ソニーホンダモビリティの開発する「AFEELA(アフィーラ)」2024年版プロトタイプの最新モデルをお披露目。来年 2025年前半に北米での先行受注まであと1年にせまったところでどう進化しているのか?
ソニーは、コンシューマーエレクトロニクス展示会「CES 2024」に今年も出展。
1月9日(火)10時から行われたプレスカンファレンス内で、ソニーホンダモビリティの開発する「AFEELA(アフィーラ)」2024年版の最新モデルをお披露目。
昨年発表していたEpic Gamesとの協業進捗、ポリフォニー・デジタルとの車両開発における協業、マイクロソフトとのモビリティのための対話型パーソナルエージェント開発などを発表した。
CES 2023で初披露したプロトタイプからコンセプトはそのままに、量産に向けて進化したAFEELAプロトタイプ2024の情報を公開。
今まで分からなかったバッテリー性能やモーター性能などについても判明している。
・ソニーグループポータル | 世界最大級のテクノロジー見本市「CES2024」に出展
・ソニースクエア | Sony@CES 2024
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●AFEELA Prototype 2024の詳細を発表
カンファレンスでは、ソニー・ホンダモビリティ株式会社 代表取締役 社長兼COO 川西泉氏の操るPlayStation5のDualSense ワイヤレスコントローラーによって、「AFEELA」が登場。
車体の外観はほぼその姿を変えておらず、若干ながら機能的なデザインが追加された程度。
現時点として”プロトタイプ”ではあるものの、「量産に向けて進化」したのが今回のモデル。
受注開始が2025年前半に迫っているとすれば当然といえば当然で完成形とするにはタイムリミットが迫っているとも言える。
今回の注目ポイントは、MicrosoftやEpic Gamesに加えてグランツーリスモを手掛けるポリフォニー・デジタルと車両開発で協業を発表したこと。
ADAS(先進運転支援システム)にAI技術を用いて、対話型パーソナルエージェントの開発においてはマイクロソフトと提携。
また、ポリフォニー・デジタルの持つシミュレーション技術とAFEELAの車両情報を組み合わせてバーチャルとリアルを融合させた車両開発を目指す。
昨年協業を発表したEpic Gamesとは、ゲーミングエンジンUnreal Engine 5.3を使用した仮想空間を活用したシミュレーターを披露。
外的環境(車両、歩行者、地形、天候)をAR技術と組み合わせて3Dナビゲーションマップを、エンタテインメントやゲーミングに活かすとしている。
車内体験
Microsoftと連携し、AIを駆使した対話型パーソナルエージェントの開発に着手し、Azure OpenAI Serviceを活用し自然言語で意思疎通できるモビリティを目指す。
その分野を得意とする会社と連携して開発を進めている他、ロードノイズなどのEVならではの悩みについては、車について開発をしてきたホンダと、オーディオについて開発しているソニーが得意とするノイズキャンセリング技術を活用している。
ノイズキャンセリングによって生まれる静寂の中で、立体音響を楽しむことができる。
ドライビング体験
事前に認証登録することで、自動的にドアを開け、乗車すると発進可能な段階まで起動する。
自動パーキングについても搭載している。
このあたりは既報の情報が多い。
車内外には、計45個のカメラ・センサーを搭載。
室内のインキャビンカメラやToFセンサーにより、ドライバーの運転状況や走行状態をモニタリングし、不慮の交通事故防止へ貢献する。
特定条件下での自動運転機能、レベル 3 搭載を目指すと同時に、市街地等、より広い運転条件下での運転支援機能、レベル 2+の開発にも取り組む。
最大 800TOPSの演算性能を持つハードウェアには、Qualcomm Snapdragon Digital ChassisのSoCを採用予定。
制作体験
車内空間や、フロントフェイスに個性を出すテーマを変更できる。
クリエイター、デベロッパーが開発したアプリや、テーマなどを利用できるオープンな開発環境。
走行中のeモーターサウンドの音源、ナビ上への付加情報なども追加変更できるようなので、公式配布データで不満な部分やソニーが弱い分野のアプリがあったとしてもデベロッパーやユーザー側で改善できる可能性がある。
デザイン
2025年前半に先行受注を開始して、同年中に発売を予定。
デリバリーは2026年春に北米から開始、日本へは2026年中を予定している。
・本体寸法
全長:4,915mm、全幅:1,900mm、全高:1,460mm
・ホイールベース
3,000mm
・電気モーター
ドライブトレイン:AWD
フロントモータータイプ:永久磁石内蔵型同期モーター
フロントモーター出力:180kW
リアモータータイプ:永久磁石内蔵型同期モーター
リアモーターパワー:180kW
・バッテリー
充電式電池の種類:リチウムイオン
バッテリー容量:91kWh
・充電
DC充電:150kW、AC充電:11kW
・サスペンション
フロントサスペンション:ダブルウィッシュボーン
リアサスペンション:マルチリンク
追加情報:エアサスペンション
・タイヤ
フロントタイヤ:245/40R21
スペックの詳細は、以上の通り。
バッテリー容量は91kWhと大容量バッテリーを搭載しているため、車両重量もかなりの重さになると思われる。
公式動画の中で、シミュレーション上のバッテリーゲージと航続距離が表示されていた。
ゲージの残量から約78%程度の段階で234マイル(約376km)の航続距離であることが確認でき、バッテリーゲージと航続距離の情報が正しいとすれば、バッテリー100%ではおおよそ300マイル(約482km)程度の航続距離ではないかと思われる。
バッテリー容量が91kWhであるため、電費としては約5.3km/kWhということになる。
バッテリーが多く搭載されているため重量はかなり重くなる。
充電関係のスペックはDC充電:150kW、AC充電:11kWとなっていて充電スペックとしては良好。
販売が先行する予定の北米では、ホンダがテスラの充電ポート規格NACSを2025年に採用予定であることから、AFEELAも北米ではNACSを採用する可能性が高い。
日本ではCHAdeMOを採用する可能性が高く、150kW出力の急速充電器が徐々に増えていることから、発売する頃には充電環境は良くなっていると思われる。
※2024年9月27日追記
国内では初めてテスラ社を除く日本向け車両におけるNACS規格の採用を決定。
・テスラ社の北米充電規格(NACS)採用をAFEELAにおいて決定 日本向け車両としては国内初
ソニー・ホンダモビリティはAFEELA(アフィーラ)における北米充電規格(NACS)の採用を米テスラ社と合意しました。日本向け車両としては国内初となります。https://t.co/yPw3xci6Ot pic.twitter.com/OdQtpDe08R
— AFEELA_JP (@shmAFEELA_jp) September 27, 2024
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●AFEELAは結局どう着地するのか?
そもそもソニーが初めてEV車のプロトタイプをお披露目したのが「CES2020」。
ソニーが車業界に参入するのか!?とニュースでも取り沙汰されるほどにセンセーショナルな出来事で。
自社の得意とするイメージングセンシング技術をはじめ、AIや通信、クラウド技術などを活用して高度な自動運転を可能にして、さらに移動空間である車内をこれもまた強みであるエンターテイメントを技術を集結させたコンセプトモデル「VISION-S」。
そして、2022年には、ソニーとHondaが合弁会社「ソニーホンダモビリティ」を設立。
この胸熱展開で、加速度に具現化していくと思っていた。
けれどもうそろそろ2020年から4年も経つのに具体的なアップデートが少ないというか、ほぼ平行線を辿っていて驚きが薄れているというか。
「AFEELA」になって「VISION-S」の近未来感がなくなったのはより現実に落とし込まれたとも言えるのだけど、エクステリアにもインテリアにも胸の高鳴りがないところに一抹の不安を感じざるを得ない。
ポリフォニー・デジタルやEpic Gamesと提携して今回示された内容はたしかに面白そうだし、目指している方向性はわからなくもない。
けれど、そのエンターテイメントをドライビングに活かせるゴールが見えてるのかな?と。
車内空間や車の外部にコンテンツを表示できるアイデアはおもしろいのだけど、大好きなコンテンツの世界観をカッコよさ織り交ぜて表現したいのであって、本来発信したいのはキャラクターそのものではない(むしろキャラクターが表示されると恥ずかしい)。
車の外に向けて、スパイダーマンとかフォートナイトとか出したいか?と。
PS5のワイヤレスコントローラーで車をコントロールできるデモンストレーションはあくまでもパフォーマンスのひとつだと思われる。
グランツーリスモで、AFEELA が登場するというのはバーチャル試乗的なものとしての演出なのか?何かしらの車体にのる技術がレースに反映されたりのか?どっちにしても今想像する限りだといまいちピンとこない。
マイクロソフトと連携して対話型AIが入るにしても、その出来る範囲というか可能性は限りないわけで、具体的なところが今のところ見えていなかったり。
ガジェット的な目線からすると、最新のSoCを備えて、AFEELA 内で動かすアプリやサービスを開発できる環境を提供して…という導線もスマホで何度となく見てきた光景で、そのスピードに長期に乗り続ける車として対応し続けられるのか?
買って数年で、次期モデルがはるかにそれを越えられてもスマホのように買い替えられるものでもないし、といった不安もつきまとう。
もう4年も前から期待値を上げ続けてしまっているだけに、来年に北米で先行受注が始まる2025年に全体像がはっきりと見えて、おおきく広げた風呂敷をたためるのだろうか。
こういうふうになるっぽい事を考えてるよ!というようなふんわりとした可能性だけを示されても、AFEELAすごい!すてき!欲しい!とならないのが正直なところなので、ぜひ本当の意味でのプロトタイプモデルを見せてほしい。
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●ソニーストア 直営店舗(銀座・札幌・名古屋・大阪・福岡天神)
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