VAIO typeS[SZシリーズ]のメモリーを4GBにするとオイシイのか?
VAIO typeS(SZシリーズ)は、
出た当初のVGN-SZ90からVGN-SZ93までは、
CPUや細かいところは進化してきたけど、
マザーボード自体は、ずーっと同じだった。
それが、今回VGN-SZ94になって
チップセットがモバイル インテル GM965 Expressに変更されて
メモリーのバスが533MHzから667MHzに上昇して
搭載できる物理メモリーの最大容量も4GBに増えた。
(その代わりOSが使用可能な領域は最大でも3GB)
ソニースタイルのカスタマイズには、
4GB(2GBX2)という選択肢はないけど、
まだ少しでもパフォーマンスを上げる余地があるのなら
そりゃ最大容量の4GBをのっけてみたくなる。
-----------------
まずは、メモリの用意。
「VGN-SZ94US・SZ94NS・SZ94S」に対応したメモリは、
「DDR2 SDRAM、DDR2 667対応(667MHz動作)」なので、
それに合ったメモリをサードパーティから選択。
失敗しないコツは、
動作確認機種をHPで明記してるメーカーを選ぶ事。
バルクは極端に安い代わりに、
相性問題で動作しない場合もあるので注意。
最近、メモリーって安くなったなーと思ってたけど
1枚で2GBのノートPC用メモリーはさすがにまだ高い。
これを2枚買っても
結局は3GBしか認識されないのかと思うと結構むなしいものが・・・
メモリーの交換はとても簡単。
「VAIO typeS」をひっくり返して本体底面の
中央手前にあるカバーに隠れてるだけなので
ネジ2本はずすだけ。
薄いカバーをめくれば、メモリが見えるので
最初についてるメモリをはずしてメモリを2枚挿す。
後はカバーをもとにもどすだけで終了。
Windows Vistaを起動して、
メモリが増えてるかどうかをチェック。
すると、
OS上で認識できる最大の3GBと表示されてるのがわかる。
---------------------
ここで、
手元に3種類のメモリーがあるので
・1GB(512MBx2枚)
・2GB(1GBx2枚)
・4GB(2GBx2枚)
それぞれを付け替えて
どんな違いがあるかを調べてみた。
「VAIO typeS」には、
グラフィックボードを用途によって切り替えられる
グラフィックハイブリッドシステムがあるけれど、
今回はよりパフォーマンスの高い、
SPEEDモードの[NVIDIA GeForce 8400M GS GPU]に、
そして、
電源プランは【高パフォーマンス】に固定。
<利用可能なグラフィックメモリーの変化>
Windows Vistaは、
メインメモリーの増減によって
利用可能なグラフィックメモリーが変わってくる。
【メモリー:1GB(512MBx2)】
専用グラフィックメモリが、64MB
専用システムメモリが、0MB
共有システムメモリが、255MB
となって、
利用可能な全グラフィックスメモリは、319MB。
【メモリー:2GB(1GBx2)、4GB(2GBx2)】
専用グラフィックメモリが、64MB
専用システムメモリが、0MB
共有システムメモリが、767MB
となって、
利用可能な全グラフィックスメモリは、831MB。
メインメモリーが
2GB(1GBx2)と、4GB(2GBx2)になった場合での
割り当ての変化はなし。
---------------------
<パフォーマンスの評価>
Windows Vistaを快適に動作できるかどうかの
目安となる「パフォーマンスの評価」
【メモリー:1GB(512MBx2)】
プロセッサ:5.3
メモリ:4.5
グラフィックス:3.5
ゲーム用グラフィックス:4.6
プライマリハードディスク:4.7
【メモリー:2GB(1GBx2)、4GB(2GBx2)】
プロセッサ:5.3
メモリ:4.8
グラフィックス:3.5
ゲーム用グラフィックス:4.6
プライマリハードディスク:4.7
1GB(512MBx2)で、メモリー評価が4.5
2GB(1GBx2)と、4GB(2GBx2)で、メモリー評価が4.8
こう見るとVistaの評価上では、
1GBと2GBに差があると判断。
ちなみに、
SZ93(メモリーバスが533MHzの場合)で計測した場合
1GB、2GBともに評価は4.5だった。
という事は
あくまでもVistaというOSを
快適に動作させられるかに重きを置いたこの評価では
おそらくメモリー容量に加えて、
メモリーの読み書きのスピードも評価対象になってるっぽい。
---------------------
<ベンチマークテスト>
お約束のPCのベンチマークテスト。
VGN-SZ94USの
1GB(512MBx2枚)、2GB(1GBx2枚)、4GB(2GBx2枚)に加えて
メモリーバスの違う
VGN-SZ93の(1GBx2枚)も加えて比較してみた。
●PCMark05 Build 1.2.0(Basic版)
CPU、メモリ、HDD、グラフィックスなどの性能を計測する
統合ベンチマークソフト。
PCMark05からマルチコア/スレッドに対応。
5回計測して合計したものを平均した数値。
<VGN-SZ94US>
【メモリー:1GB(512MBx2)】
System Test Suite:4809
【メモリー:2GB(1GBx2)】
System Test Suite:4912
【メモリー:4GB(2GBx2)】
System Test Suite:4933
<VGN-SZ93S>
【メモリー:2GB(1GBx2) 533MHz】
System Test Suite:4133
この数値は、
トータルのパフォーマンスの数値のため
メモリーだけの恩恵がそのまま出てるとは言いがたい。
それに、
それぞれ計測したものの数値のバラつきがあって
メモリー容量の差での恩恵はほとんど再現できず。
どちからというと
メモリーのバススピード(読み書きスピード)の差が大きい。
●CrystalMark 2004R2
CPUやメモリー、HDD、グラフィック
のパフォーマンスを計測できるベンチマークソフト。
5回計測してMEM(メモリ)を合計したものを平均した数値。
<VGN-SZ94US>
【メモリー:1GB(512MBx2)】
MEM:11762
【メモリー:2GB(1GBx2)】
MEM:12099
【メモリー:4GB(2GBx2)】
MEM:12440
<VGN-SZ93S>
【メモリー:2GB(1GBx2) 533MHz】
MEM:9940
[MEM]の評価は、
SZ94のメモリーの容量差は、
比較的小さいけれど大きくブレる事なく数値の差となった。
ただ、やはり
読み書きスピードが評価対象で
メモリーバスの差がはっきりを現れる。
●HDBENCH
かなり昔っからあるベンチマークソフト。
CPUやメモリー、グラフィック、HDDの
パフォーマンスを計測できる。
5回計測して「メモリ」を合計したものを平均した数値。
<VGN-SZ94US>
【メモリー:1GB(512MBx2)】
Read :184714
Wreite :113623
Read&Wreite:225985
【メモリー:2GB(1GBx2)】
Read :185051
Wreite :116204
Read&Wreite:232683
【メモリー:4GB(2GBx2)】
Read :185016
Wreite :122033
Read&Wreite:242658
<VGN-SZ93S>
【メモリー:2GB(1GBx2) 533MHz】
Read :155687
Wreite :93172
Read&Wreite:186682
上記2つのテストとほぼ同じ傾向の結果。
やはりメモリーバスの影響が顕著。
ベンチマークテスト自体が
メモリーの読み書きテストをしてるので
当然といえば当然のような結果で
これを、やった意味があったのかどうかは怪しい・・・
ちなみに
ここには書いてないけど
3Dベンチマークソフトの「3DMark05」と「3DMark06」
ゲームベンチの「Vana’diel Bench3」と「UCGO」を
それぞれ全部計測したのに
2GBと4GBの差がもう全然出なかったので掲載するのはやめといた。
依存してるところが、メモリーじゃなくて
CPUやグラボが重要なので当たり前か。
---------------------
<メインメモリーの使われ方>
メインメモリーが増減する事での
Vista上の変化。
【1GB(512MBx2)】 【2GB(1GBx2)】 【4GB(2GBx2)】
これは、
ガジェットの「CPUメーター」。
小さいメーターのほうがメモリーの使用量を示していて、
左から順番に
1GB(512MBx2)、2GB(1GBx2)、4GB(2GBx2)の
起動直後のある程度落ち着いた状態でのメモリー使用量。
普通、
メモリー容量が増えた事で
メモリーの占有率が下がっていくという単純なものだったら
4GB(実質3GB)の下がる率が少ないかも?
と思ったら
単純にそういったものではないらしい。
[タスク マネージャ] を開いて
[パフォーマンス] を見てみると。。
【1GB(512MBx2)】 【2GB(1GBx2)】 【4GB(2GBx2)】
同じ本体でメモリーを変えた事で
物理メモリーの使用率が
それぞれに違う。
これは、
Vista特有のメモリーの使い方で
普通のWindowsのキャッシュだけじゃなく、
SuperFetch(スーパーフェッチ)が働いてる事で
利用できる物理メモリを使って
データをキャッシュしてる事が影響してるらしい。
例えば
Windows Vistaを起動して
すぐに[タスクマネージャー]を開いて
[パフォーマンス」の数値をじーっと見てると
「キャッシュ済み」のメモリがだんだん増えてきて
「空きメモリ」が減っていくのがわかる。
SuperFetch(スーパーフェッチ)は、
よく使うアプリケーションをメモリーにキャッシュする事で
そのアプリケーションの起動が速くなる機能で、
もちろん、
データの大きいアプリを扱った時は、
キャッシュはメモリーから吐き出されて、
その後に、メモリに隙間ができたら
もう一度キャッシュに読み込むといった事を繰り返してる。
・アプリケーションがレスポンスよく使える:Microsoft
とすると、
メモリー容量が多いと、
単純に作業領域が大きくなって
複数のアプリケーションやデータを開いても余力があるという
今までの意味合いと、
頻繁に使うソフトウェアをより多くメモリーにキャッシュして
少しでも速く起動できる余力が得られる。
こういった
ベンチマークには数値として現しにくいものの
体感上のレスポンスには恩恵があると
考えたほうがいいかもしれない。
---------------------
正直に言うと
今のところ
2GB(1GBx2)を4GB(2GBx2)に付け替えて
すごく速くなったという感覚はあまりなくて。
そこまでお金をかけてまでやる意義はなさそうな気が・・・
ただ、久しぶりに
1GB(512MBx2)を載せてみたら
これだけスペックの高いVGN-SZ94USでさえ
ビックリ仰天なくらい遅く感じてしまって
Windows Vistaを1GBで使うもんじゃないなと思ってしまった。
【VAIO typeS特集ページ】
【VAIO typeT特集ページ】