安曇野VAIOの本気、MONSTER PC 「VAIO Z」をいじり倒したい。(冷却ファン音/発熱テスト編)
・安曇野VAIOの本気、MONSTER PC 「VAIO Z」をいじり倒したい。(開梱編)
・安曇野VAIOの本気、MONSTER PC 「VAIO Z」をいじり倒したい。(外観編)
・安曇野VAIOの本気、MONSTER PC 「VAIO Z」をいじり倒したい。(パフォーマンス編)
・安曇野VAIOの本気、MONSTER PC 「VAIO Z」をいじり倒したい。(基本ベンチマークテスト編)
・安曇野VAIOの本気、MONSTER PC 「VAIO Z」をいじり倒したい。(3Dグラフィックス系ベンチマーク編)
・安曇野VAIOの本気、MONSTER PC 「VAIO Z」をいじり倒したい。(バッテリーライフ編)
・安曇野VAIOの本気、MONSTER PC 「VAIO Z」をいじり倒したい。(過酷なバッテリーベンチマーク編)
の続き。
延々と負荷の高いベンチマークテストばっかりやってるると、いつも以上にブンブン回る冷却ファンの音。もうあまりにもやりすぎて、だんだんそれぞれのVAIOでもファンの回り出すタイミングとか音の違いとかまでわかるようになってきて、わりと周りが賑やかな時は気にならないけど、静かになると妙に耳につく冷却ファンの音についてと、発熱はどうなんだろう?って事を調べてみた。
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●VAIO使用時の気になる冷却ファンの音を数値化してみる。
今となっては、光学ドライブもないし、ストレージもSSDになるし、VAIOから発せられる音の一番大きいものというともう冷却ファンの音くらいしかない。その次はキータイプの音くらい。
騒音計を使って、実際にどのくらいのレベルで耳に届くのか、それから、非接触の温度計で高負荷をかけ続けていたらどれくらいの発熱を持つのかを調べてみる。
まずは騒音レベル測定。テストするのは、VAIO Z、VAIO Pro 13、VAIO Fit 15Aの3台で、それぞれ本体のパームレストの端っこの部分から騒音計のマイクの位置まで約10cmの距離で測定。
シチュエーションとしては、以下の4つ。
アイドル時 ・・・ 起動後そのまま放置している状態。
低負荷時 ・・・ 「BBench」で、10秒に1回、「123456789」と自動にテキスト入力。
60秒に1回、自動にwebベージを開く。
一般使用時 ・・・ 総合ベンチマークソフト「PCMark8」のオフィスのPC向け「Workテスト」
高負荷時 ・・・ 3Dベンチマークソフト「3DMark」で、
Ice Storm/Cloud Gate/Sky Diver/Fire Strikeの4つのテストを全て行う。
「CPUとファンの動作モード」を、「静かさ優先」の場合と、「パフォーマンス優先」でそれぞれ計測してみる。(ただし、VAIO Fit 15Aにはその切替がないため、参考値として「パフォーマンスモード」、「省電力モード」で計測している。)
※夜22時に計測。今回使用した騒音計で最も静かな値が34.5db。
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MONSTER PC “VAIO Z” 「VJZ13A1」
「静かさ優先」 「パフォーマンス優先」
アイドル時 ・・・ 35.0db 35.0db
低負荷時 ・・・ 35.0db 35.0db
一般使用 ・・・ 37.0db 37.6~40.6db
高負荷時 ・・・ 38.0db 48.2~49.6db
「静かさ優先」の場合は総じて非常に静かで、アイドル時や低負荷時ではファンの音は聞こえない。「PC Mark08」を動作させて、一部の負荷がかかるテストでファンが回っている時もほとんど音は聞こえず、排熱口に耳を無理やり近づけてようやくファンの音が聞こえるかな?というくらいに静か。「3D Mark」で最も負荷がかかった時に、やっとファンが回っているのがわかるけれど、周囲が静かでないと判別できないほど。
「パフォーマンス優先」の場合も、アイドル時や低負荷時であれば非常に静か。「PC Mark08」テスト中は、ビデオチャットやテキストエディタの特定の負荷のかかるシーンになるとファンが回り出してファンの音が聞こえてくるものの、負荷がなくなるとあっという間に静になるという挙動。「3D Mark」では、Ice Stormテストでファンは回る気配がなく、Cloud Gateテストは終盤のみ、Sky DiverやFire Strikeでも一部シーンでファンが回るという挙動。ファンが回った時は明らかに音が大きくなるものの、高周波の音が抑えられているので他VAIOと受ける印象が違う。
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VAIO Pro 13「SVP1321A1J」
「静かさ優先」 「パフォーマンス優先」
アイドル時 ・・・ 37.6db 38.0db
低負荷時 ・・・ 37.7db 38.4db
一般使用 ・・・ 38.5db 48.6db
高負荷時 ・・・ 39.6db 48.7db
「静かさ優先」の場合は、VAIO Pro 13も総じて静か。アイドル時や低負荷時ではファンの音はほぼ聞こえない。「PC Mark08」の負荷がかかるテストになると一定のファンが回っているのがわかる程度になる。「3D Mark」で負荷がかかりだすとファンが回りっぱなしになるのがはっきりとわかる。騒音レベルはわりと低めなのに、高めの音が耳にしっかりと届くので、気になりだすとそこに意識が行くようになる。
「パフォーマンス優先」の場合、アイドル時は当然静かながら低負荷時には小さいながらも一定のファンの音が聞こえて耳に残る。「PC Mark08」テストになると、負荷のかかるシーンあたりからシャーッという音がかなり耳につくようになる。「3D Mark」では、すぐにファンが回りだして同じように高い音が鳴り続けるため、周囲が静かだとかなり気になる。
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VAIO Fit 15A 「SVF15N1A1J」
「省電力モード」 「高パフォーマンス」
アイドル時 ・・・ 36.2db 36.5db
低負荷時 ・・・ 36.5db 41.4db
一般使用 ・・・ 40.1db 45.8db
高負荷時 ・・・ 45.5db 48.2db
VAIO Fit 15Aには「CPUとファンの動作モード」の切替がないため、参考値として「パフォーマンスモード」、「省電力モード」で計測。
どちらもほぼ騒音レベルの挙動は同じだったのでまとめて書くと、アイドル時はある程度静かなものの、低負荷時でもファンが鳴り始める。「PC Mark08」テストになると、絶えずファンが回りだして、風の出るフォォという音とファンの回転するキーンという高い音がダブルで鳴り出す。「3D Mark」も同様で最初からファン全回。すぐにファンが回りだしてなかなか収まらず、絶えずファンの音を聞いているのでかなり苦痛を感じる。
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●冷却ファンの音の聞こえ方(音質)を聞いてみる。
また、動作音の大きさとしてのレベルだけではなくて、音の聞こえ方、質が違うので、それが少しでもわかるように、たそれぞれの負荷MAX状態でファンが全力でまわっている時の音声をマイクで収録してみた。
VAIO Zは、「パフォーマンス優先」時に盛大に負荷がかかるとcTDP機能が働いて、規定のTDP28Wのプロセッサーから、35Wに引き上げられるだけあって、冷却ファンは思いっきり回るので当然音は大きくなる。けれど、他のVAIOとの違いを感じられるのは、それでも高周波の耳につく音が低くなっているということと、ファンが的確に回って、その後にすぐに収まるという挙動をしてくれるために、長時間テストをしていてもファンノイズとしての苦痛は一番少ない。
「静かさ優先」にすると ものすごく静かで、確かにこの場合は、TDPが15Wと下がっているけれど、同じTDPのVAIO Pro 13、VAIO Fit 15Aよりもパフォーマンスは高い結果を出しながらも、高負荷時のファン音は圧倒的に抑えられているのでこれはとても有効。周りの環境から静かに使いたい時には積極的に利用したい。
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●最大負荷がかかった場合の発熱はどのくらいなのか。
もうひとつは、盛大に負荷がかかると、発熱具合はどのくらいのものか?をチェック。
3Dベンチマークソフト「3DMark」の一番負荷の高い「Fire Strike」のみを何度も回し続けるというかなりハードな状態で、非接触の温度計で、それぞれのVAIOのいろいろな部分を測ってみる。
※計測日時3月10日(室内温度22℃)
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VAIO Z「VJZ13A1」
「静かさ優先」 「パフォーマンス優先」
①パームレスト左 ・・・ 24.7℃ 25.2℃
②タッチパッド ・・・ 25.4℃ 25.8℃
③パームレスト右 ・・・ 24.8℃ 24.8℃
④排熱口直上左 ・・・ 29.0℃ 29.4℃
⑤排熱口直上右 ・・・ 31.2℃ 31.4℃
「静かさ優先」 「パフォーマンス優先」
⑥底面右前 ・・・ 27.8℃ 28.1℃
⑦底面中央前 ・・・ 27.7℃ 28.6℃
⑧底面左前 ・・・ 26.5℃ 26.9℃
⑨底面右後 ・・・ 35.0℃ 36.1℃
⑩底面中央後 ・・・ 38.1℃ 39.3℃
⑪底面左後 ・・・ 35.4℃ 36.0℃
VAIO Zは、排熱口が本体後方の両サイドにあるために、熱は左右にまんべんなく分かれているのが特徴的で、高負荷がかかると底面後方部分は暖かさを増してくる。高いTDPのCPUにもかかわらず排熱を分散している事もあってパームレストに手のひらをのせてキータイプ時に熱を感じる事はまずない。ただし、底面は排熱させている意味もあって、冬場ならまだしも真夏になるとさすがに膝の上に乗せて高負荷の作業を長時間使うのは厳しいかもしれない。
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VAIO Pro 13「SVP1321A1J」
「静かさ優先」 「パフォーマンス優先」
①パームレスト左 ・・・ 23.0℃ 23.5℃
②タッチパッド ・・・ 22.5℃ 22.8℃
③パームレスト右 ・・・ 22.1℃ 21.9℃
④排熱口直上左 ・・・ 33.1℃ 37.0℃
⑤キーボード右 ・・・ 25.8℃ 25.8℃
「静かさ優先」 「パフォーマンス優先」
⑥底面右前 ・・・ 21.9℃ 22.1℃
⑦底面中央前 ・・・ 22.7℃ 23.8℃
⑧底面左前 ・・・ 23.8℃ 24.1℃
⑨底面右後 ・・・ 26.8℃ 29.0℃
⑩底面中央後 ・・・ 32.1℃ 33.8℃
⑪底面左後 ・・・ 35.6℃ 42.0℃
VAIO Pro 13は、ボディの表面はとても温度が低く保たれているし、底面も総じて低いのだけれども、排熱口が本体後方の左のみのため、特に「パフォーマンス優先」時に左奥の部分だけが熱くなる。膝において使って負荷がかかると左足だけ暑っ!となるので注意。
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VAIO Fit 15A 「SVF15N1A1J」
「省電力モード」 「高パフォーマンス」
①パームレスト左 ・・・ 25.5℃ 25.9℃
②タッチパッド ・・・ 24.0℃ 23.8℃
③パームレスト右 ・・・ 23.3℃ 23.3℃
④排熱口直上左 ・・・ 33.6℃ 35.9℃
⑤キーボード右 ・・・ 24.3℃ 24.3℃
「省電力モード」 「高パフォーマンス」
⑥底面右前 ・・・ 22.3℃ 22.7℃
⑨底面右後 ・・・ 35.2℃ 24.8℃
⑦底面中央前 ・・・ 23.8℃ 24.2℃
⑧底面左前 ・・・ 24.6℃ 24.7℃
⑩底面中央後 ・・・ 32.4℃ 33.5℃
⑪底面左後 ・・・ 41.4℃ 44.3℃
VAIO Fit 15Aは、ボディ面積の広さもあって比較的温度が上がりにくいものの、排熱口が本体後方の左のみという事と、加えて外部GPUを搭載している事もあってか、底面奥の左から中央にかけて非常に熱を持つ。おそらくこの大きさのノートPCを膝において高負荷な作業をする事は少ないとは思われるものの、参考として。
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本体は薄く軽いほうがいいし、CPUのパフォーマンスは高いほうがいい。けれど、思っている以上にCPUの発熱量は凄くてだからこそモバイルノートPCには低電圧なCPUを載せるほうが冷却は楽になる。
そこにVAIO ZはTDP 28Wを載せて、しかもcTDPでピーク時には35Wで駆動するとなると、その熱量も半端じゃないはずなのに、TDP15WのVAIO Pro 13やVAIO Fit 15Aよりもファンの音は静かに、かつ効率よく排熱制御されているから、安定的にパフォーマンスを出し続ける事ができる。こういうのは、実際に長時間負荷テストを繰り返してようやくにじみ出てきたところなので、本当に使ってみないとわからない部分だなと思わせられる。
続く。
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MONSTER PC “VAIO Z” (13.3型ワイド)
ソニーストア販売価格:189,800円(税別)~