだけど、センサーの良さに加えて画像処理エンジン「BIONZ X」の性能もあって、ノイズ感がほとんど目立たない。
もちろん600mmの超望遠にもなると心配になるのが手ブレだけど4.5段分の手ぶれ補正の威力もデカい。
広角から望遠までも、納得の画質が残せて、デジタル一眼カメラじゃないのにこのクオリティの画質を残せるというのは相当に凄い。
ちなみに、この画像もソニーストア福岡天神内の同じ位置から600mmの望遠ズームで撮影したもの。
24mmの引きの映像で、右の上に見える天井から吊るされているライトなんだけど、よく見ると、Life Space UXのLED電球スピーカーだというのがわかる。
さっと構えて撮っただけにもかかわらず約0.09秒高速AFも伊達じゃなくと、かなり精度高くスムーズに被写体にピピっとあう感覚もイイ。
それから、「RX10Ⅲ」はマクロ撮影も得意。
広角側で約3cm(最大撮影倍率0.42倍)イケるよということでどこまでピントがあうか試してみたらほぼベタ付け(笑
現実には暗くて使い物にならないけれど、マクロモードに切り替えることなくそのまま無限遠から近接までピント合わせができるのはまた凄い。
これは使えると思ったのが、600mmの超望遠でも約72cm(最大撮影倍率0.49倍)までの近接撮影ができること。
離れた位置からでも、ぐっと被写体に迫った構図や映像表現ができる。
まさに上の画像のポジションで撮影した画像がコレ。
もちろんこの花は造花だけれども、ここで近接してその素材感までがわかるように細かく解像しているのがよくわかる。
そして背後のボケ具合も なめらか。
どの画像も、できればリンク先のFlickrを開いて拡大して見て欲しいくらいに画質は良好。
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●本格的なカメラとしての操作性と拡張性
「RX10Ⅲ」の機能でこりゃイイ!と思ったのが、「ズームアシスト」機能。
初期設定時から「カスタムボタン1(C1)」に割り当ててあるけれど、撮影時にこの「C1」ボタンが超活躍する。
望遠時に撮影しようとした時に、あまりにもピンポイントな視界のために、被写体は見失いがち。
そんなときに、「ズームアシスト」を使うと、ススッとズームアウトして被写体の位置を確認して、再度フレーミングをし直せる。
というか、デジタル一眼カメラの手動レンズではまずできない電動ズームの特性をうまく活かした機能。
動画で見てもわかるけど、ズームレバーでの調整もできるので、うまく使いこなすと相当に有用な機能。
リングのズーム機能に、「ステップ」を割り当てることができて、リングをまわすごとに35mm、50mm、70mm、135mmと、単焦点レンズでよくつかう焦点距離刻みでズームしてくれる機能がまた便利で、高倍率の電動ズームレンズでもコレを使うとストレスは激減。
他、背面の3.0型液晶モニターは上方向に約107度、下方向に約42度チルトする。
ポップアップする内蔵フラッシュもあれば、「マルチインターフェースシュー」も備えているから光量の大きな外部フラッシュもつけられる拡張性もある。
バッテリーは、デジタル一眼カメラEマウントと同じ「NP-FW50」で、microUSBケーブルからの給電も可能。
ということは、バッテリーも「マルチインターフェースシュー」につけられる周辺機器も、すべてデジタル一眼カメラEマウントモデルと共用できるという事にもなる。
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「RX10Ⅲ」は「RX10Ⅱ」と比べると、本体の価格は高くなるわ、ボディは大きくなるわで、一体誰が買うんだ!?と一瞬思われがちだけれど、後継機種ではなくて完全に上位機種。
根本的にカメラとレンズをあわせてデジタル一眼の資産をもりもりつぎ込んで出来上がったのが「RX10Ⅲ」。
600mmの超望遠がただ凄いだけじゃなくて、確実に超望遠でも写真を残せることと、撮った写真のクオリティが納得の一枚になっているというのが凄い。
それでいて、α7RⅡ/SⅡやα6300でも搭載されているサイレント撮影も瞳AFも備わっていて、欲しい機能はガッツリ入っている。
デジタル一眼カメラまではいらないけど高画質でイイカメラが欲しいという人にはまさにツボなカメラだし、既にデジタル一眼カメラでレンズ資産を持っている人すら、バッテリーから周辺機器は共用できるし、レンズ1本を買うつもりで「RX10Ⅲ」を導入しちゃったら、超優秀なサブカメラとして複数台体制で撮影に挑むこともできる。
いや、なんてったって、600mmの望遠ズームレンズなんて買えないからね(;´∀`)
あと、今回触って試せしてなかったけど、4K動画も、業務用ビデオカメラでしか出来なかったスーパースローモーション撮影も、この超望遠ズームを活かして撮れるから、手に入れてもモトは確実に取り戻せるはず。
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●(オマケ)4K動画やスーパースローモーション動画
4K動画(3840×2160)撮影では、イメージセンサーから画素加算や間引き処理をせずに全画素読み出しすることで、モアレ(縞模様)やジャギー(階段状の線)の少ない高精細な4K画質での撮影ができ、顔認識で静止画を一緒に残せる使い勝手の良さ。
ハイビットレートでの撮影が可能なXAVC S記録方式を採用して、最高100Mbpsの撮影にまで対応するので、水しぶきなど細やかで動きが多いシーンでも、ザラザラとしたノイズがのらない解像度 の高い映像が撮影もできる。
ピクチャープロファイルやS-Log2ガンマ、S-Gamut、タイムレコード/ユーザービットといったプロ仕様の動画機能も 持っていて、HDMIの同時出力もできる。
動きの激しいシーンでも一般に肉眼ではまずとらえられない映像をスローモーションで残せるのがスーパースローモーション撮影。
撮影フレームレートは960fps/480fps/240fps、記録フォーマットは60p/30p/24p、撮影時間は約2秒(画質優先)と約4 秒(撮影時間優先)から選んで、被写体のスピードに合わせて最適な倍率でスローモーション記録ができる。
ハイスピード撮影は、MOVIE(動画)ボタンを 押して、そのタイミングよりも後だけじゃなくて、その前の2~4秒間を記録も出来るから、確実に欲しいシーンを記録する事ができるというのがミソ。
最速1/32000秒の高速シャッターと(別売の)NDフィルターを併用すれば、まず白飛びしまうような強い太陽光の下のEV19という明るさでも、絞りを開けて撮影ができるので、屋外の眩しい場所でもレンズのボケを活かした静止画が残せる。
CMOSイメージセンサーの特性として、ゴルフスイングの瞬間のように高速な被写体を撮影する時に起きやすい動体歪み(ローリングシャッター現象)もガッツリと低減、高速な電子シャッター方式でシャッター音がしないので、動物や昆虫の撮影でも逃してしまうという事もない。
600mmという超望遠を備えたことで、静止画撮影はもちろんのこと、4Kムービーも、スーパースローモーションも手にとるような画を記録に残せる唯一無二のカメラ。
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デジタルスチルカメラ「DSC-RX10M3」
ソニーストア販売価格:166,880円(税別)
●長期保証サービス(3年ベーシック)無償
●5月20日発売予定
・超高速・高精度に進化した”4Dフォーカス”で撮りたいシーンを確実に残せるデジタル一眼カメラ「α6300」
・高解像度とぼけ味を高次元で融合した”G Masterレンズ” 「SEL2470GM」、「SEL85F14GM」、「SEL70200GM」、テレコンバーターレンズ登場。
・「CP+2016」ソニーブースで、”α6300”や”G Masterレンズ”に触ってきたレポート。
・デジタルスチルカメラ「RX1RⅡ」を、ソニーストア大阪で触ってきたレビュー。