ワイヤレスノイズキャンセリングステレオヘッドセット「WH-1000XM6」レビュー(前編)快適な装着感と便利なながら充電、静けさを手に入れられるノイズキャンセリングと自然な外音取り込みに感動。
Bluetooth対応ワイヤレスヘッドホンで業界最高クラスのノイズキャンセリング性能を実現したオーバーヘッドタイプの「WH-1000Xシリーズ」に最新第6世代が登場した。
第5世代である「WH-1000XM5」から一見するとデザインは大きく変わっていないため、どういった進化をしているのかわかりにくい。
ところが、使ってみるとその3年の進化を如実に感じることができる。
短期間ながら実機を使うことができたので、前モデルとの変更編を踏まえて「WH-1000XM6」のレビューをしてみる。
・音楽制作現場のサウンドエンジニアと共創し、アーティストの意図する音を届けるワイヤレスヘッドホン『WH-1000XM6』発売~新開発のプロセッサーにより、さらに進化した世界最高クラス※1のノイズキャンセリング性能を実現~
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目次
●新型「WH-1000XM6」と現行「WH-1000XM5」の違いまとめ
ドライバーユニット
・WH-1000XM5専用設計30mmドライバーユニット⇒ボイスコイルボビン構造WH-1000XM6専用設計30mmドライバーユニット
統合プロセッサー
・統合プロセッサーV1⇒統合プロセッサーV2
リアルタイムノイキャン最適化処理が向上
高音質ノイズキャンセリングプロセッサー
・高音質ノイズキャンセリングプロセッサーQN1⇒QN3
QN1の7倍以上の処理速度
搭載マイク
・左右4個ずつマイク搭載(合計8個)⇒左右6個ずつマイク搭載(合計12個)
対応コーデック
・SBC, AAC, LDAC⇒SBC, AAC, LDAC,LC3(LE Audio)
ソニーのオーバーヘッドホンとして初めてLC3(LE Audio)に対応
通話性能
・左右4個のマイク⇒左右6個のマイクを使ったAIビームフォーミング
・ノイズリダクションAIも進化
・LE Audio使用時 スーパーワイドバンドに対応し通話品質向上
・本体ボタンによるマイクオンオフに対応
デザイン
・スイーベル機構⇒スイーベル+折りたたみ構造
・折りたたみ構造採用によりケースがコンパクト化
・キャリングケースの開閉機構がマグネット化
充電機能
・充電しながら使用可能に!
ながら充電時は充電速度が低速化
機能面
・5バンドイコライザー⇒10バンドイコライザー
・再生中の機器を停止しなくても再生切替可能
・音楽が遠くで流れているように聞こえるBGMモードを追加
しかし、ノイズキャンセリング性能・外音取り込み性能、マイク性能、便利な充電機能、LC3(LE Audio)対応といった前モデルを持っていても買い替えたくなるほどの進化の塊と化している。
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●前モデルと似て非なる「WH-1000XM6」の性能。
ソニーの「WH-1000Xシリーズ」と言えば、高いノイズキャンセリング性能の没入感に加えて外の音をコントロールできるフレキシブルさを持ち、そしてワイヤレスヘッドセットでありながらも圧倒的な高音質を楽しめる唯一無二の存在として知られている。
今やワイヤレスノイズキャンセリングの最高峰として、完全ワイヤレスイヤホンの「WF-1000Xシリーズ」とオーバーヘッドタイプの「WH-1000Xシリーズ」の2モデルが存在する。
その中においても、耳を覆う大きなドライバーの聴き心地と、突出したノイキャン性能をもつオーバーヘッドモデルは幾度となく進化を繰り返し、ついに6世代目の「WH-1000XM6」を迎える。
「WH-1000XM6」を箱から取り出してみると、初見では前モデルと多少の違いはあれど、そこまで変わっていないように思える。
実は根本的に変わっているのに、気がついていないだけなのだが、日常に落とし込むオーバーヘッドタイプのデザインの行き着く先まで来ていることもあってそう感じてしまう。
実際に「WH-1000XM5」を並べてみるとあちこちの違いに気づく。
そうだった、「WH-1000XM5」には折りたたむギミックがなかった。
「WH-1000XM6」には、スイーベル機構に加えて、今回折りたたみ構造が前々モデルから復活したことで、よりコンパクトに持ち運べる。
WH-1000XM5 | WH-1000XM6 |
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MDR-1000X | WH-1000XM2 | WH-1000XM3 | WH-1000XM4 |
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参考までに歴代の「WH-1000Xシリーズ」のデザイン変遷
初代から「WH-1000XM4」まで、ほぼ同じデザインを引き継いできたものから、「WH-1000XM5」から大幅に刷新され、「WH-1000XM6」にも引き継がれている。
デザインについては好みがあるとはいえ、より洗練されたデザインはより快適なつけ心地へと向かって長時間リスニングが可能になっている。
イヤーパッドとヘッドバンドの素材は、「WH-1000XM5」と同じく「ソフトフィットレザー」を採用。
「ソフトフィットレザー」になったことで、通常の合成皮革よりもはるかに柔らかく、締めつけ感をより緩和してくれる。
しかも肌に触れても不快感がないので、炎天下の中使用するような真夏は別としてもそこそこ暑い季節でも常用できるのではと思える。
頭頂部に接するヘッドバンド部も「ソフトフィットレザー」を採用。
細身だった前モデルのM5からヘッドバンドの幅が増えたことでさらにアタリの柔らかさは改善。
頭頂部にあたるクッションが若干大きくなりそして柔らかく、フィットしやすい形状な事もあって長時間リスニングしてもまず気になることもない。
オーバーヘッドホンによっては長時間使っていると、ヘッドホンが当たる耳の周囲が痛くなったり、締め付けにより頭が痛くなる場合がある。
ところが、「WH-1000XM6」をそれこそ丸1日ヘッドホンを装着していても、耳が痛くなって外したくなることはないほどに快適。
仮にメガネをかけた状態でヘッドセットを装着しても負担もなく使うことができた。
耳全体がしっかりと覆われているという基本的な装着感により、内部からの音漏れも限界まで抑えられて、さらに気密性の高さも手伝って引き締まった低域を再現している。
当然ノイズキャンセリング性能にも寄与する。
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ヘッドバンド部分とハウジング部分の接続部について、内蔵ジョイント構造になってヘッドバンドの長さ調整は無段階スライダーになっていて伸び縮みさせてもまったくといっていいほど音が鳴らない。
可動部についてもノイズレスな可動部の「サイレントジョイント」のおかげもあって、ガタつきもより抑えられている。
質量は、「WH-1000XM5」は約250gに対して、「WH-1000XM6」は約254g。
公称値としての違いは約4g。
4gほど重くはなっているものの、マイク追加など劇的に変わった性能を考えれば誤差と言っていいレベル。
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●3分の充電で約3時間使える高速充電、ながら充電が便利すぎる。
ハウジング部にある物理ボタンの形状は大きく変わり、[電源ボタン]が丸く奥まった形状になった。
これにより[NC / AMBボタン]と[電源ボタン]を指ざわりでボタンの判別ができるおかげで押し間違いすることなく操作できる。
差し込む時にオモテウラを気しなくても良いし、スマホなどと充電機器を共有できる。
連続再生時間は、ワイヤレス接続で最大30時間(ノイズキャンセリング機能ON時)の長時間使用ができる。
ノイズキャンセリング機能をOFFにすることでさらに最大で40時間まで利用できる。
「WH-1000XM6」はUSB PD充電にも対応しているので、3分の充電だけで最大3時間駆動できる。
あえて実際にバッテリーを減らした状態で、USB PD充電してみると15~17W入力されていることを確認。
常時その状態というわけではなく、ある程度充電されるとバッテリーに負担がないように入力電力を抑える様子。
これなら出かける前にうっかり充電し忘れていたとしても、大急ぎで充電すればどうにかなる。
さらに「WH-1000XM6」は、ヘッドホンを使いながらでも充電できるようになった。(ながら充電)
ゲーミングヘッドセットでは実用性を重視して「ながら充電」を採用しているものが多いけれど、一般的なヘッドホンではUSBを接続したままでの利用できないものがほとんど。
ちなみに、「ながら充電」利用時は、USB PD充電のように高速充電するわけではなく、バッテリー残量に応じて充電速度が変化。
50%時点で2W程度で充電している様子で、ヘッドホンの消費電力は数十mW程度ということもあって、充電速度もこの程度で十分という事なのだろう。
もちろん急速充電したいときは本体電源をオフにすれば良い。
今までは、USBケーブルを接続するとヘッドホンの電源が切れてしまうのはどうにももどかしかった事を考えるとこれは良い進化だと言える。
スマートフォン(AndroidやiPhone)と連携して使用するにはBluetoothでペアリングをする必要がある。
「WH-1000XM6」には、Androidスマホでは「Fast Pair」が利用できペアリングモードにすると自動でペアリングするかどうかポップアップしてくれる。
ヘッドホンの電源ボタンを長押して「Bluetooth ペアリングモード」にすると、いとも簡単にスマホとペアリング。
一度ペアリングしておけば、イヤホンの電源が入ると同時に、スマホに接続されたこととバッテリー残量をお知らせして把握できる。
ちなみにWindows 11 でも、ペアリング中のイヤホンをPCに近づけると、ポップアップで接続ガイダンスが現れる。(Swift Pair for Windows )
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●自然なノイズキャンセリングと外音取り込み機能、耳への圧迫感が激減しヘッドホンを付けていないような装着感。
ワイヤレスで接続するBluetoothの対応コーデックは、SBC、AAC、 高音質コーデックLDAC、さらに超低遅延な次世代BluetoothオーディオコーデックLC3(LE Audio)についに対応。
ソニーのオーバーヘッドタイプのヘッドホンとしては初のLC3(LE Audio)に対応となる。
さらにLE Audio時は、スーパーワイドバンド対応となって音声帯域が従来の2倍となるため、通話品質も良くなり自然でクリアな音声で利用できるというアドバンテージがある。
そして、業界最高クラスのデジタルノイズキャンセリング機能を搭載。
電子的な内部構造として、「WH-1000XM5」では「高音質ノイズキャンセリングプロセッサー QN1」とBluetooth®オーディオSoC「統合プロセッサーV1」を搭載していた。
「WH-1000XM6」では3年分の進化として、両プロセッサーともに最新に。
「高音質ノイズキャンセリングプロセッサー QN3」に加えて、「統合プロセッサーV2」を搭載する。
「高音質ノイズキャンセリングプロセッサー QN3」はQN1の7倍以上の処理速度にもなり、もうこれだけでも圧倒的な違いになることは明白。
さらに、「WH-1000XM5」では左右4個づつの合計8個搭載していたマイクは、「WH-1000XM6」では左右6個づつの合計12個にまで増加。
マイクの数が12個に増えたことで、ノイズキャンセリングのために必要となる情報がそれだけたくさん集められる事になるかわりに、そのぶん処理能力も必要になる。
それを解決するのが「高音質ノイズキャンセリングプロセッサー QN3」と「統合プロセッサーV2」であり、この強力な2つのプロセッサーによって、12個あるマイク信号を制御することで今までにないレベルのノイズキャンセリング性能を発揮する。
「WH-1000XM5」を凌ぐノイズキャンセリング性能を手に入れた。
ソニーのノイズキャンセリングのコンセプトとして、耳がツンとするような過度なノイズキャンセルというよりも、どちらかというと自然なノイズキャンセリング傾向にあった。
その基本姿勢は変わってないとしても、「WH-1000XM5」から「WH-1000XM6」への静けさへの深度がさらに深くなっている。
すべての音を完全シャットアウトというものではないという前提はあるとして、その異音がより自然に取り除かれるといった感じ。
そもそも自然界の音が消えていくことに違和感がないことがこの「WH-1000XM6」の凄さだと言える。
もちろん耳への圧迫感で息苦しく感じる事もない。
さらに驚くべきは、音楽を聴きながら周囲の音も聞くことができる「アンビエントサウンド(外音取り込み)モード」。
「外音取り込み」は、もともとノイズキャンセリング性能を発揮しながらも、自然に外の音を取り込むことが出来る機能。
従来モデルでも機能として外の音を取り込めているなという感覚ではあったけれど、自分の発した声に違和感があったり、一部の周波数の音がうるさく感じることもあった。
ところが、「WH-1000XM6」の「外音取り込み」は今までとは別次元。
外音の音はいかにもマイクで拾った音ではなく直接耳に届いて、かつ音楽や動画の音声が聴こえるので、大げさにいえば部屋の中でスピーカーで視聴しているかのよう。
これは「WH-1000XM5」でも感じることが出来なかった快感。
従来モデルにあった、髪型やメガネの有無、装着ズレといった個人差は自動で検出して、使用者に合わせて最適化されたノイズキャンセリング特性を提供してくれる「オートNCオプティマイザー」機能はさらに進化。
「WH-1000XM6」では、「アダプティブNCオプティマイザー」という名称になり、外部の騒音や装着状況をリアルタイムに分析して最適なノイズキャンセリングを提供してくれる。
この効果を実感できるのは、雑踏や航空機など周囲の環境が刻一刻と変化するシーンで、いちいち手動でノイズキャンセリング効果を設定していては面倒な場面に特に便利。
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アプリでヘッドホンの設定をみると、外音取り込みの設定ではユーザーの好みに合わせて変更することが出来るのに対して、ノイズキャンセリングにはレベル調整などの設定がない。
人によってはノイズキャンセリングの強弱も自分で調整させてよと思う人もいるかもしれない。
これはおそらく、「高音質ノイズキャンセリングプロセッサー QN3」と「統合プロセッサーV2」の絶大な威力によるノイズキャンセリングの精度の高さとより自然な音を取り込める外音取り込みの精度の高さを加味しての操作形態になったのだと思われる。
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●ノイズキャンセリング、外音取り込みすべてが大幅性能アップした1000Xシリーズ最新モデル「WH-1000XM6」
「WH-1000XM6」の見た目は「WH-1000XM5」と大きく変わらない。
それは機能美としての到達点だとして、折りたたみ構造がついてくれたおかげで持ち運びは圧倒的に楽になった。
さらに耳のまわりの側頭部や頭のてっぺんへのアタリの圧迫感も抑えられてオーバーヘッドを着けているという違和感が極力取り除かれている。
もちろんそれだけではなくて、LC3(LE Audio)へ対応したことや、ながら充電といった機能的な進化はもちろんのこと、ワイヤレスヘッドホンのキモとなるノイズキャンセリングと外音取り込みの性能の上がりっぷりは特筆に値する。
実際に付けてPCに向かって作業をしてみると、キーボードのタイピング、衣服や手をこすり合わせるごく当たり前に存在している音が消え去る。
PCのファンノイズや外の車の音や雑踏というべきものがより自然にかき消されていて、外の音を聞きたいレベルにあわせればその音たちがだんだんと持ち上がってくる。
完全に没頭したい時もあれば、何も聞こえないのは違和感なので周囲の音も聞きたいときのその頃合いをちょうど良い具合にも好みで調整できる。
何度も言うけれど、見た目変わってないじゃないという最初の感想が、実際に使ってみるとこれが3年分の進化なのかと思い知る。
さらに使ってみての詳細な機能について後編に続く。
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●1000Xシリーズヘッドホンラインナップ
ワイヤレスノイズキャンセリングステレオヘッドセット「WH-1000XM6」
ソニーストア販売価格:59,400円(税込)
ワイヤレスノイズキャンセリングステレオヘッドセット「WH-1000XM5」
ソニーストア販売価格:59,400円(税込)⇒56,100円(税込)
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