11.6インチサイズで究極のツールとなる「VAIO S11」をねっとりレビューしよう。(外観と剛性、インターフェース編)
・11.6インチサイズで究極のツールとなる「VAIO S11」をねっとりレビューしよう。(プロローグ編)
の続き。
前置きが長くしまったけれど、まずは「VAIO S11」本体の外観から。
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●11.6インチという小さいボディでできる最大限のパフォーマンスを。
11.6インチのディスプレイサイズのフットプリントを持つ「VAIO S11」は、「VAIO Pro 11」の後継機種になるので、まずはその外観の違いから見てみよう。
【VAIO S11】
外形寸法 : 約 幅284.0 mm × 奥行190.4 mm x 高さ16.4mm(最厚部19.1 mm)
本体重量 : 920g~940g
【VAIO Pro 11】
外形寸法 : 約 幅285.0 mm × 奥行197.0 mm
タッチパネル搭載モデル ・・・ 高さ13.2mm(最厚部17.2 mm) 本体重量 : 870g
タッチパネル非搭載モデル ・・・ 高さ11.8mm(最厚部15.8 mm) 本体重量 : 770g
今までは、前モデルから何ミリ薄くなって、より軽くなったという進化方向が多かったように思うけれど、今回はそういった見た目のこだわりを捨てて厚みにいたってはガッツリと分厚くなっている。
タッチパネルを搭載した「VAIO Pro 11」と比べても、最も大きくなるヒンジのある後方部分で1.9mm、最も薄い先端部では約3.2mm厚くなっていて賛否のわかれるところ。
その一方で、ただ厚みが増したわけではなくて、フットプリント(タテヨコサイズ)をみると、横幅は約1mm、奥行きは約6.6mmほど小さくなっている。
外装の素材はモバイルVAIOの象徴でもあったカーボンではなくて、強化プラスチック製に。
液晶天板とパームレストは、”強化プラスチック”でも、きちんと下地塗装をしたうえで、UVコーティング+カラー処理をしてあって(シルバーとホワイトにいたってはカラー塗装の過程がもう1段階多い)、この塗装の処理でチープさは感じられない。
デザインテイストも、液晶天板やパームレストに一枚に板を張り合わせた「VAIO Z」と近く、このボディはブラックカラーだけれども、「VAIO Pro 11」のマットブラックではなく、ダークグレーのように見える。
「VAIO Pro 11」は、”底面も天板と同じ美しさを”というコンセプトどおり、底面にもカーボンを採用してかつネジ穴のないとても綺麗な処理がされて、さらにはVAIOロゴまでもはいる凝りようだった。
「VAIO S11」は、根本的に考え方を変えて、上下左右にネジ止めをすることで、剛性を保てるポイントを全体に持たせるという基本に忠実な作りに。
しかも、中央部分にドーンと横たわる大容量のバッテリーも、ど真ん中にネジ止めできるように設計から考えられていたり、ボティの中ではキーボードの底プレートから、基盤、バッテリーのフレーム、そして筐体といった内部パーツからを全て一緒にガッチリ固定して、素材だけで剛性を上げますよではなくてセット全体で一挙に剛性を上げているというのが最大の特徴になっている。
ボディの小ささと底面にあるという事からすると、音に関してはあまり期待できないところだけれど、実際に音を出してみるとかなり良く音がでる。(音圧レベルにして70dB)。
普通にネット動画を見ていても上げ過ぎるとうるさいかな?と思うくらいに出てくるし、音楽をじっくり聴くという向きではないのは仕方ないとして、プレゼンをするという用途なら十分。
それから底面の素材感について、ソニーストアで確認した時は、スポットライトの光が強かったせいか、ザラザラとした”樹脂感”がかなり強調されていてそこが妙に気になっていたのだけれど、実際に手元で見てみると、その時思っていたよりもチープ感がなく、そこまで気にするほどではないかと。
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●品質実験に裏付けられたVAIO S11の堅牢ボディ。
どうしても「VAIO Pro 11」でカーボン素材やアルミニウムが採用させていた事を思うと、「VAIO S11」は”強化プラスチック”で大丈夫なんだろうか?と気になっていたけれど、これは触ると持ち運ぶとその考え方がガラっと変わる。
そもそも「VAIO Pro 11」ですら、本体の端っこのほうを持つと、テンションがかかったあたりから”たわみ”が手に伝わってきて、大丈夫なのかもしれないけれど不安な気分になっていたのは確かで。
それが、「VAIO S11」で同じようにしてみると、硬さというか剛性の高さにビックリする。この安心感は大きい。
VAIO㈱は、「VAIO S11」の品質実験として、「150kgf加圧振動」、「90cm落下」、「ペン挟み試験」、「LCD加圧」、「本体ひねり試験」、「角衝撃試験」、「LCD 開閉試験」を行っているそうで、これらはYouTubeにも動画としてアップされているので見てみるといいかも。
ぶっちゃけ、見ているだけでこっちが痛くなってくる。
わざとペンを挟んで液晶を閉めてみると、パームレストの端っこを持ってかなり強くブルンブルン振り回すとか、おっかなびっくり試してみたけれど、液晶ディスプレイも問題もなく、本体のガッチリした剛性感も味わえたし、こういった安心感は、普段使いにはかなり心強くなる。
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●コンパクトボディでも充実した接続端子と、USB type Cの将来性。
左側面に手前からヘッドホン端子、USB3.0、電源端子。
右側面に手前から、SDカードスロット、USB3.0、USB TypeC (DP alt mode, Thunderbolt3対応)、有線LANポート、D-Sub15ピン。
LAN端子の物理的な厚みは絶対的に変えられないため、本体の下方向に口をパコっと開いて差し込む。
そのままだと机に干渉してしまうけれど、ヒンジ機構で本体が傾斜するので問題なく使える。
それから、レガシーポートとなるVGA端子(D-sub15ピン)をあえて搭載。
VGAケーブルは割りとというか、かなり大きなケーブルが多くて、よく差し込むと隣にある端子(ここではLAN端子)が干渉して使えないなんて事があるけれど、実際に差し込んでみても邪魔されることなく同時利用できる。
これに対して、どうしてHDMIをなくしてしまったんだ?という意見もあるけれど、それはUSB Type-Cが解決してくれる糸口になる。
というのも、このUSB Type-Cから、HDMI変換端子も既に発売されているし、他にもこれから出てくるであろうUSB Type-C用のドッキングステーションを用意すれば、ディズプレイに限らず、キーボードやマウス、有線LAN、ストレージといったもの全てを集約する事もできる。
そうすれば、例えば、自宅でUSB Type-C端子から周辺機器をつないでおいて、外出する時にはたった一本のケーブルを抜くだけで持ち出しできる。これは相当に便利。
今後、出てくるであろうドッキングステーションにHDMI端子やDisplayPortは付くことは十分にありえるとしても、D-sub15ピンがつく可能性は物凄く低い。
そう考えると、日本のビジネスシーンではまだまだ存在するD-sub15ピンのプロジェクターに繋がないといけないシチュエーションが他所(他社)に赴いた急なプレゼンテーションで出くわすかもしれないとしたら、アダプターなしに直接差し込めるD-sub15ピンの意義は物凄く大きい。
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●Windows PCとして重要なキーボードとタッチパッドの使い心地。
「VAIO S11」のキーは、一つ一つのキートップが独立したアイソレーションキーボードで、キーピッチ(キートップの真ん中とその隣のキートップの真ん中までの距離)は、17mm。
13インチの「VAIO Z」、「VAIO Pro 13 | mk2」の19mmのキーピッチに慣れていると、多少手狭に感じてしまう感はあるものの、他社製の小型PCにある15mm程度しかないものにと比べればタイピングのしやすさは全然違う。
それからキーをおした時の沈み込み、いわゆるキーストロークもしっかりあるので、ちゃんと指で押している感触を感じながらタイピングできる。
しかも先の本体の剛性っぷりがここに影響を及ぼすというか、キーボードからボディまでをビス固定している堅牢製と、本体の真ん中部分あたりの一番”たわみ”のでてくるヶ所には、きっちりとスペーサーとなるサポートパーツを追加して補強を施してあって、ガッチリ剛性感があるおかげで力強くたたいてもボディまで一緒に沈み込むあの気持ち悪さがまるでない。
それから、何が気持ち良いかというと、「VAIO Z」と同様に、静音設計で作られていて、タイピングが静かということ。
これはちっとも音がしないよという意味ではなくて、他のPCと比べて極限までおさえられてるよということ。
「VAIO Pro 11」は、それでもうるさくはないと思っていたのだけれど、さすがに急いでタイプすると、かなり高い音でパシャパシャという音が出てしまう。
新幹線や飛行機の中、カフェや図書館とか、静まり返った場所であのキーボードを叩く音ほど耳障りなものはなくて、自分が使う時もそれを気にすると早くにキーボードを叩けなくなってしまうので、より静かだよということはそれだけ少しでも早くタイピングできるという事につながる。
静粛性の恩恵はべつのところにもあって、上から指でキートップを押し込んた時に、まっすぐに降りて戻ってくる。この当たり前のようなことだけれど、キートップがグラグラしないということがタイピングを物凄く快適にしてくれる。
あと、細かい改良だけど地味にうれしいのがキートップのテカり対策。
キータイプしまくっていると、だんだん目立ってくる指紋のテカりだけど、ここは塗料を新しいものに変わったようで、妙に気になる指紋が随分と目立たなくなった。
もちろん、バックライトを備えているから、周りを暗くしてプレゼンをする時、飛行機やホテルといった光量が足りないシーンでも照度センサーが自動的に感知してキートップが光るギミックはある。
「VAIO S11」にはタッチパネルがないので、操作系はマウスを別途用意するか、モバイルする時はタッチパッドが主になる。
タッチパッドのサイズは約90mm x 50mmで「VAIO Pro 11」よりも少し狭くなっているものの広さとしての使い勝手は特に変わらず。
それよりもむしろ、誤操作を防ぐ機能も相当進化しているようで、手のひらがあたっての誤動作はほとんど起きないし、指の追従性も感度もよくて相当に心地よくコントロールできる快適さもあるし、「VAIO Pro 13 | mk2」のように左右のクリックボタンはないけれど、ドラッグ・アンド・ドロップしたり、右クリックも思い通りに操作できる。
Windows 10のジェスチャーも当然対応しているので、2本指、3本指動作も覚えれば作業効率も上がるはず。(反射的に使えるくらいには覚えておかないと意味が無いけど。)
設定からタッチパッドの調整もできるのでより自分の思った通りに近づけることもできる。
ディスプレイが開くと、本体が奥側から手前のパームレストにかけてナナメに傾斜してパームレストは机と段差がほぼなくなるので、手の平が机にかかっても自然に構えてタイピングできる。
結局は、トータルしていかに集中できるかということが重要で、タッチパッド操作にしても、キータイプにしても、ほんのちょっとの事でやる気が削がれてしまったり、作業効率が落ちたりすることがある。
メニューを開いて操作する、ウィ ンドウを動かしたりファイルを移動したり、頭に思い浮かんだ文章をタイプしてテキスト化する、というもうWindowsを使い出した頃から染み付いた動作が当たり前にできるということがどれだけ快適かということが、触れば触るほどわかってくる。
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ただ単純にキーボードが付いていて本体が小さければイイよというPCには、まずこの”快適さ”の部分が見えてこない。
”使えてなんぼ”のWindows PC、クラムシェルPCの本質をこの11.6インチというサイズでちゃんと見据えて作られているのがこの「VAIO S11」じゃないかと。
続く。
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