ディスクアクセス高速化アプリ「マッハドライブ」でVAIOは速くなるのか?
PCの普段使いでの体感速度に大きく左右されるのは、
ストレージによる部分が多くて、
ここへの読み込みや書込が遅いと、PCが遅いと感じてしまう事がある。
特に小さいノートPCになればなるほど
そのストレージのパフォーマンスが低くなるので
そこがボトルネックになる事もしばしば。
そのデータの読み書きを高速化してしまおうというのが、
IODATAの「マッハドライブ」ディスクアクセス高速化ソフトウェア。
この「マッハドライブ」というソフトは、
メインメモリーの一部を利用してディスクアクセスを高速化するもので
HDDやSSDにアクセスするその間にメインメモリーをかませる事で
データの読み書きが高速化されてPCがより快適に動作するというもの。
以前にとりあげた
「仮想メモリ」のソフトの原理と非常に似ている。
で、どれだけの効果があるものか?
をまずはスペック的にもタイトな「VAIO Xシリーズ」で試してみる。
Xシリーズ(やPシリーズ)は、
Atom CPUという事と
チップセットの仕様からストレージのインターフェースが
Ultra ATAになっているために
現行のWindows7マシンの中では利用時にレスポンスの鈍さを感じる事があるので
それが少しでも快適化するならやってみる価値はある。
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<シンプルなマッハドライブの設定>
早速、Xシリーズへ「マッハドライブ」をインストール。
そして、
プログラムから「マッハドライブの設定」を起動する。
設定はとても簡単で、
普通は自動で設定してくれる「オート設定モード」をクリックすれば
PCに搭載されているメインメモリーの容量から
自動的にマッハドライブで利用するメモリーの容量を決めてくれる。
実際にどういった設定になっているか?
もしくは自分で設定を決めたい場合には「カスタム設定」をクリックする。
「カスタム設定」を確認してみると、
まず「このドライブへのディスクアクセスを最適にする。」
にチェックが入っていて
「バッファーサイズ」には、オート設定でメインメモリーから計算して
最適な容量を決めたものが表示されている。
例えば、
Xシリーズなら、メインメモリーの容量は2GBなので、
適性として256MBという容量が選択されていた。
ちなみに、このサイズは最小8MB~最大512MBまで変更が可能だったので
好みによってこのあたりは采配ができる。
Xシリーズのタスクマネージャーで見てみると
全く利用していない時でメモリー使用量は約761MB、
バッファーサイズを512MBにすると
メモリー使用量は約1.26GBとなっているので
どれくらい物理メモリーを消費しているかが見てとれる。
それともう一ついじれる項目として、
「詳細な最適化パラメーターの設定」をクリックすると
ストレージへの書き込みのタイミングを
最短0.5秒~最長5秒までをコンマ1秒単位で任意に変更する事もできる。
この実行間隔をあまり伸ばしすぎると、
突如電源が落ちてしまった場合などに
そのタイムラグからデータが消えてしまう場合があるので注意が必要。
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<マッハドライブでXシリーズのパフォーマンスは変わったか?>
IODATAの紹介する動画では、
CrystalDiskMarkというベンチマークソフトだけで
その速度の驚異的なスピードを説明していたけれど
そんなに単純に一つのベンチマークテストで
短絡的にそのすごさをはかれるものでもないので
いつものように、いろんなベンチマークのテストをしてみる。
テストしたXシリーズのスペックは以下。
CPU :Atom Z540(1.86GHz)
メモリー :2GB(オンボード)
ストレージ:SSD約128GB(Samsung製SSD)
自分のXシリーズは、SSDをIntel製「X18-M」に換装してしまって
一般比較にならないので、
まともにSamsung製SSDを搭載したモデルで計測。
「マッハドライブ」の設定としては
オート設定のバッファー256MB、実行間隔は1.0秒にしている。
●CrystalDiskMark 2.2
[100MB]
『通常時(マッハドライブOFF)』 『マッハドライブON』
これは非常にわかりやすい効果の現れ方で、
まさにメインメモリーの転送速度がそのまま数値に現れた結果なので
マッハドライブを利用すると
おそろしいまでに高速な数値を叩きだす。
がしかし、
それは100MBでテストした時のもので
1000MBでテストすると事情も変わってくる。
[1000MB]
『通常時(マッハドライブOFF)』 『マッハドライブON』
バッファーサイズを超える容量ともなると
結局、ストレージへの直接の読み書きが発生する上、
おそらくバッファーサイズとストレージそれぞれに
分散されてしまうためか
ベンチマーク結果としては逆に落ちている。
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●CrystalMark 2004R2
CPUやメモリー、HDD、グラフィック
のパフォーマンスを計測できるベンチマークソフトでも
トータルスコアが2倍近くになっているけれど
結局は単純にストレージ評価だけが突出して高いスコアになっただけなので
このトータルスコアが示すように
パフォーマンスが一挙に上がったのではないだろうと思われる。
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●HD Tune Pro 3.50
『通常時(マッハドライブOFF)』
『Read 64K』 『Random Access Read』
『マッハドライブON』
『Read 64K』 『Random Access Read』
さらに
HD Tune Proの読み込みテストをしてみると興味深い事がわかる。
というのも、HD Tune Proは
そのストレージ自身のパフォーマンスをテストするものになるので
「マッハドライブ」をONにしてしまうと
バッファーに貯め込んでおくタイムラグが発生する事によって
ストレージの評価がグダグダになっている。
ストレージとしての速度も、ランダム性能も
本当にこんな数値だったらまずWindowsは動かないのだけど
これはHD Tune Proの特性なので
そういうものだと思ってスルーしたほうが良いみたい。
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●PCMark Vantage「HDD Test Suite」
『通常時(マッハドライブOFF)』
HDD Test Suite:10915.0
『マッハドライブON』
HDD Test Suite:4019.0
PCMark Vantageの
ストレージだけのベンチマークテストとなる
「HDD Test Suite」でも
その特性をはかるにはあわないようで
一つ一つの項目のスコアが落ちてしまって
トータル的にスコアは下がってしまっている。
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●PCMark05 Build 1.2.0(Basic版)
CPU、メモリ、HDD、グラフィックスなどの性能を計測する
futuremarkの統合ベンチマークソフト。
『通常時(マッハドライブOFF)』 『マッハドライブON』
System Test Suite(PCMarks) : 1426 1141
HDD_XP Startup(MB/s) : 28.01 17.14
HDD_General Usage(MB/s) :30.92 30.79
HDD Virus Scan(MB/s) : 24.18 17.99
Memory Latency_Random 16MB(MAccesses/s):5.53 1.23
PCMark05も
PCMark Vantageと同じような結果。
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という具合に、
「CrystalDiskMark」や「CrystalMark 2004R2」のように
単純にファイル転送のベンチマークテストならば
驚くほどの数値を目にする事ができるけれど、
それ以外のベンチマークテストを使ってみると
期待しているような結果が出てこなくて
あれ?と困惑する部分もある。
結果として具体的な成果を数値で示すことができないのだけど
じゃあ実際はどうなのか?
という主観的な感覚から言えば、
「マッハドライブ」を利用すれば劇的とまではいかないものの
利用する前よりも、明らかに体感速度の向上は感じられる。
特にXシリーズやPシリーズで行うような
webブラウズやビジネスアプリを利用するだとか
フォルダを開くという操作に関しては
メインメモリーといったアクセススピードの速さから
その恩恵にはあずかれるというメリットは間違いなくある。
それと
ストレージがSSDの場合だと
メインメモリーにある程度貯め込んだ後に書き込むという
ソフトの特性からして
小さなデータを大量に書き込んだ時におこるプチフリを回避できたり
書き込み回数を減らしてSSDの寿命を延ばせるんじゃないか?
といった期待感もおまけでついてくるので
使ってみても悪くないソフトかなというのが個人的な感想。
また、
他の機種にも試してみて
効果があれば掲載予定。
【VAIO typeP特集ページ】
【VAIO typeT特集ページ】
【VAIO typeZ特集ページ】
2件のコメント
くんこくさん、さっそくにレポありがとうございます。
なるほど、なるほどと勉強になります。
何やら私も色々調べてましたら、HDD・SSDやメモリの種類で違いがあるみたいです。
DDR3デュアル+東芝SSDが私の中では良い感じになってます。
残念ながら私はゆとりがないので色々調べたりできないのですが、DDR3のトリプルチャンネルとIntelなどのSSDでの組み合わせでどうなるのかなど、非常に気になります。
勝手なお願いですが、くんこくさんに是非レポをお願いしたいです。
わがままですみません(>_<) また、マッハドライブ32bit版ではバッファーサイズが512MBまでになりますが、64bit版では1.93GBまで割り当てできるようになります。 通常使用であまり512MB以上のデータをやりとりすることはないので、構わないと言えば構わないのですが、1.93GBになると安心感は増す感じもあります。 あと、RAIDには非対応なのがちょっと残念です。 くんこくさん、本当にいつもいつもありがとうございます。 よろしく検証お願いします。 勝手ですみません…。
>オレっちさん
いえいえ、こちらこそありがとうございますm(__)m
まずは一番スペックの低いモデルから試してみましたが
随時、他のモデルでも検証してみようと思います。
そうですそうです、RAIDを組んでいるとマッハドライブは使えませんでしたね(汗
これはちょっと残念でしたねー。
時間の合間をみてチャレンジしたらまたブログに書きますねw