気になる有機ELテレビと液晶テレビの消費電力の違い。ブラビア2021年モデル(A90J / X95J / X90Jシリーズ)の3機種で、いろんなシーンごとにワットチェッカーで計測した結果…。
・BRAVIA2022年モデル QD-OLED 有機ELテレビ や Mini LED 液晶テレビ の消費電力が気になる。消費電力よりも年間消費電力量に注目、じつは電気代は安くなる?
の続き。
前回は、ブラビアに採用されているパネル毎の消費電力と年間消費電力量について比較したけれど、実際のところはどうなのか?
今回、映像を流している時に消費電力がどのように変化するのかをワットチェッカーを使って確認してみた。
<デバイスごとの消費電力および年間消費電力量のおおきさ>
消費電力 : OLED > QD-OLED > Mini LED > 直下型LED
年間消費電力量:直下型LED > OLED > Mini LED > QD-OLED
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目次
●BRAVIA 2021年モデルの3つの機種で消費電力を比較。
今回、消費電力をチェックしたモデルは、ブラビア2021年モデルの4K有機ELテレビ「XRJ-65A90J」【65型】、4K液晶テレビ「XRJ-75X95J」【75型】、4K液晶テレビ「XRJ-50X90J」【50型】。
下の表では赤枠の3モデル。
それぞれ仕様に載っている消費電力は、以下のようになっている。
仕様に書かれた消費電力
「XRJ-65A90J」:521W
「XRJ-75X95J」:388W
「XRJ-50X90J」:170W
テレビの設定は、それぞれ画質モード「スタンダード」、明るさ「最大」、音量「20」に揃えている。
ブラビアにWindows PCを接続。
You TubeでソニーのHDR動画を再生しながら、映像コンテンツごとの消費電力をワットチェッカーで確認。
例えば上の場面では、消費電力はだいたい以下の値となっていた。
画像シーンの消費電力(仕様の消費電力)
有機EL「XRJ-65A90J」:194W(521W)
液晶「XRJ-75X95J」:315W(388W)
液晶「XRJ-50X90J」:135W(170W)
実際の映像と、ワットチェッカーに表示される消費電力は若干タイムラグがあるものの、大きく画面が変化していない場面で、特徴的なシーンをピックアップしている。
仕様上の消費電力が最も低いのは「XRJ-50X90J」であるものの、仕様と実際の消費電力の差が最も大きいのは有機ELテレビの「XRJ-65A90J」。
有機ELテレビは、シーンにより消費電力が大きく変化するということがわかる。
そのため、このシーンでは2021年液晶モデルの「XRJ-75X95J」よりも消費電力が低くなっている。
検証動画①
画像シーンの消費電力(仕様の消費電力)
有機EL「XRJ-65A90J」:302W(521W)
液晶「XRJ-75X95J」:312W(388W)
液晶「XRJ-50X90J」:137W(170W)
非常に明るいシーン。
3モデルともに消費電力は高く推移している。
有機ELテレビについても、画面が全体的に明るいシーンでは消費電力が高くなる傾向がある。
画像シーンの消費電力(仕様の消費電力)
有機EL「XRJ-65A90J」:104W(521W)
液晶「XRJ-75X95J」:314W(388W)
液晶「XRJ-50X90J」:132W(170W)
背景が黒い場面の場合。
有機ELテレビの消費電力は劇的に低くなる。
その一方で、液晶は水しぶきの発光が全域にあるため、バックライトが全体で発光していて消費電力が高いままとなっている。
画像シーンの消費電力(仕様の消費電力)
有機EL「XRJ-65A90J」:118W(521W)
液晶「XRJ-75X95J」:320W(388W)
液晶「XRJ-50X90J」:134W(170W)
画面全体が赤単色のシーンの場合。
興味深いのは、有機ELの消費電力が低いこと。
バックライトを全域で発光させる液晶ディスプレイと違い、有機ELテレビはサブピクセルのRGBW(赤・緑・青・白)のうち、色に準じたサブピクセルのみ発光するため、その分消費電力が低くなっていると思われる。
検証動画②
画像シーンの消費電力(仕様の消費電力)
有機EL「XRJ-65A90J」:288W(521W)
液晶「XRJ-75X95J」:320W(388W)
液晶「XRJ-50X90J」:134W(170W)
画面全体が明るいシーンでは、今回検証した動画でも、3モデルともに消費電力が高い。
有機ELテレビも、画面全体が強く発光すると消費電力が高くなる。
画像シーンの消費電力(仕様の消費電力)
有機EL「XRJ-65A90J」:81W(521W)
液晶「XRJ-75X95J」:205W(388W)
液晶「XRJ-50X90J」:131W(170W)
画面内に黒い領域が多い場面では、やはり有機ELテレビの消費電力はかなり低くなっている。
また液晶のハイエンドモデルである「XRJ-75X95J」は、LED部分駆動が程度細かく制御されていることが功を奏して、消費電力が200W台へと低下している。
画像シーンの消費電力(仕様の消費電力)
有機EL「XRJ-65A90J」:105W(521W)
液晶「XRJ-75X95J」:208W(388W)
液晶「XRJ-50X90J」:132W(170W)
黒い部分が明確に分かれている場面。
この場合でも、有機ELテレビだけでなく、直下型LED部分駆動の制御が細かい「XRJ-75X95J」の消費電力も低くなっている。
検証動画③
画像シーンの消費電力(仕様の消費電力)
有機EL「XRJ-65A90J」:119W(521W)
液晶「XRJ-75X95J」:234W(388W)
液晶「XRJ-50X90J」:133W(170W)
検証動画③では、色による消費電力の違いがあるかを確認してみた。
赤色が多く、かつ黒い背景のシーンでは、有機ELテレビ「XRJ-65A90J」と液晶テレビ「XRJ-75X95J」では、消費電力が低下している。
が、有機ELテレビが圧倒的に低消費電力という結果になった。
画像シーンの消費電力(仕様の消費電力)
有機EL「XRJ-65A90J」:82W(521W)
液晶「XRJ-75X95J」:208W(388W)
液晶「XRJ-50X90J」:134W(170W)
緑が多いシーンでは、全体的に暗い景色もあわさって消費電力が低下。
こちらについても有機ELテレビが、より低消費電力となった。
画像シーンの消費電力(仕様の消費電力)
有機EL「XRJ-65A90J」:119W(521W)
液晶「XRJ-75X95J」:314W(388W)
液晶「XRJ-50X90J」:135W(170W)
青が多いシーンでは、全体的に明るくなることも手伝ってか、液晶テレビの消費電力が高い。
有機ELテレビについては、変わらず低消費電力となっていた。
検証動画④
画像シーンの消費電力(仕様の消費電力)
有機EL「XRJ-65A90J」:344W(521W)
液晶「XRJ-75X95J」:316W(388W)
液晶「XRJ-50X90J」:136W(170W)
今回の検証しているなかで最も明るいシーン。
R・G・B単色の発光も少なく画面全体で盛大に発光するため、有機ELテレビ「XRJ-65A90J」の消費電力が「XRJ-75X95J」よりも高くなっている。
黄色を表現する場合は赤と緑発光するうえ、高輝度になると白も併用して発光して、消費電力が大幅に上がったのだと思われる。
画像シーンの消費電力(仕様の消費電力)
有機EL「XRJ-65A90J」:93W(521W)
液晶「XRJ-75X95J」:206W(388W)
液晶「XRJ-50X90J」:133W(170W)
背景が黒いシーンでは、部分駆動が優れている有機ELテレビ「XRJ-65A90J」、「XRJ-75X95J」の消費電力が低くなる。
画像シーンの消費電力(仕様の消費電力)
有機EL「XRJ-65A90J」:129W(521W)
液晶「XRJ-75X95J」:271W(388W)
液晶「XRJ-50X90J」:135W(170W)
肉を赤い炎で焼き上げるシーンでは、イメージとしては消費電力が高そうに思えた。
しかしながら有機ELテレビは思ったよりもずいぶんと低い。
これは網側面あたりの黒いところは有機ELテレビでは発光しないという法則にのっとって、消費電力が結果として低くなっている。
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●有機ELテレビが消費電力が高いというのは間違った認識。
今回テストしたモデルの消費電力の大きさ順番は総合すると順番はおおよそ下のようになった。
「XRJ-75X95J」>「XRJ-65A90J」>「XRJ-50X90J」
<デバイスごとの消費電力および年間消費電力量のおおきさ>
消費電力 : OLED > QD-OLED > Mini LED > 直下型LED
年間消費電力量:直下型LED > OLED > Mini LED > QD-OLED
実際の消費電力は、年間消費電力量の大きさと概ね近い関係となっている。
消費電力の変動は、有機ELテレビ「XRJ-65A90J」は、100W以下~300Wを超えるなどシーンによって大きく変化していた。
液晶テレビ「XRJ-75X95J」についても、振り幅は100W以下~300Wを超えるシーンがあるものの、基本的には200W以上あり、大きい時には300W程度出る場面も多い。
液晶テレビ「XRJ-50X90J」の場合は、常に130W前後で変化が少なく、最も変動が少なかった。
(バックライト制御の設定の問題かと設定を改めて確認してみたものの「バックライト分割制御」はデフォルトの[中」となっていた。)
結果として、有機ELテレビは、液晶テレビ(直下型LED)を超える消費電力を瞬間的に出す場合はあるとはいえ、いろいろなシーンを再生してみるとトータルとして液晶テレビよりも消費電力が少ないということが分かった。
補足として、液晶テレビはモデルによって随分と異なるということ。
下位モデルになるほどシーンによる消費電力の変動が少なく、一定の電力を消費し続けているということもわかった。
QD-OLEDの「A95Kシリーズ」や、Mini LEDバックライトの「X95Kシリーズ」は、年間消費電力量が明らかに低くなっている。
最新デバイスと最新の制御技術は、どれほど消費電力に影響を及ぼすのか?
次回、発売されたばかりのQD-OLEDの「A95Kシリーズ」のデータを加えて検証してみる。
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●BRAVIA 2021年モデル ソニーストア販売状況
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●BRAVIA 2022年モデルラインナップ
4K有機ELテレビ「XRJ-55A95K」【55型】 |
4K有機ELテレビ「XRJ-42A90K」【42型】 |
4K液晶テレビ「XRJ-75X95K」【75型】 4K液晶テレビ「XRJ-65X95K」【65型】 |
4K有機ELテレビ「XRJ-65A80K」【65型】 4K有機ELテレビ「XRJ-55A80K」【55型】 |
4K液晶テレビ「XRJ-75X90K」【75型】 4K液晶テレビ「XRJ-65X90K」【65型】 4K液晶テレビ「XRJ-55X90K」【55型】 4K液晶テレビ「XRJ-50X90K」【50型】 |
4K液晶テレビ「KJ-50X85K」【50型】 4K液晶テレビ「KJ-43X85K」【43型】 |
4K液晶テレビ「KJ-65X80K」【65型】 4K液晶テレビ「KJ-55X80K」【55型】 4K液晶テレビ「KJ-50X80K」【50型】 4K液晶テレビ「KJ-43X80K」【43型】 |
4K液晶テレビ「KJ-65X80WK」【65型】 4K液晶テレビ「KJ-55X80WK」【55型】 4K液晶テレビ「KJ-50X80WK」【50型】 4K液晶テレビ「KJ-43X80WK」【43型】 |
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<BRAVIA XR レビュー(2021年モデル)>
・HDMI.2.1 に対応した「BRAVIA XR」。4K液晶テレビ X90Jシリーズ を PlayStation5 / Xbox series X とつないで4K 120fps のゲームをプレイしてみた。
・映像と音の一体感が最高の没入感を味わえる 4K有機ELテレビ「XRJ-65A90J」。 Windows PCとつないで巨大デスクトップPC化、4K 120fps の表示方法とそのなめらかさを検証してみる。
・「BRAVIA XRシリーズ」の新しいOS「GoogleTV」の使い勝手。ソニーピクチャーズの最新映画から名作までを、ハイクオリティで楽しめるBRAVIA XR専用のコンテンツサービス「BRAVIACORE」。
・「BRAVIA XRシリーズ」 4K液晶テレビのフラッグシップモデル「XRJ-75X95J」。 映り込みを劇的に抑えたエックスアンチリフレクションと音に包まれる臨場感を、コンテンツありきで楽しんでみた。
BRAVIA XR 大型アップデート
・BRAVIA 2021年モデル の大型アップデートを検証してみた。
(その1)Airplay の 4Kミラーリング。
(その2)Airplay の Dolby Atmos ビデオ系コンテンツ再生対応。
(その3)可変リフレッシュレート「VRR」に対応。
<ホームシアターシステムレビュー>
音に包まれる没入感に感動!ホームシアターシステム「HT-A9」
・ホームシアターシステム「HT-A9」レビュー(その1)。適当に設置した4つのスピーカーで、まさかの音に包まれる没入感が凄かった。
・ホームシアターシステム「HT-A9」レビュー(その2)。「BRAVIA XRシリーズ」にS-センタースピーカーを接続、サブウーファーも追加して本気モードで視聴。これは自宅でできる最高の体験。
サラウンドとクオリティ異常に高い満足感サウンドバー「HT-A7000」
・サウンドバーの最上位モデル「HT-A7000」レビュー(その1)インターフェースを確認、設置と接続・設定。バースピーカーの概念がひっくりかえる迫力と臨場感。
・サウンドバーの最上位モデル「HT-A7000」レビュー(その2)バースピーカー1本で部屋を満たす立体音響体験と、スピーカーとしてのクオリティの高さ両方に満足。
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