「Xperia 1 V」と「Xperia 1 VI」の広角カメラの材質と表面処理の違いを調べていたら、逆光シーンや強い光源を撮影する時に悩ましいフレアの原因にたどり着いた。
「Xperia 1 VI」と「Xperia 1 V」のメインカメラ中央の広角カメラは、どっちも2層トランジスタ画素積層型CMOSイメージセンサー「Exmor T for mobile」を採用していて同じはず。
にもかかわらず、パッと見比べるとふとある違いに気づく。
ひとつは、カメラユニット自体が「Xperia 1 V」はフラットなのに対して、「Xperia 1 VI」はすり鉢状になっていてレンズ面が一段さがっていること。
それから真ん中の広角レンズに、光が当たったときの反射具合。
これって違いがあるのかしら?と調べてみるとレンズの材質や表面処理に違いがあるらしくて、ここから始まった疑問から検証をはじめて遠回りしてある結論にたどり着いた。
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目次
●Xperiaシリーズのカメラのガラスの材質・表面処理の違い
Xperia 1 IIIからXperia 1 VIまでの4モデルで、背面のメインカメラの前面のガラスに採用されている材質と表面処理について調べてみた。
Xperia 1 VI
上部(超広角):強化ガラス、AFP処理+AR処理
中部(広角) :強化ガラス、AFP処理+AR処理
下部(望遠) :強化ガラス、AFP処理+AR処理
Xperia 1 V
上部(超広角):強化ガラス、AFP処理+AR処理
中部(広角) :サファイアクリスタル、AFP処理+IRCF処理
下部(望遠) :強化ガラス、AFP処理+AR処理
<参考>
Xperia 1 IV / Xperia 1 III
1枚の透明板:強化ガラス、AFP処理+AR処理
AFP処理(Anti Finger Print) … 撥水・撥油加工により指紋・水・油といった汚れを防ぐ
AR処理(Anti Reflection) … 光の反射を防ぐ加工
IRCF処理(InfraRed Cut Filter) … 赤外線の透過を防ぐフィルター
Xperia 1 IV / Xperia 1 IIIでは、カメラユニットの前面は1枚のガラス板で処理されていた。
そこから、「Xperia 1 V」では超広角/広角/望遠の各カメラごとにレンズのガラス部分が独立。
材質については、Xperia 1 IV / Xperia 1 IIIは、強化ガラス、表面処理にAFP処理+AR処理を施していた。
「Xperia 1 V」では、広角カメラに、2層トランジスタ画素積層型CMOSイメージセンサー「Exmor T for mobile」の性能を活かすためか、硬度の高いサファイアクリスタルを採用、表面処理についてもAFP処理(汚れを防ぐ加工)に加えてIRCF処理(赤外線の透過を防ぐフィルター)を施している。
ところが、「Xperia 1 VI」では、また従来の強化ガラス、表面処理にAFP処理+AR処理に戻っている。
なぜサファイアクリスタルやIRCF処理をやめてしまったのだろう?
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●Xperia 1 Vのメインカメラで撮影したときに出るフレアの原因を探る。
検証シーンその1(Xperia 1 VとXperia 1 VIの広角カメラ)
Xperia 1 V 広角カメラで撮影 |
2023年に発売した「Xperia 1 V」を手に入れて搭載されたカメラでいろいろ撮影をしていた時の事。
センサーに”Exmor T for mobile”を備えてたこともあって、ほとんどのシーンでは確かに画質の良さを実感していた。
Xperia 1 V 広角カメラで撮影 |
けれどある特定のシーンで気になる事が…。
例えば、逆光シーンで全体が白っぽくなったり、暗がりでスポットライトのような強い光源に対して強い帯状のハレーションのようなものに出くわす事があった。
ある程度角度を変えるなどすれば回避できたりすることもあって、当時は深くその原因を探る努力はしていなかった。
Xperia 1 V 広角カメラで撮影 |
Xperia 1 VI 広角カメラで撮影 |
そして2024年に「Xperia 1 VI」を手に入れて、同じようなシチュエーションで撮影したら「Xperia 1 V」と同じような現象になるのか?
と、気になって2台を持ち出して同じ位置から撮影してみた。
すると、「Xperia 1 VI」でも撮る角度によってはフレアが発生したような映像になることはあったものの「Xperia 1 V」ほどの盛大に光が溢れているような表現にはならなかった。
同じセンサーを採用しているのにこの違いは何から起こるものなのか?
検証シーンその2(2台のXperia 1 Vの広角カメラ)
また別の日、2台の「Xperia 1 V」(ドコモモデルとSIMフリーモデル)を持ち出した時のこと。
「Xperia 1 V」ドコモモデル | 「Xperia 1 V」SIMフリーモデル |
この時、ドコモモデルの「Xperia 1 V」の広角カメラで撮ると、右上のライトから上下にのびる光の筋が出た事を確認。
やはりかと思いつつ、もう一台のSIMフリーモデルの「Xperia 1 V」の広角カメラでも同じように撮影したところ、なんとこちらでは再現されなかった。
もしかすると機種の違いではなくて、個体差があるのか?と余計に困惑。
けれどこの時、よく見るとドコモモデルの「Xperia 1 V」の広角カメラのガラスが微妙に汚れている事に気づいて、キレイに拭いて改めて撮影してみると…。
さっきまで出ていた光の帯が消えた。
ここで初めてレンズ表面の汚れが関係していたのかもしれないと気づいた。
検証その3(Xperia 1 VとXperia 1 VIの前面ガラスを汚すテスト)
表面ガラスに指紋をつけて汚した場合 |
ということで、レンズの汚れの有無でどの程度カメラの写りに変化があるか試してみた。
「Xperia 1 V」の広角カメラのガラスを綺麗にした状態で撮影。
スポットライトの周囲にフレアのようなものは多少は出るものの、スマホカメラではある程度は許容できる。
そして、あえて広角レンズを指で触って油脂・指紋を無理矢理つけた状態で撮影すると、予想していたとおり光の筋のようなものが発生した。
ここまでで思ったのは、もしかして、「Xperia 1 V」のカメラのサファイアクリスタルが汚れがつきやすいのではないか?と。
「Xperia 1 VI」は強化ガラス(AFP処理+AR処理)なのに対して、「Xperia 1 V」はサファイアクリスタル(AFP処理+IRCF処理)。
そう言えばサファイアクリスタルを採用したiPhone でも、強い光に対してフレアやゴーストといった現象が出やすいという噂を聞いた事がある。
だとすれば「Xperia 1 VI」では、あえてサファイアグラスから強化ガラスに戻したのではないか?という説を考えた。
Xperia 1 VI カメラ表面ガラスが綺麗な状態 |
表面ガラスに指紋をつけて汚した場合 |
次に、同じく「Xperia 1 VI」でもレンズの汚れの有無でどの程度カメラの写りに変化があるか試してみた。
「Xperia 1 VI」の広角カメラでもガラスがきれいな状態であれば、ほぼ「Xperia 1 V」と同じ。
そしてあえて指で触って撮影してみたところ、ハレーションは大きくなったものの「Xperia 1 V」ほどの光の筋は出なかった。
やっぱりか!とこの時は思った。
超広角カメラ | 広角カメラ | 望遠カメラ |
けれど、ここでかんたんに結論付けてしまってもいいのか?
と思って、「Xperia 1 VI」のカメラのガラス表面をさらに指で触って油脂・指紋をつけて撮影してみると…。
あぁ…出た…。
「Xperia 1 V」と同じように光の筋が出た。
しかも広角カメラに限らず、超広角カメラ、望遠カメラでも同様に再現することを確認。
出方としては2パターンあって、
・カメラを指で一方向になぞると、筋状の光の帯になる。
・カメラを軽く触れただけの場合は、全体的に白くぼやけやすい。
汚れ(油脂)が原因となって、撮影画像に大きく影響を及ぼすことは、「Xperia 1 V」も「Xperia 1 VI」も変わらなかった。
ただ気になったのは、「Xperia 1 V」と「Xperia 1 VI」の出具合に差があったのはなぜか?
もしかすると、ガラス表面のコーティングの個体差もあるのかもしれない。
けれどさすがに手持ちのXperiaだけで個体差までも検証するのは難しい。
ただ一つ言えるのは、「Xperia 1 VI」のカメラ部の形状がすり鉢状になったことで、「Xperia 1 V」よりもそのカメラのガラス面に触れる可能性が減るぶん、こうした症状に出くわしにくいという構造の違いもあるかもしれない。
参考:他のスマホではどうなの?
ここまで見ると、Xperiaってそんなに画像に影響がでちゃうものなの?と思ってしまうかもしれない。
そこで参考までに、手持ちのiPhone 16 Pro と Galaxy Z Fold6 のカメラでも同じシチュエーションで撮影してみた。
結果としては、あぁどれも同じだったというかカメラのガラス部分を指で触ってしまうと、撮影した画像に影響が出る事がわかった。
決してXperiaだけの問題ではないという事は理解しておこう。
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●結論:カメラの性能を疑う前にカメラ表面はいつも綺麗にしておこう。
当初、自分が想定していたのは、てっきりサファイアクリスタルが影響しているのかと思っていた。
けれど検証をしてみると、材質よりもカメラのガラス表面の汚れが画質に大きく影響することがわかった。
※コーティングの個体差については不明。
思っていた原因とは違ったけれど、カメラのレンズ表面をきれいに保っておいた方が良いのは間違いなくて、明らかに映りに影響がでる。
考えてみればごく当たり前の事で、デジタル一眼カメラであればレンズはデリケートなものだとわかっているし、汚れたまま使うなんてことはありえない。
ところがスマホがあまりにも手軽すぎてそんな初歩的な事もすっかり忘れて、知らず知らずのうちに不意にカメラ部分を触ってしまっていた。
もしもみんなも逆行や夜の撮影で盛大にフレアが出たり、白っぽいなと思ったら、クロスでカメラの表面をクリーニングしてあげると症状が改善する可能性があるよという事を覚えておいてもいいかもしれない。
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●ソニーストア Xperia SIMフリーモデルラインナップ
Xperia 1 VI(XQ-EC44)
ソニーストア販売価格:
12GB/256GBモデル:189,200円(税込)⇒179,300円(税込)(-9,900円)
12GB/512GBモデル:204,600円(税込)⇒ 189,200円(税込)(-15,400円)
16GB/512GBモデル:218,900円(税込)
カラー:ブラック、プラチナシルバー、カーキグリーン、スカーレット
スペック:Snapdragon 8 Gen 3、メモリ12GB~16GB、ストレージ256GB~512GB、デュアルSIM対応
16GBモデルはブラック、カーキグリーンのみ
・ソニー フラッグシップスマートフォン「Xperia 1 VI 」のことがわかる記事まとめ。実機レビュー、モデル比較、検証や設定チップスなど。
Xperia 1 V(XQ-DQ44)
ソニーストア販売価格:169,400円(税込)⇒159,500円(税込)
カラー:ブラック、プラチナシルバー、カーキグリーン
36回まで分割払手数料が【0円】
月々の支払い 4,400円(税込)
1回目のみ 5,500円(税込)
スペック:Snapdragon 8 Gen 2、メモリ16GB、ストレージ512GB、デュアルSIM対応
SIMフリーモデル「Xperia 1 V(XQ-DQ44)」レビュー
・(その1)所有欲を満たすボディデザイン、シンプルな中身、メモリ16GB・ストレージ512GB 大容量というSIMフリーモデルの魅力。
・(その2)ベンチマークテストとゲームの挙動を比較。「Xperia 1 V」は前モデルを圧倒!、Xperia Streamを利用すれば高負荷なゲームも長時間安定してプレイ可能。
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